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野茂英雄氏が達成した2度のノーヒットノーランは今も破られない“不滅の記録”だった?

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
2度目のノーヒットノーランを達成しチームメイトから祝福を受ける野茂英雄投手(写真:ロイター/アフロ)

【米メディアが野茂投手の2度目の快挙を報道】

 新型コロナウイルスの影響でスポーツイベントを失った米メディアでは、スポーツ界に起こった過去の出来事を振り返る報道が増えている傾向にある。

 そんな中現地時間の4月4日、野茂英雄投手が2001年4月4日に達成した、同投手にとっての2度目のノーヒットノーランを取り上げ、当時の映像を紹介しているメディアが存在している。

 つい先日も本欄で、ESPNが全30チームのベストパフォーマンス投手を選出する特集記事を公開し、レッドソックスからは2001年の野茂投手が選ばれたと紹介させてもらった。

 そこで今回は改めて野茂投手の功績に注目したいと思う。実は野茂氏の2度のノーヒットノーランは現在、2つの面でMLBの“不滅の記録”になっているのをご存じだろうか。

【4月4日達成はMLB史上最速】

 まず2度目のノーヒットノーランは前述通り、2001年4月4日に達成された。この日は同年にレッドソックスに移籍した野茂投手にとって、シーズン開幕試合だった。

 まさに開幕直後の快挙となるわけだが、改めてMLBのノーヒットノーラン記録を振り返ると、1876年7月15日にジョージブラッドリー投手が史上初のノーヒットノーランを達成して以降、近々では昨年9月1日にジャズティン・バーランダー投手が達成するまで303回のノーヒットノーランが記録されている。

 その全記録の中で、野茂氏の4月4日以前にノーヒットノーランを達成した投手は誰も存在していない。つまりMLB史上最速達成記録になるのだ。

 ちなみに野茂投手以外で4月10日以前にノーヒットノーランを達成した投手は、ジャック・モーリス投手(1984年4月7日)とケント・マーカー投手(1991年4月8日)の2人しかいない。それほど達成困難記録といっていいだろう。

【達成場所も唯一無二】

 さらに特筆すべきことは、野茂投手の2度のノーヒットノーランは、いずれも“唯一無二”だということだ。

 前述の2度目のノーヒットノーランは、オリオールズの本拠地球場「オリオール・パーク・アット・キャムデン・ヤーズ」で達成され、最初のノーヒットノーランは、1995年9月17日にロッキーズの本拠地球場「クアーズ・フィールド」で達成されている。

 実はこの2球場でのノーヒットノーラン達成者は、現在も野茂氏以外に存在していない。オリオール・パークは1992年に開業し、クアーズ・フィールドも1995年開業と、それぞれ20年以上の歴史がある中でたった1人だけなのだ。

 しかも野茂投手の2度目のノーヒットノーラン以降、MLBでは計54回のノーヒットノーランが記録されている。ノーヒットノーランそのものが達成困難とはいえない中で、今なお2球場で達成者が現れないということは、それだけ同球場で達成は価値があるということなのだ。

 MLBで2度のノーヒットノーラン達成は決して珍しいことではない。実際ノーラン・ライアン投手は計7度達成し、前述のバーランダー投手も3度達成している。だが野茂投手の2つのノーヒットノーランは、いずれも特別な意味を持っている。

 果たして彼が成し遂げた快挙は、このままMLB史に残り続けることになるのだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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22年間のMLB取材に携わってきたスポーツライターが、今年から本格的に取材開始した日本プロ野球の実情をMLBと比較検討しながらレポートします。

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