話題のタブレット型端末、その普及状況を探る
世帯単位では1/4超え
ここ数年の間に「廉価端末の登場」「インフラ整備によるネット接続環境の改善」「独自の利用スタイルによる有益性の確認」「電子書籍端末としての使いやすさ」など多様な理由で浸透が進むタブレット型端末。その現状を総務省が2015年7月に発表した「通信利用動向調査」の結果から探る。
次に示すのは世帯単位(個人単位ではない。世帯内の誰かが保有、さらには世帯全体での保有も該当する。利用スタイルから個人ベースでは無く世帯ベースで利用される事が多いため、世帯単位での計上となる)における、タブレット型端末の普及状況。主要属性毎の動向だが、全体では26.3%。大体4世帯に1世帯でタブレット型端末が存在している。昨年2013年末では21.9%だったから、4.4%ポイントの増加である。
世帯主の年齢別に見ると30代がもっとも高い値で37.5%、40代がほぼ同じ37.0%。この世代がボリュームゾーンで大体4割近く。60代後半以降はある程度値を下げるが、それでも10%強を占めている(80歳を超えるとさすがに1割を切るが)。シニア層世帯でも10世帯に1世帯強がタブレット型端末を有する時代である(65歳以上に限れば12.3%)。
一方世帯内の構成別に見ると、高齢者が居る世帯ではやや低めで、子供が居る世帯では高めの値が出ている。「子供」の要素がある世帯ではいずれも4割近くで、多分に子供の遊具としてタブレット型端末を利用している状況が想像される。
世帯年収別では一様に高年収ほど保有率は高い。特に年収2000万円以上では6割超えを示している。高年収世帯のライフスタイルには、機動力の高いパソコン的な立ち位置にあるタブレット型端末は、まさに「鬼に金棒」なのだろう。
興味深いのは家庭内無線LANとの関係。料金体系やアクセススピード、機動力の確保の観点から、家庭内無線LANとタブレット型端末の相性は大変良い。有線と違い無線が届く室内ならば、どこへでも気軽に持ち運んでインターネットへのアクセスができる。利用中の世帯で高い保有率を示すのは当然の話ではある。
世帯内にある台数は?
上のグラフは「世帯内にタブレット機のあるなし」だけの話で、台数までは明らかにされていない。それこそ世帯内に1ダース存在しても、1台しかなくとも、「保有」には違いない。
そこで各属性別に「世帯内でタブレット型端末が何台あるか」までを記したのが、次以降のグラフ。まずは世帯主年齢別。
保有率上位の30代は1台のみの保有が多い。よくて2台保有まで。他方40代から50代は複数台保有率が比較的多くなる。これは中堅層になると金銭的余裕ができること、そして子供の成長の過程で世帯主自身の分、さらには子供向けの双方、または世帯主と配偶者が別個それぞれに保有している状況が増えることが想定できる。単価も随分と安いものが登場しているので、携帯電話のようにプライベート端末として構成員それぞれが保有している世帯も少なくあるまい。
他方20代は単身世帯が多く、また金銭的余裕も無く、子供がいる世帯も少ない。単数台保有がほとんどを占めているのも納得がいく。一人暮らしで複数台タブレット端末が必要な状況は考えにくい。
続いて世帯年収。
世帯年収別では当然のごとく高年収ほど複数台持ちも多い。年収による保有率の上昇は、単に保有する・しないだけでなく、保有台数の増加も伴っていることが分かる。特に2000万円における「3台以上が6.7%」との結果は注目に値する。見方を変えると、年収2000万円以上世帯におけるタブレット型端末保有世帯では、そのほぼ半数は2台以上を所有している計算になる。
日本国内でも大規模展開を始めたアマゾンの電子書籍リーダー「Kindle」は、その多くがアンドロイドOS搭載のタブレット機としても活用できる。またそれ以外でも、特にアンドロイドOS系では安価なタブレット型端末が多数登場し、所有ハードルをかつてないほどまでに押し下げている。一方でiOSのタブレット機「iPad」はそのブランド力をさらに高めており、「安心のタブレット型端末」として、こちらもセールスを拡大中。
今はまだ世帯ベースでも1/4強のタブレット端末だが、今後さらに飛躍する可能性は多分に占めている。特に子供向けの玩具、情緒教育端末として注目を集め、その裏付けとなる保有率・利用率のデータが次々と確認され、おもちゃ売り場の商品としてもスマートフォンと並び、タブレット型端末を模したものが出ているのが現状。今後のさらなる飛躍を確信する次第である。
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