1100万円の高性能モデルから生まれるレクサス「らしさ」 -レクサスGS F試乗-
レクサスのハイパフォーマンス・モデルに与えられるFの名を冠したモデルが登場した。その名は「GS F」。同社のアッパーミドルクラスサルーンであるGSをベースに、5.0LのV8エンジンを搭載した1台だ。
最高出力は477PS、最大トルクは54.0kgm。このクラスのクルマには明らかにトゥーマッチともいえるパワー&トルクを備える理由は、このモデルがレクサスを代表するモデルとして、世界のハイパフォーマンス・モデルと並ぶ存在であるからだ。
メルセデスAMG E63、BMW M5といったこのクラスの定番をライバルとする。AMGのE63は585PS、M5は560PSと世界の壁は高い。しかし、GS Fは2台と比べて迫力や速さで譲る部分があるものの、操縦性の高さは2台を凌ぐものを持っている。そのあたりについては動画を参照していただきたい。
GS Fの開発責任者である矢口幸彦氏に、なぜこうしたクルマが必要なのか? を聞いた。すると矢口氏は、
「メルセデス・ベンツやBMWには既に、伝統やプレステージという我々に追いつかないものがある。ですが、我々はこの世界に新たな価値観を提供することができます。それが乗って楽しいと言われる部分です。ですから我々のFではこの点を磨くことによって、レクサス“らしさ”を感じてもらえるようにしたいのです。メルセデス・ベンツやBMWのように名前だけで選んでもらえるようになるためには、独自の価値が必要です。そこでこうしたFモデルで価値を高めて、レクサス全体の価値も高まるという、良い連鎖を作っていきたいと思うのです。我々はアメージングというキーワードを用いて、伝統を守る必要はないので攻めの姿勢で走っていき、新たな価値を生み出したいのです」
ハイパフォーマンス・モデルの世界においても、独自の価値を作り上げることで、世の名車に負けない「らしさ」を手に入れようとしているのだ。