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批判の多い子育て支援金、私たちの負担額はいくらになるの?

高橋成壽お金の先生/C FP/証券アナリスト/IFA
子ども家庭庁  加藤 鮎子氏(写真:つのだよしお/アフロ)

毎月500円(ワンコイン)程度と言われていた子育て支援金は、所得に応じた負担となり、会社員や公務員であれば、2026年は年収÷1万円=ひと月の負担額、2028年度には2026年度の1.6倍強の負担に増えます。国民の制度理解が進まない中で議論が進んでいる制度。結局誰がいくら支払って、誰がいくら受け取れるのでしょうか。

■子育て支援金の考え方

現在政府で進めている子ども・子育て支援制度は

・子どものための教育・保育給付(現物給付)

・子育てのための施設等利用給付(現物給付)

・地域子ども・子育て支援事業(現物給付)

・仕事・子育て両立支援事業(現物給付)

・児童手当等交付金(現金給付)

の5つが中心になっています。

子育て世代の筆者がうらやましいと感じたのは、幼保無償化です。幼稚園の毎月数万円の支払い、保育園は所得に応じた費用負担ですが、子ども1人なら払えても、2人となるとかなり負担が重たくなる印象がありました。それがゼロ円になったのですから、家計に与える影響はとても大きくなります。

今回議論されている「子育て支援金」は恩恵を受け取れるようなネーミングですが、実態は税または保険料として徴収されます。そのため、まずは名前を子育て支援税、子育て支援保険料などとするべきだと考えます。もちろん、保険制度としますから、社会保険料控除に含まれることが妥当です。

子ども家庭庁のウェブサイトより転用
子ども家庭庁のウェブサイトより転用

■子育て支援金の負担額

各種メディアから発表されている、子ども家庭庁による子育て支援金(負担分)は以下の通りです。ワンコインどころではなく、紙幣での負担が必要になりそうです。

75歳以上の高齢者の場合、350円/月の負担とされています。全世代に広く負担を求める制度という点は理解を得やすいように感じます。

これら子育て支援金名目の費用負担を通じて総額1兆円を超える財源を確保する目論見ですが、一方で実際に何が得られるのでしょうか。

■子育て支援金による支援内容

子育て支援金の徴収による財源が確定しなければ、何にいくら使うか決められないものの、いくつかの案が出ています。

・児童手当の所得制限廃止

・児童手当の18歳までの支給期間延長

→児童手当が3年延長になれば、月額1万円の支給として3年(36か月)で36万円を受け取れることになります。

・児童手当の第三子以降の増額

・妊産婦への10万円の給付

・育児休業時の手取り減の補填

です。これから子育てする世代や、子育て真っただ中の世代には大歓迎ではないでしょうか。

ただ、これらの内容は消費税の10%への増税でねん出できたのではないかという疑問がわきます。この辺りは、しかるべき人や団体から日本国としての歳出の分析として情報が出てくるのを待ちたいところです。

■まとめ

2026年度から徴収とサービスが開始される見込みの子育て支援金制度は、当初の予定と異なり収入によっては2倍から3倍の負担となる可能性が高そうです。また、支援制度には異論無く求められる内容だと感じます。

社会保険料とすることで、消費税のように他の歳出に流用される可能性が低くなりますが、本来の消費税増税は、このような支援のためではなかったのかと残念でなりません。

ただし、2026年度を待たずに給付を開始しないと、「生み控え」が発生するのではないかと考えられます。まずは予備費含めた既存の税源から支出を試みてはいかがでしょうか。もしかすると、支援金を導入することなく、子育て支援ができてしまうかもしれませんね。

お金の先生/C FP/証券アナリスト/IFA

日本人が苦手なお金を裏も表も解説します。お金の情報は「誰がどんな立場から発信したのか見極める」ことが大切。寿FPコンサルティング、ライフデザインセンター代表。無料のFP相談・IFA相談マッチングサービスとして「ライフプランの窓口」「住もうよ!マイホーム」「アセマネさん」を運営。1978年生神奈川県藤沢市出身。慶応大学総合政策学部卒業後、金融関係のキャリアを経て有料FP相談を開始。東海大学では非常勤講師として実務家教員の立場から金融リテラシー向上の授業を担当。連載:会社四季報オンライン。著書:ダンナの遺産を子どもに相続させないで。メディア出演、メディア掲載多数。

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