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HYBE内紛 運命の発表の結果は「ミン・ヒジン氏留任」 今後はどうなる?

(写真:Lee Jae Won/アフロ)

結論は「ミン・ヒジン氏解任は仮処分により回避」つまり「留任」だった。

K-POPアイドルグループNewJeansのプロデューサー、ミン・ヒジン氏(HYBEの子会社ADOR)と親会社HYBE間の内紛。

5月17日にソウル中央地裁で行われた民事合議(審問)における「ミン氏の申し立て認定」の結果を、30日15時39分ごろ韓国の通信社「聯合ニュース」が異例のスピードで、タイトルと写真のみで伝えた。去る5月7日に、ミン氏側により裁判所に対し「HYBEが自らを解任しようとしているが、これを仮停止する処分の要求」が出されていた。

この発表により、31日に親会社HYBEの招集によって行われる予定のADOR株主総会での解任は不可能に。ただし複数の韓国メディアは「ミン氏の解任は回避できても、ミン氏のADORでの腹心である取締役陣は解任可」としているため、NewJeansのプロデュースは「これまで通り」とはいかない見込み。そして今後も、親会社HYBEとミン・ヒジン氏の法廷闘争は続いていくと見られている。

多くの韓国メディアは本来17日を「運命の日」として注目。同日に結果が出る見込みだったが、「双方感情的になり」(韓国の法曹専門メディア「法律新聞」)、裁判所側は一度24日までに追加資料の受付を行うことにした。するとさらに韓国メディアの予想よりも発表時期が先送りとなり、今日の発表となった。

明らかになった「法廷審問の内容」

韓国メディアは「結果を待つ間」に何を報じていたのかと言うと「あまり報じられいなかった17日の最初の審問の様子」と「今後の展望」だった。

17日の最初の紛糾した審議の様子を「法律新聞」はこう伝えている。

ミン氏側の主張
ミン代表側は「株主間契約上、ミン代表の任期は(会社)設立日から5年(2026年11月)」とし、「HYBE側はミン代表の解任事由としてADORの支配構造変更を通じた重大な利益侵害を挙げているが、そのようなこと(経営乗っ取りのための動き)は全くなく、HYBEの同意なしには実現不可能だ」と明らかにした。

HYBE側の主張
一方、HYBE側は「事件の本質は、債権者を解任しようとする議決権行使を仮処分するのが正当かどうか、職務違反行為と違法行為を行ったミン代表がADORの代表取締役職を継続するのが妥当かどうかだ」とし、「ミン代表はNewJeansを盾にして自身の目的を果たし、ひたすら私利のみを追求した」と反論した。

5年間の任期が守られるのか、はたまた、現状でHYBEが訴える「背任=経営乗っ取り」の疑いが解任を強行するに値するのか。HYBE側はこう主張したという。

「株主間契約にはミン代表が100億ウォン以上の損害を与えたり、株主間契約に重大な欠格事由が発生したりすれば、ミン代表の辞任を要求できるよう記載されている」

ただ、これらを主張し合うなかでお互い「小説を書くな」「我田引水」「アーティストを引き合いに出して誹謗中傷」といった感情的なやりとりになったという。

迎えたきょう30日の「結果発表」。社会での関心の高まりから、韓国警察側は捜査情報を一切メディアに話さないよう「緘口令」を敷いたのだという。「法律新聞」は22日に「HYBE vs ミン・ヒジン 場外攻防…警察"緘口令"」という記事を配信。こう記した。

「故イ・ソンギュン氏の麻薬事件以降、警察は捜査状況が外部に流出することを慎重にしているうえ、当事者間の立場の差が激しいため、捜査情報が世論戦のツールとして悪用される恐れがあるためだ」

ゆえにメディアでは一切の「勝敗予想」が出ない状態で迎えた再審問でもあった。

今後の展望 ひとまずは「留任」も… ミン氏には厳しい道

では、HYBE内紛の今後はどうなるのか。

これですべてが終わったわけではない。世論戦、会社人事、法廷戦の3つのフェーズのうち、会社人事に決着が着いたということ。

今後は本格的な法廷戦へと突入し、そこで有利に立つための世論戦(つまりプレスリリースやスクープ・リーク合戦)は続いていくと見られる。

17日の初回審議が終わった後の18日、現地メディア「日刊(イルガン)スポーツ」は展望をこう記していた。

①HYBE勝ち
ミン氏解任。ADOR経営陣も層替え。

仮に結果が①だったとしても、「日刊(イルガン)スポーツ」には「リベンジの機会」が残されていたとしている。

解任の理由は「背任」であるため、ミン氏側には裁判を通じ、背任の不成立および解任の不当性を主張する機会は残ったのだ。

しかしこれはかなりの時間がかかったはずと見られている。背任の捜査は、実のところ始まったばかり。しかも韓国の複数法律系メディアは「立件、有罪判決に持っていくには少し証拠が弱い」と見ている。

いずれにせよ双方、かなりの時間と金銭を要することになり、どちらにとっても利益ではないと見られた。

②ミン氏(ADOR)勝ち 
会社には残れるが、HYBE側には取締役などスタッフを交代させられる権限がある。腹心と言われるスタッフと仕事をしてきたミン氏のやりかたも変化を余儀なくされる。

かくして現実は②となった。

ひとまずはミン氏の2026年11月までの任期が保証された。NewJeansとともに仕事をしていくことが可能だが、これも盤石、ということはない。「仮処分」であるためHYBEはこれの解除を求めてさらなる訴訟を起こしていくとみられる。

いっぽうで、ミン・ヒジン氏はHYBEにこだわることなく、独立して彼女たちを迎えることができれば、それがひとつの「落としどころ」にも見えるが…もちろん韓国でも騒動初期からこの点は論じられている。

ただし現状ではHYBEとの契約関係が結ばれており、その契約解除金はグループ全体で「350億円から650億円」(4月29日の「国民日報」)、さらにミン氏には上記の通り莫大な訴訟費用、そして背任罪成立の場合には賠償金の支払いも予想され、その道は険しいものと予想される。「留任」は決まったものの、心穏やかではない日々は続きそうだ。

吉崎エイジーニョ ニュースコラム&ノンフィクション。専門は「朝鮮半島地域研究」。よって時事問題からK-POP、スポーツまで幅広く書きます。大阪外大(現阪大外国語学部)地域文化学科朝鮮語専攻卒。20代より日韓両国の媒体で「日韓サッカーニュースコラム」を執筆。「どのジャンルよりも正面衝突する日韓関係」を見てきました。サッカー専門のつもりが人生ままならず。ペンネームはそのままでやっています。本名英治。「Yahoo! 個人」月間MVAを2度受賞。北九州市小倉北区出身。仕事ご依頼はXのDMまでお願いいたします。

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