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1/4超の人が利用中…オンラインゲームの利用実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ ついつい夢中になるスマホのアプリゲーム(写真:アフロ)

インターネットのインフラとしての普及と、それにアクセスするための窓口となるパソコンやスマートフォンの浸透で、大きく様変わりした界隈の一つがゲーム業界。今ではインターネット接続で不特定多数との意思表示や、運営側が有するデータとのやりとりによって進展するゲームがごく当たり前のものとなってしまった。そのネットゲーム、つまりオンラインゲームは現状でどこまで普及しているのだろうか。総務省が2017年6月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値を基に確認する。

次に示すのは2016年時点で過去1年間にインターネットを利用したことがある人において、オンラインゲームをプレイしたことがあるか否かを尋ねた結果。ここにおけるオンラインゲームとは「インターネットを利用し、多人数で同時に同じゲーム進行を共有することができるゲーム」と説明されている。多人数同時参加型ネットワークロールプレイングゲームの類に限らず、ソーシャルゲームなども該当すると見て良い。また全部無料でプレイできるものに加え、有料制のもの、そして基本は無料だが特殊な環境や設定を利用する場合には課金を行う(例えばアイテム課金)もすべて含まれる。さらに機種は特定していないので、パソコンでもスマートフォンでも家庭用ゲーム機でもかまわない。

↑ 過去1年間のオンラインゲーム利用者(2016年、インターネット利用者限定)
↑ 過去1年間のオンラインゲーム利用者(2016年、インターネット利用者限定)

全体では27.0%。インターネットを利用している人の1/4強は、オンラインゲームを利用している計算になる。全般的には女性よりも男性が積極的に利用しており、年齢階層別では男性は中学生から高校生ぐらいでピークに達し20代まで半数超えが続くが、30代以降は利用率も減っていく。男性は中高生の時がピークだが、20代までほぼその値が継続する。男女間のオンラインゲームへの熱中ぶりの違いがよく表れている。50代に入ると利用者は1割程度にまで減り、高齢層になると数%程度にまで値は落ち込む。

世帯収入別ではさほど差異は出ていないものの、高年収の方が高めの値が出ている。ただし400万円以上になると大きな差異は生じない。

上記のグラフはインターネット利用者に占める割合。実際には歳を経るに連れてインターネット利用率そのものも減退していくので、世間一般との認識にはいくぶんのずれが生じている。そこで調査対象母集団全体として、各属性全員に対する比率を求めたのが次のグラフ。例えば男性20代は50.3%とあるので、インターネットを利用している人、していない人も合わせて男性の20代全員のうちほぼ半数はオンラインゲームをしている計算になる。

↑ 過去1年間のオンラインゲーム利用者(2016年、調査対象母集団全体)
↑ 過去1年間のオンラインゲーム利用者(2016年、調査対象母集団全体)

全体では20.6%、男性は1/4強、女性は1割強。世間へのゲーム浸透度を推し量るのにはこちらの値の方が適切かもしれない。男性は中高生から20代までは5割を超え、40代で3割近くにまで落ちる。男性では大よそ40代と50代がプレイヤーとしての境目だろうか。

女性も男性とはあまり変わらない増減を見せるが、基本値そのものが男性と比べて10-15%ポイントほど低い。ピークは中高生から20代で1/3強。30代以降はほぼ男性と同じような減退ぶりを見せていく。

世帯年収別では600~800万円未満が増加のピークで、あとはほぼ横ばい。2000万円以上が低い値を示しているのは、同時に高齢層が多く属しているため。

昨今ではオンラインゲームといえばスマートフォンを用いたものが世間一般によく知られている。基本無料でアイテムなどによる課金制のシステムがメインだが、スマートフォンそのものの利用者数が多く、カートリッジや光磁気ディスクのようなメディアによる提供ソフトと比べてアプリケーションによる提供のため購入しやすいこともあり、流れに乗れば利用者は万単位のものとなり、売上も大きなものとなりうる。セールス的に優れたタイトルを生み出すことができれば、会社を立て直すこともできるほど。

通販や交通地図と異なり、生活の上での必需性は無いため利用率は限られたものとなってしまうが、それでも現状はまだまだ伸び代があるようにも見える。例えば「ポケモンGO」のような、より幅広い層が興味関心を抱くタイトルの創生が求められよう。

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※通信利用動向調査

2016年11月~12月に世帯向けは都道府県及び都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に、企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に対し、郵送・オンラインによる調査票の配布及び回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万7040世帯(4万4430人)、2032企業。調査票のうち約8割は回収率向上のために調査事項を限定した簡易調査票が用いられている。各種値には国勢調査や全国企業の産業や規模の分布に従った、ウェイトバックが行われている。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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