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【富田林市】富田林市川面町は何て読むか知ってますか?意外な読み方の地名の由来とは?

奥河内から情報発信奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

富田林だけの話ではありませんが、南河内地域には読み方がわからない地名が多いですね。今日は数ある中から川面町を取り上げてみましょう。

無知な私は最初、「かわも」もしくは「かわめん」と読むとばかり思っていました。ところが、調べてみると「かわづら」と読むことを知りました。へえ~としか思えない読み方。では、なぜこのような地名が付いたのか調べてみることにしました。

創元社発行の「大阪難読地名がわかる本」によれば次のように書かれています。

「川面町 近都長野線喜志駅の東に位置し、石川に沿っている。昭和四十二年にできた新しい町名だが、由来はよくわからない」

この資料だと、川面という地名は昭和40年代にできたことになります。しかし、高度経済成長期に、わざわざ「かわづら」という難読の地名を付けるというのは考えにくい気がします。

現在の川面町
現在の川面町

ということは、町名としてはは新しいものの、それ以前からこの場所は「川面」と呼ばれていたのでしょうか。

ここで川面そのものの意味を調べるとなんとなくわかりました。川面は、一般的に「かわづら」や「かわも」と呼ぶようです。その意味は、字づらの通り、川の水面を指すそうです。

ところでこの川面という地名は、富田林のほかにも全国にあります。その中でも、代表的なものをご紹介しましょう。

1、埼玉県鴻巣市川面(かわづら):旧埼玉県北足立郡川面村

現在の埼玉県鴻巣市川面。特徴的な事として、武蔵水路が川面地区を南北に貫いています。元荒川と新忍川(しんおしかわ)の合流点が北側にあり、その付近を武蔵水路が立体交差(元荒川の下を通る)しています。

2、兵庫県宝塚市川面(かわも):旧兵庫県川辺郡川面村

宝塚市の川面は、武庫川が南から東に流れを変えるあたりにあり、旧福知山線や有馬街道に面しています。宝塚駅とも近いところにありますが、別の新しい町ができたためか、飛び地になっているところがあります。

3、岡山県小田郡矢掛町の東川面(かわも)と西川面:旧岡山県小田郡川面村

矢掛町は、現在、東川面と西川面に分かれていて、小田川と星田川、美山川の三つの河川が合流している地点が東南端近くにあるのが特徴です。

4、岡山県高梁(たかはし)市川面(かわも)町:旧岡山県上房郡川面村

高梁市川面町は 高梁川を境に東北の位置にある町です。JR伯備線に、備中川面駅があります。

こうやって見ると、いずれも川や水路ゆかりの自治体だとわかりますね。西日本は「かわも」が多いようなのに、東日本に多い「かわづら」の読み方が富田林にあるのも興味深いです。

一方、川面(かわつら:つが濁らない)という姓についての情報によると、埼玉県鴻巣市川面発祥で、南北朝時代に「河連」の表記があるとか。

富田林の川面の読み方が埼玉の川面と読み方に近いので、果たして埼玉と関係しているかどうか、また新しい情報が見つかったら紹介しましょう。

このように、他の地域に残る「川面」は、旧地名が「川面村」であったことが共通点のようです。しかし、富田林の川面は他の地域とは異なり、旧村というのではなく喜志村の中にあった地名です。

また、近世以前の石川郡喜志村が他の村と合併などせず、単独で1889(明治22)年に「喜志村」という自治体を形成したとの記録が残っています。

剣先船
剣先船

さて富田林の川面について興味深い情報を見つけました。調べると江戸時代に、現在の川面町の石川の河川側に、川面浜というものがあったとか。この浜からは、剣先船(けんさきぶね)という船が大阪に向かって運行されていました。

剣先船は、石川沿いにある喜志村だけでなく、旧大和川の亀の瀬(現、柏原市)から久宝寺川(長瀬川)を経由して大坂京橋まで物資を運んでいたそうです。

柏原市にある旧大和川の図
柏原市にある旧大和川の図

旧大和川は今の大和川と違い、柏原付近から北方向に流れて大阪の淀川あたりとつながっていたそうなので、かつては石川を通って大阪まで船で物資を運んでいたのでしょう。

新しい大和川になった後は、新大和川の河口に出てから十三間川を使って大阪の方に物資を運んでいたそうです。

現在の川面町
現在の川面町

ちなみに今日5月5日は「子供の日」。毎年この時期に、川面町を含めた石川河川公園では、「こいのぼり夢の会(外部リンク)」という団体が一般の方たちからこいのぼりの寄付を受けて、こいのぼりを泳がせていますね。しかし、残念ながら今年は中止とか。

参考画像:今年の吉野川のこいのぼり。来年こそは石川でも見られますように
参考画像:今年の吉野川のこいのぼり。来年こそは石川でも見られますように

ちょっと楽しみにしていただけに、来年に期待しましょう。その代わりと言ってはなんですが、奈良県の吉野川ではこいのぼりが泳いでいたので、来年は石川でも同じ光景が見られるように画像を載せておきます。

川面町
住所:富田林市川面町
アクセス:近鉄喜志駅から徒歩15~20分

奥河内地域文筆家(河内長野市・富田林市)

河内長野市の別名「奥河内」は、周囲を山に囲まれ3種類の日本遺産に登録されるほど、歴史文化的スポットがたくさんある地域です。それに加えて、都心である大阪市中心部に乗り換えなしで行ける複数の大手私鉄(南海・近鉄)と直結していることから、新興住宅団地が多数造成されており、地元にはおしゃれな名店や評判の良い店なども数多くあります。そして隣接する富田林市もまた、歴史文化が色濃く残る地域。また南河内地区の中核都市として、行政系施設が集まっています。これを機会に、奥河内(一部南河内含む)地域に住んでいる人たちのお役に立つ情報を提供していければと考えています。どうぞよろしくお願いします。

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