5月の台風2号接近と早い梅雨入りとなると東日本大震災のあった年に似ている
日本列島に停滞前線
日本列島に停滞前線がはっきりしてきました。
5月28日は、北日本~北陸は雨となり、関東~南西諸島は晴れ間があるものの雲が広がりやすく、所によりにわか雨となりました。
このため、最低気温が氷点下という冬日を観測した所はありませんが、最高気温が25度以上という夏日を観測したのが429地点(全国で気温を観測している915地点の約47パーセント)、最高気温が30度以上の真夏日を観測したのが35地点(約4パーセント)と、5月17日の暑さには及びませんでした(図1)。
5月29日も、停滞前線に向かって南から暖湿気流が入り、東北~中国・四国は雨となり、雷を伴って激しい雨の降る所もあるでしょう。その他の地域も雲の多い天気となる見込みです(図2)。
最高気温は晴れる九州と北海道で平年より高い他は、平年並みか平年より低い予報が多くなっています。
この気圧配置はしばらく続き、日本列島は雨の多い時期になりそうです。
令和5年(2023年)の梅雨入り
東京の最高気温の推移を見ると、6月初めにかけて雨が降りやすい日が続き、平年より低い日が続きますが、6月4日から7日は晴れて夏日が続く予報、6月8日以降は雨が降りやすい曇りとなって夏日が続く予報となっています(図3)。
また、九州南部は、降水の有無の信頼度が5段階で一番低いEやニ番目に低いDを多く含む予報ですが、傘マーク(雨)や黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)の多い予報となっています(図4)。
今年は、5月18日に沖縄地方と鹿児島県奄美地方で平年より6~8日遅く梅雨入りしましたが、6月4日から5日のお日様マーク(晴れ)や白雲マーク(雨の可能性が小さい曇り)の予報の判断によっては、今週中にも九州南部で梅雨入りの可能性があります。
また、東日本太平洋側から西日本でも今週中の梅雨入りの可能性がありますが、その場合は、平年より早い梅雨入りとなります(表)。
今週に梅雨入りするかどうかのカギを握っているのが、フィリピンの東にある台風2号の動向です。
【 追記( 5月29日13時)】
気象庁は、5月29日昼前に、九州北部、中国、四国、近畿、東海で梅雨入りしたと見られると発表しました。いずれの地方も平年より早い梅雨入りです。
なお、九州南部や関東甲信などは、現時点では梅雨入りを見送っています。
台風2号の沖縄接近
台風2号は、フィリピンの東の海面水温が30度以上という記録的に高い海域を通過中の5月26日には最低気圧905ヘクトパスカルの猛烈な台風となり、小さな眼がくっきりとしていました(図5)。
現在は、海面水温が28度という海域を通過中で、台風の眼がぼやけてきています。
とはいえ、非常に強い勢力です。
非常に強い勢力でフィリピンの東を西よりに進み、次第に進路を北よりに変えて、5月30日には沖縄の南に達する見込みです(図6)。
沖縄県の先島諸島では、5月29日(月)から大しけとなるでしょう。うねりを伴った高波に警戒してください。
台風2号は、その後、東シナ海をゆっくり北上する見込みです。
沖縄地方は、台風の暴風や大雨に警戒が必要ですが、台風の動きが遅いということは、日本付近の前線に向かって台風からの湿った空気の流入が続くということです。
西日本から東日本各地でも、前線による大雨に注意が必要です。
平成23年(2011年)の台風2号と梅雨入り
東日本大震災のあった12年前、平成23年(2011年)の台風2号も5月に沖縄に接近しています(図7)。
この年は、西日本から東日本太平洋側の梅雨入りが平年より早く、関東甲信地方で5月27日に梅雨入りしたあとに、今年と同じ番号の台風2号が北上しています(図8)。
平成23年(2011年)の台風2号は、5月28日に非常に強い勢力で宮古島と多良間島の間を北上し、久米島では最大風速41.8メートルを観測しています。
また、台風2号は5月29日に四国沖で温帯低気圧に変わったものの、西日本を中心に大雨や暴風となり、四国各県では日雨量が200ミリを超える大雨となっています。
さらに5月30日には東日本大震災の被災地でも大雨や暴風となっています。
令和5年(2023年)の台風2号については、5日先に東シナ海をゆっくり北上する所までしか予報されていませんが、平成23年(2011年)の台風2号の例もあり、沖縄だけでなく、各地で、台風と前線の動向に注意が必要です(図9)。
台風と前線は大災害をもたらす危険な組み合わせです。
タイトル画像、図4、図6、図9の出典:ウェザーマップ提供。
図1、図3、図5の出典:ウェザーマップ提供資料をもとに筆者作成。
図2、図8の出典:気象庁ホームページ。
図7の出典:気象庁ホームページをもとに筆者加筆。
表の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。