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ウクライナ兵「ドローンでロシア軍に突っ込んでいき破壊することは祖国解放につながります」米メディア報道

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

2023年10月に米国メディアのNBCがNBCニュースにおいて「ウクライナのドローン部隊の戦略の内側(Inside Ukraine's drone combat strategy)」という動画ニュースを報じていた。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻。ロシア軍によるウクライナへの攻撃やウクライナ軍によるロシア軍侵攻阻止のために、攻撃用の軍事ドローンが多く活用されている。また民生用ドローンも監視・偵察のために両軍によって多く使用されている。ウクライナ軍では監視・偵察目的で導入した民生品ドローンに爆弾や手りゅう弾を搭載してロシア軍の上空から落下させてダメージを与えている。小型民生品ドローンに爆弾を搭載して標的に突っ込んでいく、いわゆる神風ドローンによる攻撃もよく行われている。

米国メディアらしく、米国軍やCIAがアフガニスタンなどで使用していた高額で大型の監視ドローンと比較しながら、ウクライナでの現在の紛争では安価な小型の民生品ドローンが主流になっていることを対比しながら強調していた。また上空からドローンであらゆる行為を確認できるので、どこにも逃げることはできないと伝えていた。

実際にウクライナでは多くの安価な民生品ドローン、FPV(ファースト・パーソン・ビュー)ドローンに爆弾を搭載して、ロシア軍の高額な戦車など軍事設備に爆弾を投下したり、突っ込んだりして破壊しておりコストパフォーマンスは高い。しかも戦車やミサイルと違ってドローンの操縦は簡単である。現在、ウクライナで最前線でドローンを操縦してロシア軍に攻撃を行っている兵士のほとんどが戦前は全く関係ない仕事をしていた人たちである。また最前線に行かなくても遠隔地からドローンを操縦して攻撃できることから高齢の方や体の弱い方でもできる。

最前線の塹壕などでドローンを操縦して攻撃を行うこともあるが、基地の中など屋内でドローンを操縦しながら攻撃することが多い。そのためドローンを操縦している兵士が直接攻撃の標的になることは、戦車などに比べると少ない。だがロシア軍の標的をFPVドローンで突っ込んでいき攻撃する際には敵軍の破壊シーンを直接目の当たりにする。

FPVドローンでロシア軍の軍事設備に突っ込んでいき破壊するシーンの動画はSNSでも多く公開されている。そのようなFPVドローンでロシア軍に突っ込んでいき破壊するシーンをゴーグルで確認をしなくてはならないドローン操縦の兵士は「そのような攻撃や戦争は本当は好きではないです。そもそもウクライナで戦争をすることに反対です。平和に暮らしていたかったです。しかしロシア軍にドローンが突っ込んでいき破壊するプロセスをこの目で確認することはウクライナをロシア軍から祖国を解放することにつながります」と語っていた。

ウクライナ軍だけでなく、ロシア軍もイラン製軍事ドローン「シャハド」でウクライナ軍に突っ込んできたり、ウクライナ軍と同じように民生品ドローンに爆弾を搭載してウクライナ軍に爆弾を投下して攻撃を行っている。監視ドローンも非常に多く使用されている。監視ドローンで標的を検知したらミサイルなどで攻撃を行っている。そのため両軍によって上空のドローンの迎撃と破壊も頻繁に行われている。ウクライナ軍はロシア軍のドローンを毎月数百機ほど破壊している。ウクライナ軍のドローンもロシア軍によってかなり破壊されている。ドローンは監視・偵察用も攻撃用も何台あっても戦場では足りない。特に神風ドローンは突っ込んでいったら爆発するので、再利用は不可能である。しかも毎回必ず神風ドローンが標的に命中するとは限らない。

▼米国メディアが伝えるウクライナ軍のドローン部隊のニュース

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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