NY原油4日:OPECの高供給体制が続くとの見方で、大幅続落
NYMEX原油7月限 前日比1.64ドル安
始値 59.57ドル
高値 59.94ドル
安値 57.83ドル
終値 58.00ドル
5日に石油輸出国機構(OPEC)総会を控える中、大幅続落となった。
OPEC総会では特に大きな政策変更は想定されていないが、OPECとしての産油量拡大の流れに歯止めが掛からないことが確認されるとの見方が、原油相場の上値を圧迫している。6月末に核開発交渉の期限切れを迎えるイランは、制裁解除を見据えて増産の意向を強めている。しかし、OPECの他加盟国はイランの増産に対応するために自らの産油量を引き下げる意思はない模様であり、今後は既に増産に舵を切っているサウジアラビアやイラクなどに続いて、イラン産原油も国際需給に対する強力な緩和圧力になる可能性が高い。
米国内では季節要因から在庫の取り崩しが促され易くなっているが、国際的には潤沢な供給が溢れた状態が続くことになる。シェールオイル生産は確かに鈍化しているが、それでも大規模な減産を迫られるような状況にはない。一方、OPECはシェールオイルの増産鈍化を上回るペースで増産を進めており、供給サイドから需給緩和状態を是正するのは困難なステージが続く見通し。
足元ではドル高傾向にブレーキが掛かっていることが、原油価格に対して一定の下支え要因になっている。しかし、ドル高傾向が大きく修正を迫られる必要性が乏しいことを考慮すれば、今後はドル高連動で改めて下値を模索する展開となろう。需給面の買い材料は乏しいだけに、ドルが急落前の高値水準を回復すれば、50ドル台割れを試すことも十分に可能な相場環境と評価している。