パリで開催中の香取慎吾氏の海外初個展を訪問
9月19日から10月3日までパリで行われている「香取慎吾 NAKAMA des ARTS」展を訪問した(主催:株式会社モボ・モガ、共催:国際交流基金、後援:木下グループ、協力: ルーヴル美術館)。香取氏が日仏友好160年を記念して開催中の日本文化・芸術の祭典「ジャポニスム2018:響きあう魂」の広報大使を務めている縁もあって、公式企画の一つとして、海外初の個展を開くチャンスをつかんだと聞く。
会場は、ルーブル美術館に隣接したショッピングアーケード「カルーセル・ド・ルーヴル」内のシャルル5世ホールで、誰もが自由に通れる通路に面した無料観覧スペースだ。巷間報じられている「ルーブル美術館で初個展」というのとは少しニュアンスが違う。それでも、絵画やウィメンズを中心とした衣装デザインなど約100点の展示物は、ポップでカラフルな色彩と、ピカソを思わせる抽象的な画風、少しの狂気とダークネス、フィット&フレアの美しいシルエットなど、才気を漂わせている。制作風景を映したムービーも放映されている。
作品群のコンセプトは「アートを通じて仲間とつながりたい」で、「“弱さ”が“強さ”」をテーマにした絵画とドーム型の建築も注目だ。特に外から見ると、ひだが連なっているようなドームは、ビニールやファブリック素材でクッション材を包み込んだカラフルな「ZUKIN」(防災頭巾)を約1000個もつなぎ合わせたもの。地震大国・日本において、人々の暮らしに寄り添いながら、アートと建築で問題解決を提案する作品となっているのが印象的だった。
筆者が訪問した平日昼間の観覧者は、日本人と思われる女性グループやサラリーマン風の男性などが半数で、ルーブル美術館の訪問客と思われる人々が半数といった具合。作品の主が日本人であることや香取氏であることを知らなくても、足を止め、作品に見入り、写真やムービーを撮る人も多かった。ツアー客を率いるガイドが通りがかりに企画内容を説明するシーンも見受けられた。
ちなみに、写真撮影を頼まれた東南アジア系の男性は、筆者も日本人であることを知ると、「日本人もこの作品も素晴らしい」とニッコリ。会場の都合なのか、照明が暗いのが残念だったが、夢がかなう喜びや希望の光が感じられる、なかなか良いエキシビションだった。