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【大津市】「30年後には消えてしまうかもしれない」寿司ネタや動物など五感で体験するイベントに密着レポ

Sari地域情報発信クリエイター・エシカルコンシェルジュ(大津市)

こんにちは、Sariです!今回はイベントレポートです。

旧大津公会堂で行われた、国際環境NGOグリーンピースジャパンによる「HELP展 30年後には消えてしまうかもしれない」(滋賀巡回展)に行ってきました。

主に気候変動の影響もあり30年後に日本から失われてしまうことが予想される生物や文化の中からいくつかのテーマをピックアップし、ぬいぐるみ作家・片岡メリヤス氏、八劔神社宮司・宮坂清氏、料理研究家・土井善晴氏などの多様な作家、文化人たちとコラボレーションして、日本に迫る気候危機を五感で「感じられる」作品展示です。また滋賀巡回展だけの企画もありました。

動物からのHELP

まずこちらの展示は、30年後には絶滅するかもしれない動物をぬいぐるみ作家・片岡メリヤス氏が可愛いぬいぐるみとして表現しているブース。ぬいぐるみは希望者に抽選で販売するとのことで、東京で開催されたときに展示した動物はすべて売れてしまい、今回新たに作っていただいたものを展示しているとのことでした。

滋賀県で生息しレッドリストに入っている動物として、ヤマネ・ニホンモモンガ・ ワスレナグモ・ミズラモグラもぬいぐるみとして展示されていました。

どのぬいぐるみも可愛らしい形をしていましたが表情がどこかシュールで、人間に危機感を持って欲しいと訴えているように私には見えました。

寿司からのHELP

こちらの展示では、クリエイティブユニットHAKUAさんによる、無くなる可能性に応じて透明度を変化させた樹脂オブジェの寿司の展示がありました。

上の列左からエビ・ブリ・アワビ・ウナギ・マグロ、下の段左からワサビ・タコ・イカ・イワシ・ホタテだそうです。

なんとまぁ、ブリ以外はすべて透明!アワビとウナギにいたってはゼロ、つまり絶滅する可能性が高いというんです。ワサビも透明というのにも驚きました。

普段何気なく食べているお寿司についてはっと考えさせられる展示でした。肉食が環境破壊につながるとして食べるのを控える人は徐々に増えてきましたが、魚もこれほど危機に瀕しているという事実はもっと広めないといけないと感じました。

諏訪湖 御渡りからのHELP

こちらのブースは長野県の諏訪湖で起きる、冬に湖面が厚く結氷し、気温差によって地響きのような轟音とともに氷の亀裂がせりあがって長く走る「御渡り」と呼ばれる自然現象についての動画が放映されていました。

御渡りは神様が通ったあととして知られ、毎年心待ちにされてきましたが、近年は発生が減少しているといいます。

御渡りの神事を司る八劔神社の宮司宮坂清氏がやさしく穏やかに気候危機について警鐘を鳴らす動画でした。御渡りという現象について初めて知り、自然の偉大さとそれを守っていく重要性についても再認識しました。

昆布からのHELP

こちらのブースでは、出汁として古くから親しまれ、日本の食文化を育んできた昆布がなくなるかもしれないという危機について料理研究家の土井善晴さんにお話を伺った動画が放映されていました。

日本の食文化の変化やそれが地球に与えている影響などについて、柔らかな言い方ながら厳しく警告する土井さんの言葉は、日々食べるものを選択する際に思い出し考えるきっかけを与えてくれました。

トークイベント

滋賀巡回展だけの企画として、琵琶湖と気候変動をテーマにしたトークイベントが開催されました。

登壇したのは写真右から京都大学生態学研究センター長中野伸一氏、ラオス料理人小松聖児氏、立命館大学学生尾下望氏、琵琶湖の伝統漁法えり漁漁師駒井健也氏。

それぞれの活動についての紹介のあと、琵琶湖に起きている気候変動についてディスカッションが行われました。

その中で琵琶湖には「琵琶湖の深呼吸」と言われる「全層循環」という現象があると学びました。全層循環とは、琵琶湖の表水層と深水層の水温と溶存酸素量が一定になる現象で、生態系や水質の保護に重要とのこと。それが2018年から2年連続で確認されなかった報告があり、今後も注意していかなければならないと感じました。

他にも興味深いお話が沢山聞け、登壇者のみなさん琵琶湖を愛しておられるのをひしひしと感じ、このトークイベントを通して私も琵琶湖にさらに魅力を感じることができました。

滋賀の高校新聞部とのコラボレーション

もうひとつの滋賀県巡回展のオリジナル企画として、虎姫高校、東大津高校、八幡工業高校の3校の新聞部の学生による「琵琶湖と気候変動」をテーマにした新聞記事の発表がありました。グリーンピースジャパンさんによる事前オリエンテーションの開催や取材サポートなどが行われたそうで、若者の情熱あふれる記事が展示されていました。会場にも高校生が沢山来場していて、これからの未来を担う若者が気候危機に意識を高く持ってくれるのはとても心強いと感じました。

未来への伝言ダイヤル

またさらに、今回の滋賀巡回展で初めて取り入れられた企画として、「未来への伝言ダイヤル」というのがありました。電話の受話器をとって、気候危機に関して日々思っていることや今回のイベントについて思ったことなどを吹き込むと、その情報をまとめて滋賀の政策を担う方へ届けてくれるというもの。参加した人が吹き込む内容を書いたメモが沢山はってあり、意見を届けたい人がたくさんいるのを嬉しく思いました。日頃そういった市民の声を政策の方に届けることはなかなかできないので、面白い企画だなと思い私も参加して日頃思っていることを吹き込みました。

助けたいと思ったものへの擬似募金体験

イベントでは参加型の面白い企画が用意されていました。受付で登録したコインを持って展示を鑑賞し、最後に自分が助けたいと思ったものの募金箱へコインを投入すると、募金したものから、「ペンプロッター」によりその場で執筆・出力するお礼の手紙を受け取ることができるというものです。

どれを助けたいか考えながら展示を見ることができ、募金したものからのお礼の手紙はコミュニケーションをとれたような気がして楽しい参加型企画でした。

まとめ

「HELP展 30年後には消えてしまうかもしれない」(滋賀巡回展)の模様をお届けしました。私自身知らなかったことが沢山あり多くの学びがあるイベントでした。来場者も2日間で200人を超えたそうで、広く影響を与えるイベントとなったのではないでしょうか。

このような五感で楽しみながら気候危機について知ることができるイベントは今後も開催して欲しいと思います。

主催のグリーンピースジャパンさんは気候危機や環境問題について様々な取り組みをしておられます。ホームページなどをぜひチェックしてみていただければと思います。

国際環境NGOグリーンピースジャパン

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地域情報発信クリエイター・エシカルコンシェルジュ(大津市)

幼少から滋賀県大津市で育ち、二人の子供も大津で育て、子育て終了と共にこれからは多くの人に大津の魅力を伝えようと活動中。エシカルをライフワークに、こちらでは大津のエシカルなお店や人も紹介します。滋賀のローカルメディアLOMOREグルメライターの顔ももちます。グルメのInstagramアカウントは @sari_heart77 こちらもよろしくお願いします!

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