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「OK Go」 のドローンと本田のユニカブと人海戦術ビデオに感動!

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

KNNポール神田です!

みたいもんいしたにまさきさんに教えてもらったこのビデオがスゴイ!

しばし、お時間をください。そして最後まで見てください。

OK Go- I Won't Let You Down- Official Video

監督 原野守弘 

OK Go ビデオ 8つの驚きポイント

1.本田技研工業のコンセプト「ユニカブ(UNI-CUB)

2.ドローンによる空撮

3.スロー撮影によるタイムラプス感

4.すべて一発撮り

5.総勢2,000人を超えるエキストラによる人文字 北朝鮮でもムリだろう!

6.コンピュータ・シミュレーション技術 模型&パソコン&演技指導

7.天候、風、ロケーションの運!

8.ユーザー参加型 シミュレーション

メイキング編を見ると、さらにこの撮影の難しさが理解できる。スローの音楽に手拍子をあわせながら、ユニカブを操舵するのだから。しかし、これはひいては、ユニカブの操作のしやすさを十分にアピールできている。

メイキング編

インタビュー編

1分27秒に一瞬映るドローン搭載カメラが見える。

特性カートで固定しているところから、陸空同時移動対応可能なカメラが初登場する。

1930年代のハリウッドのコレオグラファーバズビー・バークレー(Busby Berkeley)は、舞台のミュージカルを、巨大なセットで大人数での一発芸で魅了し、MGMのミュージカル映画の黄金期を築く。舞台の焼き直しであった映画メディアを新たな表現手段としてのメディアへと変えた瞬間だ。

まさに、このビデオは、バズビー・バークレー時代よりも手間と時間がかかることをおこなっている。スローでの撮影。空中撮影。完全一発撮り…。相当大変な作業だったことだろう。人文字もメッセージまで表示する。

CGで作ってしまえば、数日でできあがることだ。

しかし、CGではなく、人海戦術であることに我々は感嘆するのだ。

デジタル時代に求められるもの

人間の行動やふるまいを仕組み化しアルゴリズム化してきたのが、いままでのデジタル社会である。

しかし、このビデオは、その計画化されたアルゴリズムを、人間化したところに、共感が生まれる。

一瞬でも、天候や風向きが変わったら撮影ができない。誰か、ひとりでも大きなミスを冒してしまったら、全体に影響を与えてしまう。傘の動き一つ、電光掲示板役の文字ひとつ…。CGでやればなんとてでもなる時代に…わざわざ…。

HONDAのセグウエイもどきを単に造るだけでなく、もう一度、機械と人間の一緒に歩む道を楽しみながら、模索しようとしているのがよくわかる。

それにしてもドローンでここまで撮影できるとなると、もう空撮はドローンで価格破壊になりそうだ。

どうすれば、ドローンの運転技術を学べるのだろう? セスナの免許やヘリ免許のダウンサイジングで考えると何百万の一なんだろうなぁ…。これにオキュラスのヘッドマウントとか、市販されると、誰もが「進撃の巨人」視点になれる日も近い…。

本田のウェブサイトでの取り組み

I wont let you down特別サイト

http://iwontletyoudown.com/

をぜひ見て欲しい。

このビデオのシミュレーションを自分で楽しむことができるのである。

http://iwontletyoudown.com/#previs

自分で動きをデザインできるページ
自分で動きをデザインできるページ

かなり熟練を必要とするが、下部のGallery画面でも楽しめる。

これはまさに、ビデオを追尾体験できるユニカブの新たな広告戦略だろう。

本田の社会実験広告としてのビデオ

このミュージックビデオを見てボクは、「ネイティブ広告」の本来の姿だと感じた。「枠」とか「スペース」とか「記事と広告」の境界線を一切感じることがない。もちろん、ユニカブはまだ発売されていないので本田の企業広告とも、とらえるべきだろう。しかし、何百台ものユニカブが登場しているので、いつでも発売はできる状況下にあるといってもいいだろう。

しかし、そこに立ちはだかるのは、日本の「道路運送車両法」である。

2004年、警視庁はセグウェイによる一般公道の走行を交通違反としてボクを書類送検した(やまもといちろう氏の警察への通報によるものらしい)。よく誤解されるが、逮捕ではなく、刑事罰としての罰金刑であった(しかも、50万円のうち30万円は自賠責保険がないという理由)。その支払を拒否したことによっての東京拘置所での実労を選択した。

本田のユニカブは、公道を走行するものではないだろう。あくまでも私有地に関しての走行であれば、「道路運送車両法」による自賠責保険への加入もなければ、制御装置(ブレーキ)の有無も問われない。もちろん、ナンバープレートの表示義務もない。

だから、ユニカブは、インドアユースを考えれば高齢化する日本においても福音でもある。いきなり室内用として販売するだけではなく、広く世論にこの技術の顕在していることを流布するというソーシャルなロビー活動が必要だったのだ。

もちろん、このユニカブを進化させたクルマも考えられるだろう。老人が電動カートにのって歩道を走るためには、まだまだたくさんの法整備を変える必要がある。

当然、日本国内だけでなくワールドワイドでの展開を考えると、屋外でどのようなユニカブの使われ方がするのかも気になる。むしろそれだけでなくパーソナルジェットを作っている本田が、一人乗り用のドローンや、人命救助専用のドローンを作ったらどうなるだろうか?いろんな夢を本田と語りたくなった。

それが本田のThe Power of Dreamsだろう。

一連の企業CMを見ているとよくそれが理解できる。

ソーシャルメディア時代の新たなクリエイティブと企業とのコラボレーションのあり方を見せていただいた気がする。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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