電通推定の日本の広告費を詳しくさぐる(2023年公開版)
電通は2023年2月に日本の広告費に関する調査報告書「2022年 日本の広告費」を発表した。その内容を基に2022年の広告費の実情を確認する。
まずは2022年の広告費における前年比から、直近の広告費の動向を見ていく。2021年から2022年における広告費の変化を示したものだが、各媒体の広告に関する影響力、クライアントからの評価の変化の度合いがよく分かる結果となっている。
4マス(マスコミ四媒体)とプロモーションメディア広告費は大体マイナス、インターネット広告費はプラスと、二極化した動きが生じている。もっとも大きな下げ幅を示したのはプロモーション広告費のうちイベント・展示・映像ほかの区分でマイナス7.5%、次いで4マスの雑誌でマイナス6.9%。いずれも新型コロナウイルスの流行で利用者が急減した結果、広告出稿が減ったであろうことが想像できる。
他方インターネット広告費の区分は幅こそ違えどすべてがプラス。調査報告書では「特にインストリーム広告を中心とした動画広告の需要増が寄与した」「企業の販売促進活動におけるデジタル活用が進み、リスティング広告やデジタル販促も好調だった」などと説明している。中でもラジオデジタルの上げ率が大きなものとなっているが、これについては「Podcastをはじめとする音声メディアが引き続き注目を集め、radikoも含むラジオデジタル広告への新規出稿と継続出稿がみられた。また、プレミアムオーディオ広告も堅調に推移した」との説明がある。
続いてこれを前年比ではなく、単純に金額ベースで示したのが次のグラフ。
従来型大手媒体(4マス)、中でもテレビメディアが単体で大きな広告費を占めているのが一目瞭然。個別項目では太刀打ちできず、プロモーションメディア広告費を全部合わせてようやく追い越せる状態。他方、インターネット広告費全体がテレビメディアどころか、マスコミ四媒体全体すら追い抜いている実情も確認できる。これは2021年で初めて生じたもので、今回年で2年連続のものとなる。調査報告書でも特記事項として「総広告費における『インターネット広告費』の構成比は43.5%となり、2兆円超えの2019年よりわずか3年で約1兆円増加し、3兆円規模の市場となった」と示されている。
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