フェラーリが新F1マシンの名称をファン投票中!F1の名前に隠された意味とは?
イタリアを代表する自動車メーカー「フェラーリ」のF1チーム「スクーデリア・フェラーリ」が2014年のF1世界選手権を戦うニューマシンの名称を決めるファン投票を実施している。ファン投票の結果による名称は1月24日に発表される。
投票は「スクーデリア・フェラーリ」の「VOTE FOR THE NAME」ページにアクセスし、5つの候補名から選び、メールアドレスを記入して投票する簡単なもの。英語、イタリア語、スペイン語のサイトがあるが、英語サイトでは「VOTE(投票する)」という単語さえ分かっていれば、簡単に投票に参加できる。
【候補名】
「F14 T」
「F14 MARANELLO」
「F14 SCUDERIA」
「F166 TURBO」
「F616」
初年度1950年からF1世界選手権に60年以上参戦し続ける「フェラーリ」がオーナーだけでなく一般のファンにまで門戸を開き、F1マシンの名称をファン投票で決めようとするのは異例のこと。レーシングチーム「スクーデリア・フェラーリ」のF1活動は「フェラーリ」にとって、ロードゴーイングカーの製作以上に重要で最もプライオリティの高い活動だけに、そんな大事な活動の一部に少しだけでも参加できる貴重なチャンスといえる。
どれに投票したらよいか迷う方のために、そのヒントとなるエッセンスをご紹介しよう。
フェラーリF1の名称はどうやって決まる?
「フェラーリ」のF1マシンの名称は、年ごとに数が増えて行く通し番号にはなっていない。ここ最近の例を挙げてみると、
2003年:F2003-GA
2004年: F2004
2005年: F2005
2006年:248 F1
2007年: F2007
2008年: F2008
2009年:F60
2010年: F10
2011年:150°Italia
2012年: F2012
2013年:F138
以上のように単純に「年」を名称に持ってくるパターンが多いが、「年」の数字と関連性の無い名称のF1マシンもある。歴史上、フェラーリは市販車を含めてマシンのスペック(諸元)の数値をマシン名に用いたり、周年を記念した名称を用いたりすることが多い。
例えば、2003年の「F2003-GA」のGAはフェラーリの現在の親会社でもあるフィアット社の会長だったジャンニ・アリエッリが2003年1月に死去したことから、彼のイニシャルをF1マシンの名称に捧げた。2006年の「248 F1」は、この年からF1のエンジン規定が2.4L・V8に変わった事にちなんだ名称。2009年の「F60」はフェラーリのF1参戦60周年記念から。2011年の「150°Italia」という特異な名称はイタリアの統一150周年から付けられたもの。さらに昨年の「F138」は2013年V8エンジンが最後の年になったという意味がある。
このようにフェラーリのF1マシンの名称は特に記念すべきことや車両の変化が無ければ単純な名称になることが多いが、今年は大きくマシンのレギュレーション(車両規定)が変わる年である事から、5つの候補をあげ、記念すべき変革の年の名称をファンに問うているわけだ。
5つの候補名の意味
2014年はF1が大きく変わる年である。エンジンはERS(エネルギー回生システム)と連動した「パワーユニット」となり、1.6L・V6直噴ターボエンジンとなる。「フェラーリ」がファン投票の候補に挙げた5つの名称もそれにちなんだ数字が並んでいる。あくまで推測だが、名称の由来を考えてみよう。
【F14 T】
「14」は2014年から。「T」はターボエンジンにちなんだもの?
フェラーリのF1マシンの歴史で「T」の文字が最初に登場するのは映画「RUSH」にも登場する1975年のニキ・ラウダ/クレイ・レガッツォーニ時代の「312T」が最初。しかし、この時代の「T」は横置きのギアボックスという意味で、イタリア語で横を意味する「trasversale」から取られたとされる。
【F14 MARANELLO】
「14」は2014年から。「MARANELLO」はイタリア・モデナ県にあるフェラーリの本社工場ならびにF1チームの拠点がある街、マラネロから。ロードゴーイングカーでマラネロの名称が付けられたことはあるが、F1マシンでは一度も付けられたことが無い。
【F14 SCUDERIA】
「14」は2014年から。「SCUDERIA」はフェラーリのF1チーム名「スクーデリア・フェラーリ」にも付けられているイタリア語で、競走馬の「厩舎」を意味する。そこから転じて「レーシングチーム」という意味だ。
【F166 TURBO】
「166」は1.6L+6気筒という意味。「TURBO」はそのまんまターボエンジン。フェラーリにとって6気筒というエンジンシリンダーの数は実は非常に重要な意味を持つ。創業者のエンツォ・フェラーリは12気筒を愛してやまなかったが、息子のアルフレード・フェラーリ(愛称:ディーノ)が情熱を注いだのが6気筒エンジンだった。F2用のV6エンジンを排気量アップして1958年にF1に参戦させているが、そのマシンの名前が「246 F1」(2.4L/6気筒)。それ以来、80年代のV6ターボエンジン時代にもフェラーリのF1マシン名で「6」という数字は欠かせないものになっている。
【F616】
上記の説明とほぼ同じ。上から読んでも、下から読んでも、1.6L/6気筒だ。こうしたシンプルな形式名は熱狂的なティフォシ(ファン)から支持されそうだ。
フェラーリからのプレスリリースによると、投票開始から数時間で世界中から10万5000人のファンが投票に参加しているそうで、最初の段階で人気を集めているのは「F14 T」と「F166 TURBO」だそうだ。さて、結果はどうなるか?発表は1月24日(金)、そして新車のお披露目は25日(土)に行われる。ティフォシな方もF1はあまり見ない方も上記の解説を参考に投票に参加してみてはどうだろう?