ディズニーの強力なドローン特許があっと言う間に成立
CES 2015に関するメディア記事等を見ていると、ドローンこそが今まさにキャズムを越えそうなテクノロジーという感じがします。家の電灯を付けるだけのためにウェアラブル機器を装着して、ジェスチャー操作でどうしたこうしたなんて話よりもはるかに夢が広がります。
商売柄、こういう普及直前のテクノロジーを見ると、どんな特許出願が出されているかが気になります。いったんキャズムを越えると、多様なプレイヤーがアイデアを生み出し、それらが相互作用することで、アイデアの「カンブリア爆発」が生まれます(ジェフリー・ムーアの用語で言えば「トルネード」という状態です)。市場の拡大という視点からは良いのですが、特許を取得してアイデアを独占するという視点から言うと、「カンブリア爆発」以降では、思いつくようなアイデアはだいたい世の中に出てしまっていて(あるいは、先に出願されてしまっていて)強力な特許の取得は(不可能とは言えないまでも)困難になります。
そんな「カンブリア爆発」直前の強力なドローン関連特許の一つとして、昨年の11月に登録されたディズニー・エンターテインメントによる8,876,571号"Aerial display system with marionettes articulated and supported by airborne devices"があります(まだ新しくて特許公報がGoogle Patentsに載っていないので公開公報の方にリンクを貼りました(中身は同じです))。
アイデアは非常にシンプル(ゆえに特許としては強力)で、巨大な操り人形の可動部を複数のドローンからヒモで吊って地上からリモートで操作するというものです。
この特許出願は昨年の8月くらいに公開され、いくつかの米国メディアの記事でも紹介されてましたが、あっと言う間に審査が完了し、10月には登録査定されてしまいました。特に拒絶理由通知もなく、出願時点の広いクレームのままで権利化できています。つまり、上記の「巨大な操り人形の可動部を複数のドローンからヒモで吊って地上からリモートで操作」というアイデアそのもので特許化できてしまっています。
パレードなどのアトラクションで使用するとかなりインパクトがありそうで、これを独占できることは、ディズニーにとって強力な武器になるでしょう。出願は2013年2月ですが、絶妙のタイミングで思いついて迅速に出願できたことがポイントだったと思います。
じゃあ、俺もこれからドローン関係の特許出願を...なんて思ってももうタイミング的には遅い(強力な特許取得が不可能というわけではないですが)ので、一山当てたい方はまずキャズム越え前夜のテクノロジー分野を探してみてはいかがでしょうか?