いよいよ準々決勝! センバツ甲子園
大会は準々決勝を迎え、盛り上がりを見せる。早稲田実(東京)の敗退は惜しまれるが、大阪勢の快進撃や好投手・福岡大大濠の三浦銀二(3年)の活躍で熱戦が期待できる。
履正社(大阪)-盛岡大付(岩手)
盛岡大付の左腕・三浦瑞樹(3年)の投球がカギを握る。2回戦では智弁学園(奈良)を4安打1失点で完投し、連覇の夢を打ち砕いた。緩急をうまく使った投球が見事にはまったが、初戦は4回途中で6失点と崩れている。これまでから、試合によって出来不出来が極端なタイプで、立ち上がりが特にポイントになる。履正社打線は1、2回戦で左腕投手を打ちあぐんでいて、苦手意識があるか。主砲・安田尚憲(3年)、若林将平(3年=主将)が本来の当たりを取り戻していないのも気になる。エース・竹田祐(3年)は、2回戦は危なげなかったが、盛岡大付打線は当たっているので、楽な投球にはならないだろう。
報徳学園(兵庫)-福岡大大濠(福岡)
引き分け再試合があって連戦になる大濠は、チームとしてかなり消耗しているはずで、エース・三浦の出来が勝敗を分ける。
滋賀学園戦は、力の入れ具合を意識した投球で、勝負所では140キロを超える球を投げていた。八木啓伸監督(39)も、「公式戦で三浦以外は投げていませんから」というように、大黒柱に全てを託す。対する報徳打線は好調で、特に1番・小園海斗(2年)がチームを活気づけている。報徳のエース・西垣雅矢(3年)も秋とは別人のように成長していて、連打を許さない。大濠は、当たっている古賀悠斗、東怜央(ともに3年)の3、4番を好機で打席に送りたい。チーム状態がいい報徳の優位は動かないが、三浦の力投に、ナインはもとよりスタンドも一丸になって盛り立てる大濠の底力も侮れない。
健大高崎(群馬)-秀岳館(熊本)
昨年春夏4強の経験者を擁する秀岳館が試合運びの安定感で上回る。速球派の川端健斗、技巧派・田浦文丸(ともに3年)の左腕二枚は、いずれが先発しても試合を作れる。ただ、打線は中軸の木本凌雅(3年)ら、経験者のバットはやや湿っている。健大は引き分け再試合をあまり消耗せず勝ち切れた。特に初登板の向井義紀(3年)が力投し、主戦の右サイド・伊藤敦紀(3年)ら3投手を休ませられたのが大きい。タイプの異なる投手をつないで、うまく目先を変えられれば面白い。健大は、左投手相手でも機動力で活路を見出そうとするはず。機動力を生かすためにも、健大は終盤勝負に持ちこみたい。
東海大福岡(福岡)-大阪桐蔭(大阪)
2回戦は奇しくも11-8での勝利で、ともにやや大味な試合だった。
東海大福岡のサイドハンド安田大将(3年)はテンポ良くコーナーを突く。早実の清宮幸太郎(3年=主将)も「うまく投げられた」と脱帽。早実戦は終盤に追い上げられたが、最後までペースを乱さなかった。大阪桐蔭は下位まで振りがシャープで甘くなると怖い。相手の打ち気をかわして、根気よく投げたい。桐蔭のエース・徳山壮磨(3年)は秋よりも球威が増していて、状態がいい。控えの香川麗爾(3年)や柿木蓮(2年)も甲子園のマウンドを経験済みで、誰かが崩れても早めに継投できる。接戦になれば、根尾昂(2年)を抑えで起用するパターンも確立されつつあり、投手陣の死角はない。桐蔭は、過去2試合で初回に大量得点していることから、安田が序盤をうまく乗り切って先制できれば、東海大福岡にもチャンスはある。
大阪勢優位も、福岡勢の健闘光る
地力のある大阪勢が優勝争いを引っ張る。2年生が多く、不安定さと勢いが混在する大阪桐蔭(タイトル写真)の西谷浩一監督(47)は、「(静岡との)苦しい試合を勝てたのは大きい。(もつれた試合を)秋は勝ち切れていなかった」と若いチームの成長に手応えをつかんでいる。また、福岡勢の2校はいずれも好チームで、試合内容も素晴らしく、大会を大いに盛り上げている。チーム状態がいいのは報徳で、永田裕治監督(53)の最後を飾ろうとムードは最高潮だ。