「AIで作った?」とホテルの商品写真が話題に。真相は
先週、X(Twitter)で「紅茶に大量の砂糖を投入している」ホテルの商品写真が話題になりました。
この画像に対して「AIで生成した画像ではないか」といった指摘が相次いだものの、ホテル側によれば写真として撮影したものであるといいます。
画像は「写真として撮影したもの」
話題になった写真は、マリオット系列ホテル「セント レジス ホテル 大阪」のフレンチレストランによる桜をイメージした新商品のもので、プレスリリースやWebサイトに使われています。
この画像では、主役である新商品のタルトではなく、その横に添えられた紅茶のカップに直接シュガーポットから砂糖を流し込んでいることが注目を浴びています。
最近、SNS上ではAIが生成した面白おかしい画像が人気を呼んでいることから、この画像にもどこか似たようなテイストを感じるところがあります。
一方、AIによる画像生成には批判的な声も多く、セントレジスのような高級ホテルがプロモーション画像をAIで生成しているとすれば見識を疑う、といった意見もみられました。
この点についてホテル側に確認したところ、「当ホテルにて写真として撮影したもの」(広報)との回答がありました。
紅茶に砂糖を流し込んでいる点については、「商品写真はあくまでもイメージであり、おすすめしている食べ方ではない」(広報)と説明。狙いとしては「インスパイアを与えられるようなイメージ作りを目指した」(広報)といいます。
確認のため、AIで生成した画像かどうか検出できることをうたうツールにこの画像を読み込ませてみたものの、AIが関与したという痕跡はみられませんでした。
こうしたツールは存在するとはいえ、AIが生成したかどうかを目視で見分けるのは難しいものです。そのため、SNS上で「AIで作った」との誤解に基づいた指摘が広まると、それを信じる人が出てくる可能性があります。
ホテル広報は「今回の話題を通じて、ファッションブランドのイメージにも見られるような、当ブランドの目指す大胆なセンスの写真は、AI生成画像との見極めが非常に難しく、誤認識に繋がる可能性があることを改めて実感いたしました。その点を留意し、今後も引き続きインスピレーションに満ちた創作と発信を行って参りたいと思っております」とコメントしています。
今後、AI生成によるコンテンツが増えることで混乱が予想される中で、プラットフォーム側の対策も進みそうです。たとえばYouTubeはAIなどを用いて合成コンテンツであることを視聴者に知らせる機能を導入する予定としています。
こうしたラベルの導入で混乱は収まると期待したいものの、実際にはAIを使っていないにもかかわらず「AIで作ったように見える」ことで疑いの目を向けられるというのは、なかなか厄介な問題といえます。
「生成AI専用保険」も登場
今回の画像は「AIで作っていない」事例でしたが、素材サイトや外注などを利用することにより、意図せずAI生成の画像が紛れ込む場合がある点にも注意が必要です。
1月には、ワコムの米国支社がAI生成によるイラストを用いたのではないか、との指摘が話題になりました。ワコム側は「AI生成したイラストを使用する意図はなかった」と釈明する事態になっています。
一方、生成AI技術を積極的に活用しようという動きも出てきそうです。万が一、知的財産権の侵害や情報漏洩が起きた場合に費用などを補償する「生成AI専用保険」も登場しました。
これまで生成AI技術の比較的安全な使い方としては、アイデア出しや文章の要約といったものがありました。今後は一定のリスクがあることを踏まえた上で、生成AIによる成果物を積極的に活用する動きが広がるか注目です。