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サンウルブズ歴史的な初勝利! 立川理道が喜び語る。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
昨秋のワールドカップイングランド大会では、日本代表が挑んだ全4試合に先発。(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

国際リーグのスーパーラグビーに今季から初参戦する日本のサンウルブズは、4月23日、東京・秩父宮ラグビー場でジャガーズとの第9節をおこなった。

昨秋のワールドカップイングランド大会で4強入りしたアルゼンチン代表に相当する強豪クラブをホームに迎え、36-28と歴史的な初勝利を挙げた。インサイドセンターとしてフル出場した立川理道が、公式会見で喜びを語った。

チームは17日までの約3週間、シンガポール、南アフリカでの長期遠征を敢行。4戦全敗に終わっていた。

特に4月15日の第8節では、南アフリカはブルームフォンティンのフリーステイト・スタジアムで記録的な大敗を喫す。チーターズに17―92と屈した。試合のなかった第2節を挟んで開幕7連敗中だった。

もっともこの日は、序盤から接戦を演じる。相手の強みであるスクラムで伍し、立川はスタンドオフのトゥシ・ピシらとアタックシェイプ(型)を先導した。

9点差を追う後半16分には、敵陣22メートル線左スクラムを経てピシからパスを受ける。タックラーを引きつけながらの短いパスで、アウトサイドセンターのデレク・カーペンターのトライを演出した(直後のゴールも決まり、スコア23―25)。

1点リードで迎えたノーサイド直前には、敵陣ゴール前右中間のスクラムから攻撃。タックルされるピシを援護した立川が、そのままだめを押した。

以下、会見中の立川の一問一答の一部(編集箇所あり)。

「えー、9週目ですかね。やっと勝てたというところ。最後にトライができて、喜びが爆発したというのが正直な感想で…。しんどい時間が長かったですけど、選手がスタッフと一緒に前向きに取り組んだ結果です。今日の勝利をいい経験にして、また準備をしていきたいなと思います」

――決死の守備も映えました。最後のトライを決めるまでの心境を振り返ってください。

「ディフェンスで危ない場所へ帰るところには、とにかく負けたくないという気持ちが出たと思います。自分自身、飛び抜けたプレーヤーではないので、ひたむきなところをしっかり出したいと思っていた。トライ…。嬉しいですね。最後はピシがゲームコントロールしてくれた。ラッキーだと思います」

――チーム前半唯一のトライのきっかけは、中盤のラインアウトからの立川選手のランでした。

「ゲームプランとして、最初の10~15分はエリアを取りながらゲームを進めてアタックチャンスはアタック…と。僕がというより、チームの1人ひとりがやろうとしている役割をハードワークできて、笹倉(康誉、ウイングとしてキックオフ早々から途中出場)さんのトライに繋がった」

――(当方質問)カーペンター選手のトライ。綺麗でした。

「本当は違うサインが出ていたのですけど、僕とピシのなかで、相手のディフェンスがドリフト(内側から外側へ流れる守備方法)で来ると考えた。(本来の大外への展開ではなく)ダイレクト(内側に切れ込むカーペンターへのショートパス)を使って行こう、と。カーペンターもいいコースで入ってくれて。バックスライン全体でトライを取れた」

――(当方質問)改めて、だめ押しトライを振り返ってください。

「トゥシが(前に)行くと雰囲気で分かっていた。もしオフロードパス(タックルされながらのパス)がなくても継続するつもりで…。トライは、ラッキーですね。というか、きょうはスクラムも安定していたので、バックスもやりやすかった。しっかり組んで相手のボールを出してくれた。(スコアの立役者は)バックスというよりフォワードなんじゃないかと」

――先週の大敗について。

「あの負けを経験して、選手がハードワークしてくれた。スタッフも、色んなことを考えながら僕たちへの落とし込みを考えてくれた。いつもポジティブでした。もう二度とああいう経験をしたくないと、踏ん張れた。今日は、もともとあったストラクチャーを明確にして、その役割を徹底できました」

――スタンドの光景を見てどう思いましたか。また、折に九州を襲った震災をどう捉えましたか。

「ファンの方々は勝つところを観て喜んでくれたと思いますし、苦しい時間帯もスタジアム全体で盛り上げてくれた。それは嬉しいことです。九州の地震について僕たちができることは、できる限りしてきた。(メンバー外の選手を中心に)募金活動をしてくれて、きょうは喪章をつけて試合をしました。モチベーションにはなったと思います。日本人は、そういうところに責任を持つので」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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