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日テレもTBSもテレビ朝日も…主要テレビ局の複数年にわたる視聴率推移(2024年5月公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
テレビ(局)の成績表ともいえる視聴率。その推移は?(写真:イメージマート)

HUTの意味とその推移

テレビ局の番組や局のメディア力のすう勢を推し量るのに、一番明確な指標が視聴率。キー局などにおける複数年の視聴率の移り変わりを確認する。

具体的には先行記事【全局視聴率下落…主要テレビ局の直近視聴率実情(2024年3月期下期・通期)】で行った手法と同じように、TBSホールディングス・決算説明会資料集ページに掲載されている各年の決算短信資料などを確認し、主要局(キー局とNHK)の視聴率を抽出、各種精査を行う(他局の決算短信資料で補完や確認も行っている)。直近分は2023年度(2023年4月~2024年3月)。

まずはHUTの推移を確認する。この「HUT」とはテレビの総世帯視聴率(Households Using Television、テレビをつけている世帯)を意味する言葉で、具体的には調査対象となる世帯のうち、どれほどの比率の世帯がテレビ放送をリアルタイムで視聴しているかを示す値(チャンネル別の区分はない)。

これには録画した番組の再生、家庭用ゲーム機でテレビ画面を使っている場合は該当しない。またパソコンやスマートフォンなどによるワンセグの放送視聴も当てはまらない。ただしインターネットテレビによるテレビ番組の視聴は該当する。

HUTの値として確認できるのは、ゴールデンタイム(19~22時)、全日(6~24時)、プライムタイム(19~23時)の3種類。そのうち一番視聴率が高く、変移が見やすいゴールデンタイムのもの、そして包括的な意味を持つ全日のグラフ、合わせて2つを併記し、状況を確認する。

↑ HUT(ゴールデンタイム)
↑ HUT(ゴールデンタイム)

↑ HUT(全日)
↑ HUT(全日)

かつてはゴールデンタイムで70%を超えていたHUTも、直近データでは49.4%にまで落ち込んでいるのが分かる(縦軸の最下方が45%になっていることに注意)。1997年度下期の71.2%をピークに、多少の上下はあれど、全体的には下降の一途をたどっている。また、年末年始は特番が多く放映される、正月休みで自宅待機率が高まることを受けてテレビ視聴率が上昇するため、毎年「上期より下期の方が高い」傾向があり、結果としてギザギザの形を示す。無論年度ベース、つまり通期の値は、上期と下期の平均値となる。

中期的には全日・ゴールデンタイムともにHUTは落ちているが、2010年前後からは(特にゴールデンタイムでは)横ばいの動きに転じていた。さらに2013年度に入ると、明らかに底打ち感から反転の兆し、トレンド転換の動きが明確化した。ところが2014年度上期以降、再び下落基調に転じてしまう。

2016年10月からはタイムシフト視聴率の調査が実施され、タイムシフト視聴率や統合視聴率が試験的に一部ではあるが公開されている。しかしながら各報告書の言及や他の公開状況の限りでは、HUTはリアルタイム視聴率のまま。HUTの下落傾向もあるいは、タイムシフト視聴をしている人が増えているのが一因かもしれない。

2020年度上期ではゴールデンタイムも全日もHUTは大きな増加を見せ、イレギュラー的な動きとなっているのが確認できる。これは新型コロナウイルスの流行による巣ごもり現象で生じたテレビ視聴の機会増加によるものと考えて間違いあるまい。もっとも2020年度下期以降では、その特需的な増加も無くなり、失速した形となっている。特に2021年度下期以降の下落具合は著しく、グラフ上の動きでもそれがはっきりとしたものとなっている。全日では2022年度下期、ゴールデンタイムでは2023年度上期で底を打ったような動きとなっているのは幸いだが。

主要キー局などの視聴率動向

次に各局の視聴率について。年度ベースにおける2009年度から2023年度(2023年4月~2024年3月。「2024年3月度」と同じ期間だが表記が異なることに注意)までの主要局のゴールデンタイムにおける視聴率の推移をグラフとして作成した。なお類似データとして全日・プライムタイムのものもあるが、大局的に違いは無いので、別途作成はしない。また併記している折れ線グラフは取得可能な全期の動向を対象としている。

↑ 主要局年度世帯視聴率(ゴールデンタイム、年度ベース)
↑ 主要局年度世帯視聴率(ゴールデンタイム、年度ベース)

↑ 主要局年度世帯視聴率推移(ゴールデンタイム、年度ベース)(2003年度以降)
↑ 主要局年度世帯視聴率推移(ゴールデンタイム、年度ベース)(2003年度以降)

それぞれのテレビ局の傾向がつかみ取れて興味深い。フジテレビは視聴率の下落が問題視されていたが、2017年度から2018年度あたりでようやく底打ちを見せたように見えたものの、直近3年で再び大きく落ちている。逆に堅調さが伝えられていた日本テレビが、実は2014年度以降はじわりと視聴率を落としているのに要注目(さらにこの3年ではフジテレビ同様に急降下状態にある)。NHKは2019年度以降大きな持ち直しを示していたのが頼もしい(直近2年では大きく落ち込んだが)。

一方で、一部局で生じている2019年度から2020年度のイレギュラー的な動きは、新型コロナウイルスの流行という特殊事情が影響していることは否定できない。それが大きな原因ならば、一部局での2019年度から2020年度における持ち直しは、単に新型コロナウイルスの流行という特殊要因による特需のようなもので、ここ数年の大幅な下落はその反動が生じているだけとの解釈もできよう。もっとも日本テレビのように、新型コロナウイルスの流行による特需も見られず、ここ数年では大幅な下落を見せている局もあるが。

各局の中期的な視聴率動向が、今後どのような動きを示していくのか。テレビ全体の視聴動向、HUTにもかかわる話なだけに、大いに気になるところではある。特にこの数年はどの局も大きな視聴率の下落が生じている。タイミング的に、新型コロナウイルスの流行が一つのきっかけとなり、加速がついたとの解釈もできる。この勢いのまま下落が継続するのだろうか。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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