メールやソーシャルメディア…小中高校生のコミュニケーションツール利用状況をさぐる(2022年更新版)
スマートフォンの普及により子供達の間でも、インターネットによるコミュニケーションは急速に普及しつつあるように見える。その実情を内閣府が2022年3月に確定報を発表した「令和3年度青少年のインターネット利用環境実態調査」(※)の調査結果から確認する。
次に示すのは小中高校生が主に使っている、インターネットへのアクセス機器となるスマートフォン、従来型携帯電話、自宅用のパソコンやタブレット型端末、家庭用ゲーム機を利用している人における、コミュニケーションツール(電子メールやメッセンジャー、チャット、ソーシャルメディア(Facebook、ツイッター、mixiなど)などの意思疎通サービス)を利用している人の割合。例えば全体でスマートフォンの値は76.0%とあるので、小中高校生合わせてスマートフォンでインターネットを使っている人のうち76.0%は、その端末でメールやソーシャルメディアなどを使っていると回答したことになる。頻度は問われておらず、回答者の認識で「使っている」と判断したものであることに注意。
該当端末でインターネットを利用している人におけるツール利用率であることから、端末そのものの利用率は影響を与えないものの、自宅用のパソコンやタブレット型端末ではおおよそ高学年の方が高い値を示している。パソコンは保護者の監視の下で使われているか、保護者と共有のものを利用しており、コミュニケーション系のツールは使いにくい実態が表れている。年上になると自前で調達している場合や、子供のプライバシーに配慮する保護者の事例が出てくると考えると道理は通る。
従来型携帯電話は小中学生では男子よりも女子の方が値は高い(高校生は統計上のぶれの結果だろう)。元々従来型携帯電話がスマートフォンと比べて機能が限られており、コミュニケーションツール利用の専用機的な使われ方をされているのに加え、防犯用として保護者との連絡ツールとして用いられ、電子メールなどを使っているからだと考えられる。女子の値が高いのは、その防犯用の使われ方をしているであろうことを想起させるものではある。
スマートフォンは小学生では保護者からコミュニケーションツールの利用を差し止められている場合もあってか、値は低めで、従来型携帯電話よりも低い。しかし中学生となると8割前後に跳ね上がり、高校生では8~9割台となる。具体的にどのようなツールが使われているか確認したいところだが、2013年分までのような電子メール、ソーシャルメディア、チャット系サービスとの区分は無く、確認は不可能。
これについて各端末そのものの利用率を考慮し、各属性全体に占める比率を算出したのが次のグラフ。例えば小学生全体のスマートフォンは17.9%とあるので、小学生全体において17.9%はスマートフォンでコミュニケーションツールを利用していることになる。
元々自宅用のパソコンやタブレット型端末はインターネット利用者内でも利用率が低かったが、加えて端末そのものの利用率が低いので、全体に占める利用状況はさらに低いものとなる。高校生でも自宅用のパソコンやタブレット型端末でコミュニケーションをしている人は1割に満たない(男子に限れば12.2%と1割台になるが)。
従来型携帯電話は小学生では1割前後だが、中学生以降は数%にとどまってしまう。端末そのものの利用が少ないのが大きな要因。他方スマートフォンは中学生ですでに5~6割台、高校生になると8~9割台に達する。スマートフォン利用者限定ではなく、高校生全体で83.9%、女子高生に限れば88.4%が、スマートフォンでコミュニケーションをしている現状は、ほんの2、3年前まではとても考えられなかった図式に違いない。無論、従来型携帯電話による電子メールからのシフトとの形になるのだが。
またインターネットにおける各種サービスの中でも、コミュニケーションツールは利用頻度が高い。そのツールにおいて利用端末のほとんどがスマートフォンであり、自宅用のパソコンやタブレット型端末があまり使われていない実情は、「若年層のパソコン、キーボード離れ」を印象付けさせる一つの結果ともいえよう。
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※令和3年度青少年のインターネット利用環境実態調査
2021年11月3日から12月14日にかけて2021年11月1日時点で満10歳から満17歳までの青少年とその同居保護者それぞれ5000人に対し、調査員による個別面接聴取法(困難な場合は訪問配布訪問回収法やウェブ調査法も併用)で行われたもの。回答側の事情次第で郵送回答法を併用している。有効回答数は青少年が3395人(うちウェブ経由は161人、郵送回収法は154人)、保護者は3511人(うちウェブ経由は136人、郵送回収法は133人)。
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