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【京都市中京区】京の三大長者 角倉了以 素庵の開削した高瀬川沿いでさくらが満開 人気のデートスポット

HOTSUU地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 文豪森鴎外の「高瀬舟」などでも知られる高瀬川沿いで、2022年4月2日、枝垂桜を始めとする桜群が満開となって、道行く人の目を楽しませています。

木屋町通りの高瀬川
木屋町通りの高瀬川

 木屋町通り沿いに流れる高瀬川は、慶長13年(1608)に角倉了以が徳川幕府に許可を得て、水運として京と伏見を結ぶ、高瀬川の開削を願い出たことに始まり、子息の素庵とともに開削された京と伏見を結ぶ全長約11キロに及ぶ人工の運河です。慶長19年(1614)に完成しました。

角倉了以
角倉了以

 当時、鴨川を船で上って伏見に着いた物資は陸路京都の中心に運ばれていましたが、この運河によって大阪と京都の物資と人の輸送が出来るようになり商業の発達に大いに貢献しました。二条大橋の南でみそそぎ川(鴨川)から取水し、木屋町通沿いの西側を南下し鴨川に合流し、かつては宇治川にまで及んでいたと言います。

京と伏見を結ぶ、高瀬川
京と伏見を結ぶ、高瀬川

 二条通南側の一之船入(名勝天然記念物)から南へ九つの船溜りがありました。大坂から木材や野菜を運んできた高瀬舟は、帰りには、竹田村辺りの畑の肥やしとして人糞を運んだと言われます。その船だまりとして港の役割をしたのが「船入」(ふないり)その一番上流に位置するのが「一の船入」です。北側には島津創業記念館、西側には廣誠院などもあります。

船だまりとして港の役割
船だまりとして港の役割

 木屋町二条の一の舟入から五条あたりまで、川沿いに見事な桜の木々が植えてあり、桜花が観覧できます。夜は風情ある行燈の灯りにも照らされてカップルのデートスポットでもあります。

夜は風情ある行燈の灯り
夜は風情ある行燈の灯り

 角倉了以の父で、医師の吉田宗桂は、嵯峨野の天龍寺の財を管理し、足利幕府の政所代の下で納銭方一衆を務め、有力土倉として成り上がりました。洛中帯座の座頭職(西陣織の帯専売組織の代官)でもありました。一族には、戦国期から安土桃山時代に信長や秀吉、光秀のもとで暗躍したと言われる兼見卿記で知られる吉田神社の神官・吉田兼和などもいます。

桜と柳
桜と柳

 ところで、高瀬川沿いには、何故か、ほぼ交互に桜の木と柳の木が植えてあります。理由は良く分かりません。歴史ロマンを感じながら街中のオアシスで足をとめて見てはいかがでしょう。

 史跡 高瀬川一の船入 京都市中京区木屋町通二条下ル西側一之船入町

地域ニュースサイト号外NETライター(京都市)

 「YAHOO!ニュース ベストエキスパート2024 地域クリエーター部門 特別賞」を受賞 京都をこよなく愛する地域ニュースサイト号外NETの京都市担当タウンクライヤ―です。四国から大阪の元地方紙記者。観光ガイドをしながら京都時空観光案内2024(観光ガイドのための京都案内マニュアル)全19巻や「やさぐれ坊主京を創る 前田玄以の生涯」(京都文学賞一次審査通過)はじめ、京都を題材にした小説なども執筆しています。

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