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「子供が幼いうちは母親は育児に専念すべし」妻の認識は約6割(2024年公開版)

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
子供が幼いうちは母親は育児に専念すべきなのだろうか(写真:アフロ)

かつては妻は自宅で家事を行い、夫は就業先で仕事に従事するとの専業スタイルが主だったため、育児も妻が主にすべきであるとの考え方が支配的だった。昨今では兼業主婦の割合が増え、また子供の情操教育の観点から、夫も育児に加わるべしとの声が大きくなりつつある。それでは「妻は子供が幼いうちは仕事に従事せず、育児に専念した方がよい」との考えは、どれぐらいの人が支持しているのだろうか。その実情を2024年4月に発表された全国家庭動向調査(※)の結果から確認する。

一般的な家庭では、夫が主に家計を金銭面で支えている一方、主婦もパートなどで兼業主婦として後押しをしながら家事を行っているパターンが多い。しかし妻が常勤の仕事をしていても、家事を多分に行っている状況が確認されている。

↑ 妻の就業形態別にみた妻の家事分担割合(2022年)
↑ 妻の就業形態別にみた妻の家事分担割合(2022年)

それでは各種前提を抜きにして、妻の立場から(今件調査は女性が回答している)「夫も家事や育児を平等に分担すべきだ」と考えているのだろうか。この意見については直近では8割以上が賛成意見を述べている。

↑ 夫も家事や育児を平等に分担すべき
↑ 夫も家事や育児を平等に分担すべき

1993年では7割強だった賛成派が漸増し、直近の結果では9割を目前にするところまで達している。主婦の意識として「家事・育児平等分担論」はより強く浸透しつつあると考えてよい。もっとも「平等に分担」が具体的にどのような分担を意味しているのかは回答者の思惑次第であり(質問票では単に「夫も家事や育児を平等に分担すべきだ」とのみ表記)、また夫がいかなる考えを持っているのかまでは、今調査では分からない。

一方、幼子がいる世帯では母親は育児に専念すべき(&仕事は持つべきではない)とする意見は、多少の波があるものの9割近い値を維持していたが、2013年以降は賛成派が漸減し、直近の2022年では6割強にとどまる形となっている。

↑ 子供が3歳くらいまでは母親は育児に専念すべき
↑ 子供が3歳くらいまでは母親は育児に専念すべき

2013年以降の賛成派の減少は、強い賛意を示す「まったく賛成」の値が減少しているのが主な原因。その分、「どちらかといえば反対」「まったく反対」が漸増している。ゼロ歳児がいる世帯でも、半分以上は母親が仕事をしているのが現状であり、賛成派の漸減は当然の結果かもしれない。

↑ 仕事ありの母の割合(児童あり世帯比、「母の仕事のあり無し不詳」は含まず、末子の年齢階層別)(国民生活基礎調査の概況から筆者作成)
↑ 仕事ありの母の割合(児童あり世帯比、「母の仕事のあり無し不詳」は含まず、末子の年齢階層別)(国民生活基礎調査の概況から筆者作成)

6割強の賛成派の意見は見方を変えれば、「子供が3歳くらいに成長するまでは、妻が働きに出なくてもすむよう、夫の収入が安定して高いレベルのものであって欲しい」あるいは「収入を補助してくれるような制度の存在が望ましい」との主婦たちの願いが表れているとも考えられる。一部企業や自治体で行われているような、高額の出産手当もその解決策の一つだろう。

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※全国家庭動向調査

国立社会保障・人口問題研究所が原則5年おきに行っている調査で、家庭機能の変化の動向や要因を正確に把握するため、家庭の出産、子育ての現状、家族関係の実態を明らかにすることを目的としている。直近分となる2022年分は、2022年に調査票を配布、同年7月1日時点についての事実の記入をしてもらい、回収した結果を集計したもの。有効回答票数は9661票で、今件はそのうち有配偶の女性(つまり結婚した状態で夫がいる妻)が回答した5518票を主要な分析対象としている。妻の年齢区分は29歳以下2.7%・30代11.8%・40代19.4%・50代21.4%・60代22.0%・70歳以上22.7%。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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