まだ「紙」が優勢、米読書事情
日本ではまだ違和感が強いが、電子書籍の普及が進むアメリカでは、「読書」は紙媒体だけでなく電子書籍の購読を含んだ上での表現とされる場合が多い。それでは「読書」はそれぞれの媒体でどの程度行われているのだろうか。アメリカの電子書籍の浸透に関するPew Research Centerの調査結果によれば、成人の3/4が過去1年間に「読書」(文庫本など。雑誌は含まず)をしており、紙媒体に限れば69%、電子書籍に限れば28%に達していた。現時点では「読書」は紙媒体が圧倒的なようだ。
ただし「読書」率と「紙媒体での読書率」が一致していないことから、「電子書籍のみで読書をした人」も多くはないが確実に居ることになる。
紙媒体での読者層は属性別でも大きな違いはない。これはメディア利用の際のハードルが低いという紙媒体の特性、長所の表れ。
一方、電子書籍は属性別での差が大きい。例えば世代別では最大で約3倍もの差が出ている。これは電子書籍を読む環境そのものの有無によるもので、いわゆるデジタルデバイド(技術間格差)がそのまま電子書籍による読書性向の差となって現れている。
具体的数字はともあれ、タブレット機や電子書籍リーダーの所有率と、電子書籍の読書経験者との間では、属性別の違いの動きが似通っているのが分かる。
現時点ではアメリカにおける「読書」は紙も電子書籍も対象としているが、多分に紙を指す場合が多いということになる。しかしながら電子書籍を読む主な媒体であるタブレット機や電子書籍リーダーの所有率は急速に上昇しており、対応する電子書籍の冊数も増加の一途をたどっている。
今後数年で「読書」の内部事情が変わっていく、紙と電子書籍が肩を並べるような状態になることは、容易に想像が出来るというものだ。
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