スマートフォンとタブレット型端末の普及率の推移を詳しくさぐる(2022年公開版)
インターネットへのアクセス機器として、今スポットライトを浴びているのがスマートフォンとタブレット型端末。その世帯ベースでの普及率の推移を、複数の切り口で内閣府の消費動向調査(※)の結果から確認する。
まずはスマートフォンとタブレット型端末の、世帯単位の普及率推移。消費動向調査で両機種が明確に区分の上調査されたのは2014年からなので、現時点では9年分しかデータが無い。なお1世帯に何台所有機が存在しても、普及率は変わらない。例えば1世帯にスマートフォンが10台あったとしても、その世帯の普及率が1000%にはならない。
直近2022年において総世帯における世帯ベースでの普及率は、スマートフォンでは88.6%、タブレット型端末では38.2%。単身世帯・二人以上世帯双方とも前年から比べ、一様に増加傾向を示している。スマートフォンではいくぶん単身世帯の方が上昇率は高めだが、タブレット型端末では二人以上世帯の方が上昇率は高め。
続いて世帯年収別。二人以上世帯と単身世帯を合わせた総世帯では、世帯年収別動向を確認してもあまり意味が無いことから、単身世帯・二人以上世帯それぞれに区分した上で世帯年収別の推移を見ていくことにする。なおグラフの表記上、一部の属性では「以上」を省略している。例えば「300~400万円未満」は「300万円以上400万円未満」を意味する。
まずはスマートフォン。
単身世帯では高年収層で多分なばらつきが生じているが、これは該当世帯数そのものが少ないことから生じたぶれによるもの(加えて、単身高所得者は高齢層となることが多いため、年齢が強く影響してしまう)。もっとも直近年の2022年ではおおよそ前年から値を積み増ししている。9割ぐらいが天井のようだ(高齢者がいくぶん低めに出るのは少なからず高齢層とかぶるため)。他方二人以上世帯ではほぼきれいな形でゆるやかな上昇が生じている。高世帯年収なほど高普及率が維持されたまま、すべての世帯年収層で年の経過とともに底上げされている形。
タブレット型端末もおおよそ同じスタイルを見せている。
単身世帯ではスマートフォン同様にイレギュラー(さらに2015年の1200万円以上世帯は該当世帯数そのものが少数なため、有効値が存在しない)が生じているが、高世帯年収ほど高普及率、年を経るほど普及率の上昇の動きが確認できる。直近年では世帯年収550万円以上の二人以上世帯において、半数以上でタブレット型端末を保有していることになる。
最後は世帯主の男女別や年齢区分別の保有率。これは単身世帯のみで精査を行う。二人以上世帯では世帯主と配偶者の世代が近い事例がほとんどだが、子供のいる・いない、さらには子供の年齢により保有状況が大きく変化する可能性がある。そのような状況下で経年推移を見ても、さほど大きな意味は無い。
一方で単身世帯の場合は、世帯主=世帯構成員全員であり、世帯主の属性や年齢による普及率動向の精査はそれなりに意味があると判断した次第。
男女別では両端末とも男性の方が普及率は高い。これはいくつかの理由があり、「必要性」「デジタル機器の関心度合いは男性の方が強い」「普及率が低い高齢層は女性の方が構成人数比率が高い」などによるもの。ただしスマートフォンでは直近年でほぼ同率となっているのが興味深い。
スマートフォンではほぼきれいな形で若年層ほど高普及率を示している。他方タブレット型端末だか、40代までがほぼ同率で、50代以降は減少の動きを示している。幼い子供がいる世帯に大きな需要があるということだろうか。
両端末のグラフを見直すと、スマートフォンでは60代までと70歳以上の間、タブレット型端末では40代と50代の間で、大きな差異が生じている。差異が生じる年齢階層が異なるのは注目に値する。単純に就業現役層か引退層かの違いによるものや、身体的な対応能力によるものとは違うようだ。
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※内閣府の消費動向調査
今後の暮らし向きの見通しなどについての消費者の意識や各種サービスなどへの支出予定、主要耐久消費財などの保有状況を把握することで、景気動向判断の基礎資料を得ることを目的としている調査。調査世帯は、二人以上の世帯、単身世帯毎に三段抽出(市町村・調査単位区・世帯)により選ばれた8400世帯。調査は毎月1回実施され、その月の15日時点の状況が対象となる。毎月10日前後に調査対象世帯に調査票が届くよう郵送し、毎月20日頃までに届いた調査票を集計する。
毎月調査を実施しているが年1回、3月分において、他の月よりは細部にわたる内容を調査している。その中の項目の一つ「主要耐久消費財の普及・保有状況」を今件精査では用いている。これは「回答者の世帯において対象品目を回答時点(直近分の場合は2022年3月末時点)で持っているか否か」「持っている場合は保有数量はどれほどか」を尋ねた結果。具体的な利用状況は尋ねていない。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
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