一二三選手が初のサヨナラホームラン! ファームも広島相手に奮闘のタイガース
最初にお知らせです。きょう10日に予定されたウエスタン・阪神‐広島戦(鳴尾浜)は、雨のため中止となりました。台風8号が鹿児島県に上陸後、速度を速めて東へ進んでいます。かなり広い範囲で雨や風の影響が出ているようですので、十分にご注意ください。
9日もサウナ状態の蒸し暑さで途中にまた雨が降るという、厳しいコンディションの中で行われた広島戦。あまりの湿気で選手も辛そうですね。試合後、戻ってきた緒方選手の顔がとてもやつれて見えたので声をかけたら「僕、顔から痩せて、顔から太るタイプなので」とのこと。ちょっと顔に出ているけど、痩せるところまではいっていないそうです。でもこの暑さに「きょうは7リットルくらい汗をかいていますよよ!」と真顔で言っていました。…どうやって計ったんでしょう。
試合は森田選手のソロで先制し、鈴木誠選手のソロで追いつかれ、一二三選手のソロでサヨナラ勝ち!つまりホームランによる得点のみでした。しかもヒットがこの3本塁打以外は3本だけという、珍しい内容です。
《ウエスタン公式戦》7月9日
阪神-広島 17回戦 (鳴尾浜)
広島 000 000 010 = 1
阪神 010 000 001x= 2
◆バッテリー
【阪神】岩貞-西村-久保田-山本-○小嶋(2勝4敗9S) / 小宮山
【広島】中崎(6回)-一岡(1回)-●中村恭(3敗)(1回2/3) / 石原-白濱(7回~)
◆本塁打 森田3号ソロ(中崎)、鈴木誠4号ソロ(山本)、一二三4号ソロ(中村恭)
◆二塁打 陽川
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率
1]三:西岡 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .304
〃三:陽川 (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .251
2]中左:柴田 (3-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .258
3]右:伊藤隼 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .278
〃右:田上 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .167
〃打:狩野 (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .290
〃中:横田 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .200
4]指:新井良 (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .214
5]一:森田 (2-1-1 / 0-1 / 0 / 0) .268
〃打一:黒瀬 (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .269
6]遊:北條 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .250
7]左右:中谷 (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .181
8]捕:小宮山 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .141
〃打:一二三 (1-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .180
9]二:荒木 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .265
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
岩貞 5回 78球 ( 2-1-3 / 0-0 / 1.13) 146
西村 1回 12球 ( 0-0-0 / 0-0 / 6.64) 142
久保田 1回 13球 ( 0-1-1 / 0-0 /10.13)144
山本 1回 9球 ( 1-1-0 / 1-1 / 2.70) 139
小嶋 1回 18球 ( 0-2-0 / 0-0 / 3.56) 145
両軍合わせて6安打、わかりやすい試合
試合経過はすごく簡単です。2回に森田がレフトへ3号ソロを放って先制しました。2試合目の先発・岩貞は3回に高橋の左前打、5回に美間の左前打があっただけ。3四球を与えたものの予定の5回を78球で投げ終え、2安打無失点とゲームを作っています。6回の西村は3番からを三者凡退に切って取り、続いて久保田が1四球はありましたが併殺で3人で片づけます。しかし8回に山本が鈴木誠のソロホームラン。終盤に追いつかれました。
その裏、先頭の陽川が左中間二塁打で出るも柴田がバント失敗…。代打・狩野の四球のあと連続三振で無得点です。9回は小嶋が連続奪三振などで三者凡退。1対1で迎えた9回裏も簡単に2死を取られ、8番・小宮山の代打に一二三。128キロの変化球がボール、142キロの真っ直ぐを空振り、144キロの真っ直ぐはボールとなってカウント2-1、続く4球目をレフトへ!今季4号ホームランでサヨナラ勝ちです。
