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[甲子園] 8強決定後初めての休養日。明日の準々決勝が楽しみだが、そもそも、休養日って……?

楊順行スポーツライター
(写真:イメージマート)

 まずはお詫びから。

「夏の甲子園! 大阪桐蔭Vなら3度目の春夏、智弁和歌山なら7校目の夏連覇」

https://news.yahoo.co.jp/byline/yonobuyuki/20220804-00308706

 と題した当欄で、

『独断で8強の顔ぶれを予想すると、決定順から仙台育英/高松商/京都国際/天理/下関国際/智弁和歌山/横浜/大阪桐蔭あたりかなぁ……』

 と予想した。このうち、的中は4校でした。愛工大名電(愛知)、近江(滋賀)、聖光学院(福島)、九州学院(熊本)の関係者各位、申し訳ない。

 さて、3回戦が終了して本日は休養日。選手の体調管理のために設けられたものだが、連日の酷暑でへばりかけの大会終盤、選手だけではなくわれわれ取材者にとっても、願ってもない恩恵だ。

 もともとは2004年、春・夏ともに準々決勝を2試合ずつ、2日に分けて開催したあたりがルーツだろう。最初は03年夏から導入の予定だったが、その大会は雨天順延が頻発したため、従来どおりに準々決勝は4試合を1日で行っていた。

 そして夏は13年、春は14年から、準々決勝4試合を1日で行う日程に戻し、その翌日を休養日に(ただし14年のセンバツは、雨天中止と引き分け再試合の発生で2日順延したため、結果的に導入は15年になった)。トータルの開催日数は従来と同じでも、準々決勝を2試合ずつに分けると、準々決勝の2日目から決勝まで勝ち上がるチームにとっては3連戦となることに配慮したものだ。

 ただしこの休養日、よく雨にたたられた。17年のセンバツでは、雨天中止が1日と、2試合連続引き分け再試合があったため、準々決勝後の休養日はまたも消滅。それでも決勝は、天候不良が予想されて1日順延したため、優勝した大阪桐蔭と準優勝の履正社(大阪)は、結果的に3連戦を免れている。

基本的に2日連戦は避けられる

 さらに19年夏の甲子園からは、準々決勝翌日だけではなく、準決勝翌日にも休養日が。選手の障害予防対策、そして温暖化対応の意味合いもあり、決勝に進んでも、準々決勝以降は5日間で3試合と日程が緩和されたわけだ。

 センバツも同様に、20年から準決勝後の休養日を設定。暑さは夏ほどではなくても、実戦経験の少ない春先は、過度な負担がケガにつながりやすい。この年からは、1週間で500球という投球数制限も導入されるはずだった。ただし、コロナ禍で大会自体が中止になったが。

 そして昨年の夏からは、3回戦と準々決勝の間にもう1日休養日を設定し、計3日に。これで、順延などの影響がない限り、2日連戦が解消されることになった。これまでは、3回戦の2日目に勝ったチームは、翌日が準々決勝だったのだ。とはいえ雨にたたられたその第103回大会は、開幕も1日遅れるなど会期が4日間延び、休養日は準々決勝翌日の1日だけ。3回戦の2日目に勝ったチームは、導入意図に反して準々決勝が2日連戦となってしまった。

 つまり、ベスト8決定翌日の休養日というのは、今大会が実質初めて。選手たちの疲れも多少は回復し、フレッシュに近い状態での準々決勝が見られる、というわけだ。

スポーツライター

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。85年、KK最後の夏に“初出場”した甲子園取材は64回を数え、観戦は2500試合を超えた。春夏通じて55季連続“出場”中。著書は『「スコアブック」は知っている。』(KKベストセラーズ)『高校野球100年のヒーロー』『甲子園の魔物』『1998年 横浜高校 松坂大輔という旋風』ほか、近著に『1969年 松山商業と三沢高校』(ベースボール・マガジン社)。

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