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チャプマンより深刻かもしれないロイヤルズ・ギャラガーの新型コロナ感染ケース

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
紅白戦出場後に新型コロナウイルスの感染が確認されたキャム・ギャラガー選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【チーム合流後に感染が発覚したチャプマン】

 ヤンキーズのアーロン・ブーン監督は現地時間の7月11日のオンライン会見で、チームの守護神アロルディス・チャプマン投手が新型コロナウイルスに感染したことを明らかした。

 これまでヤンキースではDJ・レメーヒュー選手、ルイス・セサ選手の感染が確認されていたが、彼らは2人ともニューヨーク移動前のPCR検査で陽性反応が出たものだ。しかし今回のチャプマン投手は、チーム合流後に感染者が出た初めてのケースだ。

 ESPNなどが報じたところでは、チャプマン投手はチーム合流前の事前PCR検査で陰性だったため5日からヤンキー・スタジアムに合流。これまで2回のブルペン投球を行っていた。今回の感染確認を受け同投手は隔離措置をとられることになるが、すでに軽度ながら新型コロナウイルスの症状が出ているという。

 ヤンキースはチャプマン投手の感染が確認された時点で、同投手との濃厚接触者の確認作業を続けているが、現時点でチャプマン投手のパーソナルトレーナーなどから陽性反応は出ていない。

【ロイヤルズのギャラガーは無症状感染が発覚】

 チャプマン投手はチームに合流していたとはいえ、まだ個別練習中だったので、ある程度濃厚接触者の数を制限することができていた。より一層深刻なケースは、ロイヤルズのキャム・ギャラガー選手のケースだろう。

 同選手も最新のPCR検査で陽性反応が出てしまったのだが、彼は検査結果が届く前に紅白戦に出場しており、多くの選手、コーチ、チームスタッフらと濃厚接触している可能性が高いのだ。

 MLB公式サイトのマーク・フェインサンド記者は、ギャラガー選手の感染に関するコメントをツイッター上に投稿している。

【「昨夜紅白戦に出場し今朝陽性だと知らされた」】

 コメントの全文は以下の通りだ。

 「今回の知らせは驚きでしかなかった。昨晩の紅白戦に出場し、まったく問題はなかった。そして今朝になって、自分の最新の検査から陽性反応が出たとの知らせを受けた。自分は無症状であり、隔離期間もシーズンに向け、できる限りの準備を進めていくつもりだ。この2週間チーム練習に参加し、シーズンを迎えるのが楽しみで仕方なかった。チームに再合流できるのが待ち遠しいし、1日も早くプレーしたい」

 すでに周知の事実だが、PCR検査は100%信頼できるものではなく、偽陽性、偽陰性の結果が出る可能性を否定できない。ギャラガー選手にしても、本当の無症状感染者なのか、それとも擬陽性だったのかは定かではない。

 だが同選手が無症状感染者だった場合、前述通り彼は紅白戦出場中に多くのチーム関係者と濃厚接触していることになる。今後のPCR検査の結果を待つしかないが、最悪の場合チーム内でのクラスター発生も想定しておかねばならない。

 NBAやNHLではチーム内での感染拡大で、練習施設を閉鎖するチームが出てきている。今後も新型コロナウイルスと深刻な闘いが続くことになりそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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