まず平田監督の談話、岩貞投手についてです。「岩貞は真っすぐがちょっと抜けていたけど、スライダーやカットボールは自信を持っている。2試合目にしてはいいね。故障明けに順調なスタート。スピードも出ていたし、しっかりゲームを作れた。これで前半戦(の登板)はなし。フレッシュオールスターで投げるから。後半は球数を増やしていくよ」
サヨナラ弾の一二三選手には「まぐれって怖いなあ!」と言って大笑いしたあと「いや大したもんだよ。あの、長打がほしいところでホームランだから。横田が入ってきて去年みたいに毎試合出られないし、競争意識が芽生えてきたんじゃない?ほんと、あそこで一発で仕留めたのがいいねえ。それで騙されるんだよ」と締めも、やはり笑いを誘ってのコメントでした。
最速146キロに手応えの岩貞
左ヒジ痛から復帰2試合目、中6日での先発だった岩貞投手は「前回よりもスピードが出ていて(2日は最速が142キロ、今回は146キロ)体の状態もキレが戻ってきたのかなと思います」という感想。振り返って「インコースのスライダーをボール球でいくつか使えたので、配球の幅ができた。そのあとチェンジアップが生きました。真っすぐで何球か高めにいって、それがまだ気になりますね。フォアボールを与えたり、失点につながる出し方はダメ。それを減らしていきたい」と言っています。
前回は3イニングだったため「5回を投げ切ったというのは以前よりも進歩したということですね」と岩貞投手。疲れは?「体は全然問題なかったです。途中で雨が降って久々の雨中の試合だったり、いろいろと。ちょっとぶれたとこがあったので、次回に向けて修正していきたい」。6回、7回もいけそう?「いけと言われれば、いける準備はできています」。視察した中西1軍投手コーチが、8月に戦力として考えているとの言葉がありました。「特にそういうことは考えず、与えられたところで自分のパフォーマンスをやっていきます。早く上がりたいという気持ちで投げるのではなく。次も結果を残すことですね」
平田監督が自信を持っているねと話していた変化球2つは、スライダーが135キロ前後でカットボールは140キロ前後という球速だとか。速いですねえ。2回に栗原投手から奪った空振り三振は139キロですが「あれはスライダー。タテに落とそうとして速くなった」と、岩貞投手は苦笑いしていました。
このところ抑えとしての登板が続く小嶋投手。この日も4番・栗原選手、5番・ロサリオ選手から連続三振!三者凡退の締めでした。三振はどちらも真っすぐを続けたあとフォークで奪ったもの。でも「たまたまですよ」と笑うだけ。結構インコースを攻めていたのが効いたのでは?「インコースも使っていかないと。インコースを使って決めていかないと」。それがフォーク?「そうですね。フォークです」とのこと。
前日の勝ち越しタイムリーに続き、9日は先制の3号ソロを放った森田選手。「高めの真っ直ぐです。特に狙ったわけではない」。外の球をうまく返したと言われ「それは…人が判断することなので。自分は自分のいい打ち方をしたかっただけです」と話しています。森田選手にとって、チャンスで出るホームランってのは一番ですよね?「ホームランとか、逆転打、同点打とかですかね」。走者の有無で違いはあるかとの問いには「ランナーがいたら返すという気持ちだけど、いなかったら打ち方を変えるというのはないですね」と答えました。そして「結果がすべてなので」と、後半戦の昇格に照準を合わせて打ち続けます。
一二三「無理やり押し込んだ!」
お待たせしました。最後は一二三選手に締めてもらいましょう。サヨナラホームランは?「初ですね。人生初。サヨナラヒットもないですねえ。サヨナラのホームを踏んだことはあるけど」。ホームインして、みんなにバシバシ叩かれていましたね。「あれメッチャ痛かったですよ(笑)」。そのあとベンチでのミーティングがあり、大きな拍手をされていたのは一二三選手?「はい。賞金をもらったっす」。ここ、ちょっとナイショ話をするような小声でした。ぷぷっ、初めての監督賞ですね。おめでとう!
「打ったのはカットボール(138キロ)です。同点だったので、ホームランというか、とにかくヒットを打とうと思っていました。中村恭平さん、メッチャ相性悪いんですよ。でも北條が、きょうは球があんまり来ていないと言っていたんで」。中村恭投手は割とインコースにくるから打ちやすいのかなと。「球が速いイメージあって、詰まらされるというか…打っている感じはなかったです。きょうも詰まっていましたが、無理やり押し込んだったんです!」。出ましたよ、久々の一二三語録。
これで4号、去年に並んだと言うと少し目を丸くして「ほんまっすね」と笑顔。ところが次の瞬間、もっと目を見開いて「ただもう、打率がぁー!」と悔しそうな表情に変わりました。「打率が自分の身長より低いって、アカンでしょう」。この日は1打数1安打で.180まで来たので、もうちょっとですね。「去年はただ無心に打ってたのに、今年は考えすぎというか…」。それでいいんですよ、きっと。そうやって悩んで迷ってつかんだものは、簡単に得たものよりずっと自分の心や体に残るはずだから。