Yahoo!ニュース

長野オリンピック日本代表GKダスティ・イモオ(46歳)が現役復帰! 同じ試合で22歳の息子が先発!!

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
長野オリンピックで日本のゴールを守ったダスティ・イモオ(日本名=芋生ダスティ)(写真:ロイター/アフロ)

NHLのレギュラーシーズンは開幕から10日が経ちましたが、昨夜(現地時間)の試合で、コロンバス ブルージャケッツが勝利して、30チームが全て白星を手にしました。

レギュラーシーズンは、半年にわたって82試合を戦う長丁場ではあるものの、どのチームもいいスタートを切りたいのは本音のはず。

しかし、レギュラーシーズンの滑り出しから、明暗が分かれてしまっています。

なかでもシビアな戦いを強いられているチームは、ロサンゼルス キングス

▼呪われたロサンゼルスキングス !?

ロサンゼルスがシビアな戦いを強いられて原因は、一にも二にも「主力のケガ」

5季前に初優勝した際、プレーオフMVPを受賞したGKのジョナサン・クイック(31歳)が、開幕戦で負傷してしまったのです!

ご覧いただいたプレーによって、3ヶ月の欠場を強いられることになり、ロサンゼルスは、いきなり「絶対的守護神不在」という大きな痛手を被ってしまいました。

幸いにしてロサンゼルスには、ピーター・ブダイ(34歳)、ジェフ・ザックオフ(29歳)と、NHLでのキャリアがあるGKが控えていたため急場をしのぎ、前の試合(3日前)で4戦目にして初勝利をマーク。 

「さぁ、これから !!」というところだったのですが、昨日の練習中に、今度はザックオフが負傷してしまいました。

▼アフィリエイトチームから緊急昇格

ザックオフは脚の付け根を痛め、長期戦線離脱は必至なことから、ロサンゼルスは(NHLの一つ下に相当するAHLの)アフィリエイトチームであるオンタリオ レインの守護神ジャック・キャンベル(24歳)を緊急昇格。

トレードによる補強なども視野に入れながら、当面の間はブダイとキャンベルの二人で戦う模様ですが、困ったのは、急きょ守護神がいなくなってしまったオンタリオです。

しかも、よりによってキャンベルが昇格した日は、サンノゼ バラクーダとのホームゲームが行われるとあって、GKがいなければ試合になりません。

このような緊急事態で、チャンスを得たのがジョナ・イモオ(22歳)でした。

▼父親は長野オリンピック日本代表のGKダスティ・イモオ

「イモオ」という名前を聞いて、「どこかで聞いた覚えが・・・」という方も少なくないかもしれません。

それもそのはずで、ジョナの父親は、日本国籍を取得し、長野オリンピックや世界選手権で日本のゴールを守ったダスティ・イモオ(日本名=芋生ダスティ・46歳)なのです!

日本国籍を取得し長野五輪や世界選手権に出場したダスティ・イモオ(Rights of Jiro Kato)
日本国籍を取得し長野五輪や世界選手権に出場したダスティ・イモオ(Rights of Jiro Kato)

日本代表の強化を目的に、1994年から日本リーグの登録が認められた日系外国人選手の第一陣として、クリス・ユールらともに来日。

西武鉄道の一員となったイモオは、いきなり日本リーグのMVPになるなど大活躍。

日本リーグとアジアリーグ(西武と王子製紙に在籍)で、12季にわたってプレーしたのとともに、長野オリンピックをはじめ、世界選手権(上位16ヶ国が参加するトップディビジョン)などで、日本のゴールを守りました。

10年前に現役を退いたあとは、カナダに戻り、ジュニアチームやAHLのチームでGKコーチなどを務めましたが、昨年7月にアフィリエイトチームも含めたロサンゼルス キングスのGKデベロップメントコーチに就任。

その縁もあって(パパのネゴシエーションも?)息子のジョナが、トライアウトを兼ねてオンタリオのキャンプに参加していたのですが、前述したとおり、オンタリオのGKがロサンゼルスに昇格してしまったことから、ジョナ・イモオが先発!

さらに、公式戦では「二人のGKを登録しなければならない」という規定があり、オンタリオは傘下のチームからGKを招く時間がないため、GKコーチのダスティ・イモオがプレーヤー登録され、11季ぶりに現役選手としてベンチ入り!

こうして、、、

「24歳離れたイモオ親子が同じユニフォームで試合に臨む!」

ことになったのです。

▼父親の夢をジョナが叶えられるか

父親のダスティは、日本へやって来る前に、バンクーバー カナックスや、ハートホード ホエーラーズ(現カロライナ ハリケーンズ)のキャンプに参加したものの、契約には至らず、「NHLのGKになる」という小さい頃からの夢を、叶えることはできませんでした。

「オリンピックに出る」という新たな夢を胸に、初めて来日した時、まだ4ヶ月だった息子のジョナは、自分自身と父親の夢を叶えることができるでしょうか?

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

加藤じろうの最近の記事