職場での「ペットボトルのお茶出し」マナー
来客があった際、あなたの会社では、どのようにお茶を提供しているでしょうか。「ペットボトルでお出ししている」という会社も多いのではないでしょうか。
ペットボトルでお茶を出すときには、従来の急須からお茶を淹れる動作は省略しても、おもてなしの心は省略しないように、心を込めてお茶をお出ししたいものです。
そこで、今回は、「ペットボトルでお茶を出す際のマナー」についてお伝えします。
ペットボトルの提供はマナー違反ではない
来客応対でお茶を出す理由は、「わざわざ足をお運びくださったお客様へ、のどを潤してぜひお寛ぎください」というおもてなしの心の表れです。
新型コロナウイルスの感染拡大以前は、ペットボトルでお茶を出すなんて、「手抜きだろう」「おもてなしの心がない」と思われることもありました。
しかし現代では、多くの人が「ペットボトルであっても問題はない」と思っている以上、ペットボトルでお茶を出すのはマナー違反ではありません。
マナーとは、相手に不快な思いをさせないための配慮のことです。ですから、時代によっても変わっていきます。現在のコロナ禍においては、どちらかといえばペットボトルの方が、お客様も安心してお茶を飲むことができるでしょう。
ペットボトルにはコップを用意する
では、実際にペットボトルでお茶をお出しするときは、どのようにすればいいのでしょう。
最近は増えてきたとはいえ、ペットボトルの提供を当然にせず、「ペットボトルのまま失礼いたします」と一言添えてお出しすると、印象が良くなります。
中には、人が目の前にいるところで、ペットボトルに口をつけて飲むのに躊躇してしまうお客様もいらっしゃいます。使う、使わないは別として、紙コップ(長時間の打ち合わせが予想される場合はプラスチック製コップ)を準備するとよいでしょう。
ペットボトルに、紙コップを逆さまにかぶせて出されていることもあります。会議のお弁当などと一緒に早めに用意しておくのでしたら、ホコリがコップに入るのを防ぐため、という配慮とも取れます。しかし、来客へお茶をお出しするのでしたら、ペットボトルと紙コップはそれぞれ別にした方が良いでしょう。コップの下にコースターも用意すると丁寧なおもてなしになります。
ペットボトルのサイズも迷うところです。あなたは訪問時に、500mlとハーフサイズ、どちらを出されたら嬉しいですか。ちなみに私はハーフサイズの方が嬉しいと感じます。理由は、1回の打ち合わせでは、出してもらった500mlを飲み切ることができず、残すことに罪悪感があるからです。よって、ハーフサイズのお茶を準備しています。
お茶の温度も同様です。「自分だったらどうしてほしいか」と考えてみると、夏には常温よりも冷えたペットボトル、冬には温かいペットボトルを出したいところですね。
マナーとは決まりではありません。「どうしたら相手が心地よくなるだろうか」と考えて行動することがマナーの本質なのです。
残ったお茶を「お持ちください」が親切とは限らない
お客様がペットボトルのお茶を飲み残してしまったら、どうしたらいいのでしょうか。
「よろしければお持ちください」と言われたら、お客様としては断る理由がないので、持って帰ることになるでしょう。しかし、カバンに入らなかったり、自分で飲み物を持参しているなど、本心では不要な場合もあります。よかれと思っておすすめしたことが負担になってしまわないよう、状況を見極めて声をかけましょう。
ペットボトルでお茶出しをする方法
それでは、実際にペットボトルでお茶を出す方法です。基本的には、湯呑みでお出しするときと同じと考えていいでしょう。
①ペットボトル・紙コップ・コースターをお盆に載せ、ノックをしてから入室する。
②お盆をサイドテーブルに載せる。サイドテーブルがない場合は、メインテーブルの下座に置く。メインテーブルも狭い場合はお盆を持ったまま出す。
③お客様の右後ろに立ち、両手でペットボトル・コースター・紙コップの順にテーブルに置く。「ペットボトルのまま失礼いたします」と一言添える。
④お盆は裏を自分に向けて左脇に抱えて持ち、ドアの前に行く。
⑤ドアの前で振り返り、「失礼いたします」と会釈をして退室する。会話が続いている場合は、黙礼をして退室する。
ペットボトルでも心を込めておもてなし
急須からお茶を淹れる方法より、ペットボトルは簡素化されています。洗い物もないため嬉しいのは、お茶出しをする人の本音です。作業的には楽ですが、お茶出し本体のおもてなしの心を届けるために、ペットボトルであるからこそ、より気持ちを込めてお茶出しをしましょう。
研修トレーナー太田 章代
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