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8回KO勝ちで防衛に成功したWBAミドル級王者

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(C)Amanda Westcott/SHOWTIME

 2021年5月1日、WBAミドル級レギュラータイトル決定戦が行われた。村田諒太がスーパー王者になったことで、このベルトが空位となり行われた一戦だ。キューバからの亡命者であるエリスランディ・ララ(39)が、初回KO勝ちで同王座に就いた。ララはスーパーウエルター級に続き、2階級制覇を達成。ここ3年は、日本でもお馴染みのイスマエル・サラスの指導を受けている。

 そのララが先日、同タイトルの初防衛に成功した。

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 サウスポーのララは、序盤から得意の左ストレートをビシビシと決めて流れを掴む。同級10位のアイルランド人挑戦者、ゲーリー・オサリバン(37)もアグレッシブに前進したが、4回に左フック、右ストレート、そして左ストレートを喰らってダウン。

(C)Amanda Westcott/SHOWTIME
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 39歳のララはスタミナを温存したいのか、ロープを背負い、相手に打たせながらもカウンターを狙う。

 その後もチャンピオンは、ロープ・ア・ドープとも呼べる策でオサリバンのスタミナを奪い、右フックと左ストレートを織り交ぜては、リングを支配していった。

(C)Amanda Westcott/SHOWTIME
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 7回終了間際にもララは左ストレートをクリーンヒット、翌8ラウンド23秒に更に左ストレートをぶち込んだ際、レフェリーが試合を止めた。

 勝者は29勝(17KO)3敗3分け、挑戦者は31勝(21KO)5敗となった。

(C)Amanda Westcott/SHOWTIME
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 防衛したチャンピオンは言った。

 「自分の新しいスタイルを披露できたな。俺には対応力がある。オサリバンはタフで、俺は賢かった。もちろんカウンターは狙っていたよ。8ラウンドの彼は、もう力が残っていなかったね。自分の力を示そうと思った」

 ララにとっては会心の勝利であろう。しかし、ロープを背負う時間が多かったのも事実である。39歳という年齢を考えれば賞賛に値するが、上を目指すのであれば、この内容では厳しい。GGGや一度敗れているサウル・"カネロ"・アルバレスに、彼のロープ・ア・ドープは通用するか?

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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