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利根川水系8ダムの貯水量は微増にとどまる

杉江勇次気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属
貯水量の回復は微増にとどまっている矢木沢ダム(水資源機構沼田総合管理事務所)

水不足解消へは台風が鍵を握る(6月11日筆)

東京都心は98.5ミリ、水源地帯は約20ミリ

水源地帯の雨量は約20ミリ程度にとどまる(気象庁HPより)
水源地帯の雨量は約20ミリ程度にとどまる(気象庁HPより)

梅雨前線上の低気圧が本州の南岸沿いを通過した影響で、きのう(6月13日)は梅雨入り以降、関東地方でも初めての本格的な雨となりました。

きのう1日の雨量は多くの所で50~100ミリ程度とまとまったものとなっており、なかでも東京都心では日雨量98.5ミリと今年一番のまとまった雨(大雨)を観測しました。都心では1日で6月1か月の平年値の約6割の雨が降った計算です。

朝の通勤時間にザーザー降りの雨となったことから、首都圏の水がめでも多くの雨(恵みの雨)が降ったように感じましたが・・・。

実際、利根川水系8ダムのある群馬県でも、伊勢崎91.0ミリ、前橋74.0ミリなど、かなりまとまった雨となった所もありました。

しかし、残念なことに水源地帯に近い藤原では16.5ミリ、みなかみで18.0ミリ、片品で19.5ミリなど、肝心のダムに流れ込む山沿いの雨量は多くの所で20ミリ程度で終わってしまっており、これは関東の中では最も少ない雨量です。

貯水量は微増中、貯水率は0.5%回復(14日午前5時)

8ダムの貯水量は微増中(関東地方整備局HPより、加筆)
8ダムの貯水量は微増中(関東地方整備局HPより、加筆)

8ダムの貯水量の推移をみると、きのうの昼過ぎからダム周辺に降った雨が流れ込んでいると思われ、久しぶりにわずかではありますが、貯水量の回復が続いています。ただその回復ぶりはごく微増といったところで、やはりこの程度の雨では数日間の現状維持、あるいは貯水量の減少を食い止めるのがやっとの状態だということがわかります。

取水制限を行うかどうかの目安はその季節やその時の状況などにもよりますが、過去の例から約2億トンを下回った状態が続く場合に実施されることが多く、今回はそれ以上の回復は到底望めません。

このため、きょうにも決定される利根川での10%の取水制限の実施は必至の情勢だと思われます。

あさって木曜日に再び雨のチャンス

あさって木曜日に再び雨が降りそう。まとまった雨の可能性も。
あさって木曜日に再び雨が降りそう。まとまった雨の可能性も。

きょうは梅雨の晴れ間が広がる関東地方ですが、あすは雲が多くなって、あさって木曜日~金曜日(16日~17日)には再び梅雨前線上の低気圧が通過するため、雨が降りそうです。昨日と同じような雨となる可能性もありますが、貯水量の大幅な回復は難しいでしょう。

さらにこの雨が終わったあと、数日間は梅雨の晴れ間が広がり、30℃以上の厳しい暑さが続く見通しで、再び貯水量が大きく低下し始める可能性も否定できません。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ所属

人の生活と気象情報というのは切っても切れない関係にあると思います。特に近年は突発的な大雨が増えるなど、気象情報の重要性が更に増してきているのではないでしょうか? 私は1995年に気象予報士を取得しましたが、その後培った経験や知識を交えながら、よりためになる気象情報を発信していきたいと思います。災害につながるような荒天情報はもちろん、桜や紅葉など、レジャーに関わる情報もお伝えしたいと思っています。

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