脱「断れない人」!上手に仕事を断るフレーズ
仕事をしていると、多くの頼まれごとをします。
頼まれごとの中には、「上司から急なスケジュールの仕事を振られた」「お客様から無理難題を頼まれた」など、「これは断った方がいいな」と判断できるものもあります。しかし、そんな時でも、相手との関係や状況によってはなかなか断りづらいものです。
こちらはやんわりと断ったつもりでも、伝わっていなくて、受けることになってしまったり、きっぱり断ったために、その後の関係が上手くいかなくなってしまうこともあります。
そこで、今回は、上手に仕事を断るためのフレーズをお伝えします。今まで仕事を断りきれず、負担が重くなっていた方も、「適切な断り方」を身につけて、ストレスなく円滑に仕事をしていきましょう。
仕事は断ってもいい
「仕事が断れない」という人は、どのように考えているのでしょうか。
「仕事ができない人だと思われてしまう」
「断ったら嫌われてしまうのではないか」
「上司やお客様に言われたことはすべて従うのが仕事だ」
そんな風に思っていたとしたら、それは誤りです。
本当は仕事を断るべき状況なのに、断れないばかりに負担が増大して、連日の残業が続いたり、疲労が溜まってミスが起こって…それではかえって悪循環です。
仕事を断れないことは、自分を苦しめ、ストレスの増加を招きます。何もかも「はい」と受けていると、「困ったときは、あの人に頼めばいい」と便利屋扱いして仕事を頼んでくる人もいます。
仕事では、自分の状況や意思を遠慮せずに伝えましょう。「面倒だから」と断るのではないのです。「仕事を断ることは、失礼でも、悪いことでもない」と理解しましょう。
知っておこう!「断り方の公式」
人間関係を壊さずに、上手に「断る」には、公式があります。
その公式は、「感謝+理由+断り+代替案」です。
①感謝(ポジティブ言葉)…最初に感謝の気持ちを伝える
②理由(ネガティブ言葉)…自分の状況や考えを話す
③断る(ネガティブ言葉)…断り、残念さや謝罪を付け加える
④代替案(ポジティブ言葉)…埋め合わせたい気持ちや、具体的な代替案を示す
「②の理由」は、長々と話してしまうと、受け取る側は言い訳がましく感じるので、簡潔に伝えます。
言葉を和らげる「クッション言葉」を使う
上記「③断る」では、最初にクッション言葉を入れて、配慮の気持ちを表しましょう。
クッション言葉とは、本題の前に入れることで、ショックを和らげる「クッション」の役目をする言葉のことです。たとえば、以下のような例が「クッション言葉」です。
・あいにくですが
・せっかくですが
・誠に勝手ながら
・心苦しいのですが
・残念ではございますが
・申し訳ございませんが
・お気持ちはありがたいのですが
会話としては、以下のように使います。
「せっかくではございますが、今回の会合は欠席させていただきます」
「あいにくですが、ご希望の品は現在在庫を切らしております」
「誠に勝手ながら、こちらの商品の販売は終了いたしました」
よくある場面別「使える断りフレーズ」
仕事の場でよくある場面に合わせて、断る際に使える具体的なフレーズをご紹介します。上記の「公式」を使って、3つのケースに合わせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
(1)上司から、重い仕事を今週中に完了させて欲しいと依頼された場合
■NG例
「今週は忙しくてお引き受けできません」
■OK例
お声がけいただき、ありがとうございます。(①感謝)
あいにく、今週は提案書の作成が5件入っており(②理由)
お引き受けできずに、申し訳ございません。(③断る)
よろしければ、来週以降でしたらお受けできますがいかがでしょうか。(④代替案)
(2)上司から「今日中に〇〇の仕事をしてくれないか」と依頼された場合
■NG例
「今日は無理です」
■OK例
お声がけいただき、ありがとうございます。(①感謝)
あいにく、今日中に△△と☆☆の仕事を終えなければならず(②理由)
申し訳ないのですが、〇〇に取りかかることができません。(③断る)
明日でも可能でしたら、スケジュールを調整しますがいかがでしょうか。(④代替案)
(3)お客様から「〇〇商品を値引きしてくれないか」とお願いされた場合
■NG例
「〇〇商品はお値引きができません」
■OK例
購入のご検討をいただき、ありがとうございます。(①感謝)
〇〇商品については、ご提示の金額がギリギリのお値段となっております。(②理由)
大変心苦しいのですが、これ以上のお値引きができないこと、ご理解くださいますと幸いです。(③断る)
〇〇商品に機能が似ている△△商品ですと、ご予算内に収まるかと存じますが、いかがでしょうか。(④代替案)
あなたも「断り上手」になろう
「断る」ときは、ストレートに自分の考えを伝えるのではなく、相手がどう感じるかを考えて伝えることが重要です。本来は断らなければならない仕事を引き受けてしまって、多大な負担になったり、モヤモヤした気持ちを引きずらないためにも、適切な断り方を身につけましょう。
「断り上手」は、円滑なコミュニケーションを維持するための必須スキルなのです。
研修トレーナー太田 章代
------------------------------------------------------------------
太田章代の『ビジネスコミュニケーション術』