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焼鳥屋〝なのに〟フレンチもラーメンも本気。女性客も多い隠れ家【焼鳥ビストロふじ/千葉】

今回、冒険するのは千葉県市川市市川の「焼鳥ビストロふじ」。総武線・市川駅から徒歩10分以上は歩くだろうか。弘法寺へと向かう参道沿いに飲み屋がポツリ、ポツリ。まさに昭和風情。昔ながらの店が多いなか、一際目立つ白い暖簾を見つける。そこが「焼鳥ビストロふじ」だ。古民家を改装したかのような外観。こんなところに焼鳥屋。立地的にも、まさに隠れ家だ。

喧騒から離れた参道沿いにひっそり

店名が表すとおり、ここは焼鳥屋でありながらビストロ。店主の近藤さんが目指したのは、うまい焼鳥とフレンチをベースとした洋風おつまみ、それと厳選したワインを楽しめる場所だ。

そういうと敷居が高くなると思う人もいるかもしれないが、実際はそんなことはなく、女性客も多いのが特徴的。それだけ入りやすい雰囲気に満ちているということ。焼鳥にフレンチをベースとしたおつまみが付くコースも2400円〜とお手頃なんだ。

前菜5種盛りで一気にワイン気分

前菜5種盛り
前菜5種盛り

シャルドネ気分だったのでマコンを(お酒は20歳になってから)
シャルドネ気分だったのでマコンを(お酒は20歳になってから)

コースはまず前菜から。ラタトゥイユに金華サーモンの冷燻、水なすの浅漬、キャロットラペに、ホワイトショコラ(白いとうもろこし)のムース……。洋一色かと思いきや、水なすでサラッと外してくるところも近藤さんらしい。

いわゆる高級食材に頼らなくても、こんな風に彩ってくれる……。いいね、これぞビストロ。即、吞兵衛の心を鷲掴み。焼鳥が焼き上がるまで、じっくりまったりと楽しめるというもの。

焼鳥は銘柄鶏も地鶏も交えて

さび焼き
さび焼き

せせり
せせり

「焼鳥ビストロふじ」の焼鳥は、信玄鶏を軸に地鶏も交えるスタイル。1本目のさび焼きは名古屋コーチンのささみだそう。ふっくらとしながら、ほどよい弾力。続くささみもプリッとしてやわらかい。

ビストロというぐらいだから、フレンチのように串にソースを添えるようなアプローチもあると思うけど、近藤さんはそれを選ばない。ささみだって、焼鳥屋王道のわさびだ。焼鳥はあくまでもシンプルに。そういうギャップもここのいいところ。

ふんわりとした、つくね
ふんわりとした、つくね

食感豊かなヤゲン軟骨
食感豊かなヤゲン軟骨

肴の一つ一つに丁寧な仕事

焼なすと生ハムのブルスケッタ
焼なすと生ハムのブルスケッタ

パテ・ド・カンパーニュ
パテ・ド・カンパーニュ

コースに含まれる一品料理は、その日用意のあるメニューから2品選ぶスタイル。あぁ、こういうところもビストロらしくて楽しいじゃないか。ブルスケッタはトロトロになった焼なすがごちそう。生ハムの塩気がなすの甘みを引き締めてくれる。これには、白ワインがバチッときた。

そして通称〝パテカン〟の登場。焼鳥屋だとレバーパテが主流だけど、ここでは鴨肉や地鶏の端肉も使っていっそう肉肉しく。まずはそのまま。次に粒マスタードを添えて、風味と食感のアレンジを楽しむ。うーん。これもまたワインの進む一品。吞兵衛の心が分かっているなぁ。

軍鶏の〝雄〟を生かした串も

砂肝
砂肝

もも肉
もも肉

近藤さんに聞けば、最近は大分県の地鶏「豊のしゃも」をよく仕入れているそう。軍鶏の雄ということもあって弾力も相当たくましいのだけど、そこはひと手間。砂肝は細かく隠し包丁を入れてかたく感じないように仕上げている。パチッと塩も決まって、いい塩梅だ。

そして、もも肉。これがしっかりうまいんだ。ギュムムッと押し返すような弾力は、鶏肉というよりもアンガス牛のような力強さで、嚙めば嚙むほど深く膨らんでいくよう……。「ひと口目はそのまま。下に柚子こしょうを付けているので、風味のグラデーションを楽しんでもらえれば」と近藤さん。

名物のつくねパイは必食の一品

つくねパイ
つくねパイ

コースには含まれていないけど、この「つくねパイ」を食べない手はない。実はオープン当初からある名物メニューで、鶏肉やレバーなどをミンチにしてパイ生地で包み、オーブンでじっくり焼き上げた一品だ。サクッサクのパイと、しっとりとしたつくね、ワインソース。それらが焼鳥ではないのだけど、これが妙にうまいんだ。よし、赤ワイン、追加で。

〆のラーメンはうまみがギュッ!

地鶏ラーメン
地鶏ラーメン

基本のコースに〆は付いていないので、お腹に余裕があれば別途。〆もいくつかあるなかから選ぶのだけど、ビストロだからといってパスタやリゾットのような〆があるわけじゃない。なかでもイチオシはラーメンだ。

豊のしゃもなど、地鶏のガラから取った出汁はうまみが濃厚。ラーメン屋で出されてもおかしくないレベルの味わいに思わず目を見張る。

「実は懇意にしているラーメン屋さんにスープ作りを指南いただいたんです。やっぱり地鶏はいいですね。手前味噌ですが、うまいスープができたと思います」(近藤さん)

焼鳥屋×ビストロ×ラーメン屋

焼鳥屋であり、ビストロ、ラーメン屋。不思議なものでそれらが嫌味なく同居しているから面白い。焼鳥はどれもシンプルに。前菜には金華サーモン、一品には豚の生ハムも使われていたけど、違和感がない。極み付きは〆のラーメン。フレンチの流れからラーメンとなっても、やっぱり違和感がない。

それもきっと、近藤さんの人柄があってのことだと思う。どこか飄々としていて、堅苦しくない。でも、その内側にあるのは「おいしいものを食べて帰ってもらいたい」という情熱……。お世辞にもアクセスがいい店とは言えないけど、ふと寄りたくなってしまう。そんな店だ。

▼冒険のおさらい

①焼鳥屋×ビストロ×ラーメン屋

②名物のつくねパイは必食

③〆の地鶏ラーメンも必食!

店舗情報
【店名】焼鳥ビストロふじ
【最寄り駅】市川駅
【住所】千葉県市川市市川1-17-10
【予約】050-1322-8318
【定休日】日曜
【串のアラカルト】あり(遅めの時間から)
【コース・セット】680円~
【鶏メモ】豊のしゃも、信玄鶏など

ロゴも印象的
ロゴも印象的

毎週、焼鳥三昧! 焼鳥を斜めに逆さ撮りする〝ヤキトリスト撮り〟は元祖にして名刺代わり! 「焼鳥は串柄、人柄」をテーマに、大衆的で気兼ねない町焼鳥から、鶏にこだわり1本1本に心血を注ぐ専門店まで焼鳥まみれの日々を送っています。焼鳥好きの方、フォローよろしくお願いします!

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