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愛子さまは新調をお見送りに… 「皇室のティアラ」始まりや所有者など裏話5選

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
成年行事にのぞまれた愛子さま(アフロ)

 ローブデコルテに身を包んだ愛子さまの成年になられたお姿は、コロナ禍の閉塞感漂う社会に、明るい未来を予感させる希望をもたらしてくれた。

 そんな愛子さまの頭上には、天皇陛下の妹・叔母の黒田清子さんからお借りしたティアラが輝いていた。愛子さまは天皇家の内親王としてふさわしいジュエリーを身に着け、記念すべき日を迎えられたのだ。

 皇室の方々が愛用されているティアラは、高価なものであることは誰もが知るところであるが、皇室のティアラに秘められた好奇心をそそる歴史など、裏話5選をご紹介しよう。

(1)皇室のティアラ、その始まり

 日本で初めて絢爛たるティアラを身に着けたのは、明治天皇の后・昭憲皇太后だった。明治20年、新年の儀式で着けたのが最初だと言われ、中央には実に21カラットもの巨大なダイヤモンドが輝き、周囲にはブリリアントカットされたダイヤが60個も使われている。

 明治中期、日本が西欧の国々と並ぶ近代国家になったことを内外に示すため、伊藤博文の進言により、皇室の儀式や饗応のプロトコール(国際儀礼)に倣って、ティアラを取り入れたとされている。昭憲皇太后もそれが夫である明治天皇の助けになるならと協力されたのであろう。

 これは今も「皇后の第一ティアラ」と呼ばれ、地位と権威の象徴として、現在までなんと130年以上もの間、歴代の皇后に受け継がれてきた。

(2)「皇后の第一ティアラ」のデザインは?

 歴代の皇后たちがティアラを身に着けた写真を見ると、その時代に合わせたデザインにリメイクされており、微妙に形が変わっていることに気づく。

 昭憲皇太后の時は、センターがひときわ高く、先端に星型の飾りが据えられた特徴的なデザインだった。それが大正天皇の后・貞明皇后になると、ティアラ本体は同じなのだが星型の装飾はなくなり、中央に前述の21カラットのダイヤが強調されている。

 ところが、昭和天皇の后・香淳皇后の場合は、星型が装飾されたティアラの写真もあれば、ないものもある。どうやらこのティアラは、星型の飾りが付け外しできるようになっているようだ。

 これが平成の世には美智子さまの頭上に燦然と輝き、2年前に行われた令和の即位に伴う儀式では、雅子さまの御髪に「皇后の第一ティアラ」が、重厚にして華やかな魅惑の光を放ちながら、皇后というお立場を美しく彩っていた。

(3)「皇后の第二ティアラ」

 また「皇后のティアラ」は、皇室の御紋である菊をモチーフにした「第二ティアラ」も存在する。これは大正天皇の即位に際して、貞明皇后のために作られたもので、やはり歴代の皇后に受け継がれてきた。

 昭和の香淳皇后や平成の美智子さまは、この「第二ティアラ」を身に着けて晩さん会などの行事に出席されていた。おそらくこのティアラも、現在の皇后である雅子さまに受け継がれていることだろう。

 他にも、美智子さまは、椰子の葉を図案化したパルメット(植物の葉が扇型に広がった文様)のティアラもお使いになっていた。このティアラは秩父宮妃勢津子さまが着用されていたものと似ていることから、譲り受けたのではないかという説もあるが、真相は藪の中である。

(4)ティアラの所有者は?

 ティアラは成年の女性皇族にとって必須のアイテムであることから、国費で賄われる宮廷費に予算が計上されて作られるものもあれば、内廷費と呼ばれる天皇家の私的なお金で作られる場合もある。

 秋篠宮家の内親王であった眞子さんのティアラの予算は、ネックレスなどを含む宝飾品5点セットで、2856万円。次女・佳子さまのティアラの予算は、ネックレスなどを含む宝飾品5点セットで、2893万円であった。

 これらは宮廷費から作られたため、所有者は国になり、内親王のお二人には国から貸し出されているのだ。したがって結婚して皇室を離れる時には、返却しなければならない。

 今回、愛子さまが黒田清子さんからお借りしたティアラは、現在の上皇ご夫妻の私的なお金である内廷費で作られたため、黒田清子さんが所有している。

 一方、今年10月に結婚した小室眞子さん、2018年に結婚した高円宮家の三女・守谷絢子さんのティアラはすでに返却され、現在、宮内庁の倉庫には、合計8個のティアラが保管されているという。

 しかし、この8個のティアラの詳細に関しては、戦後の混乱によって所有者や来歴が確定されないものもあり、今のところ公にはされていない。

(5)愛子さまのティアラは、なぜ黒田清子さんから借りたのか?

 女性皇族の品位と権威を表すティアラは、皇室内での地位やお立場を如実に表している。「皇后の第一ティアラ」は、皇后しか着用できず、また皇太子妃にも、そのお立場でしか身に着けられないティアラがある。

 雅子さまが結婚された時、パレードの映像でも見たことがある、唐草がモチーフのエレガントなティアラは、美智子さまが皇太子妃となられた結婚の際に着けていたもので、代々の皇太子妃に受け継がれてきた。

 これは現在、皇嗣妃である紀子さまがお使いになっている。

 つまり、皇室のティアラは、同じお立場の方に受け継がれていく。愛子さまがティアラを、平成の時代、天皇家の内親王という同じ立場だった黒田清子さんにお借りしたのも、至極当たり前のことだったのだ。

 それにしても愛子さまのティアラが、今後、ずっとお借りしたものを着けることになるのか、それともコロナが収束したら作るのかは、まだ分からない。

 ただティアラはこれから愛子さまが皇室の行事などに出席される際、必要なものであることから、筆者は、大学を卒業して公務に尽力されるようになるタイミングで、煌びやかなティアラが作られるだろうと予想している。

「愛子さまへの教育と覚悟の現れ? 5年前に起きた天皇ご一家の那須静養での変化」https://news.yahoo.co.jp/byline/tsugenoriko/20211206-00271006

「”まるで愛子さまの妹” 愛犬・由莉がもたらした影響は? セラピー犬として活躍も」https://news.yahoo.co.jp/byline/tsugenoriko/20211213-00271605

放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。西武文理大学非常勤講師。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)などがある。

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