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ハイライトは豚丼? デービッド・ポーコックがパナソニック入団を語る。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
ワールドカップイングランド大会時。出血にも負けず。(写真:ロイター/アフロ)

ラグビーのオーストラリア代表として65キャップ(テストマッチ=国際間の真剣勝負への出場数)を持つデービッド・ポーコックが、12月17日、東京・秩父宮ラグビー場で、日本のパナソニックでの入団会見をおこなった。国内最高峰のトップリーグ第12節に先発し、リコーを45―17で下した直後だった。

11月は代表ツアーに参加。12月10日、大阪・東大阪市花園ラグビー場で来日4日目ながらトップリーグデビューを果たした。ここまで2試合連続でオープンサイドフランカーとして出場中で、持ち味を発揮。獅子奮迅の活躍ぶりに、同じポジションの布巻峻介は「もう、俺の仕事ないじゃん」と冗談を飛ばす。

「プレーもそうですけど、試合中に仲間へ声をかけてくれるところも見習いたいなと思います」

ポーコックはジンバブエ生まれの28歳で、2002年からオーストラリアへ移住。身長187センチ、体重115キロと国際級にあっては決して大柄ではない。しかし、肉弾戦で相手の持つボールへ絡む、ジャッカルというプレーで頭角を現してきた。

グラウンド外では同性愛者の権利拡大やフェアトレード(発展途上国との経済格差 解消のための公平貿易)の促進など、社会活動にも力を注ぐ。

以下、入団会見での本人の一問一答の一部(編集箇所あり)。

「この2週間、太田(群馬県にあるパナソニックの本拠地)での生活をエンジョイしています。飯島均部長、ロビー・ディーンズ監督がいいラグビープログラムを設けて推進していると感じます。いまは、日本語をゆっくり覚えようと考えているところです。これまで1人のラグビー選手として日本ラグビーの成長を楽しく観ていましたし、ここでラグビーができていることを光栄に思っています」

――パナソニックのオファーを受けた理由。

「飯島部長、ディーンズ監督と話し、このクラブが作り出す文化を聞きました。そこで魅力を感じたのが決めた理由のひとつです。私は、1つのクラブと長く関係を築きたいと考えています。

私とディーンズ監督との歴史もあります。ディーンズ監督は、ワラビーズ(オーストラリア代表)のファーストキャップをくれた人です。彼のリーダーシップの下で、私は成長できた。これからは、継続的に自分自身が成長して、周りを成長させる助けができたらと思っています。

また、太田が私にとってはいい土地、住みたいところでした。私自身に、小さな町で生まれ育ったというバックグラウンドがある。太田は、すべての場所へ自転車で行ける、コンパクトなところが気に入っている。小さな町では、選手間の距離も詰められます」

――契約年数について。

「現在の契約は、2019年のワールドカップ日本大会後のシーズンまでです。その後については、その時の状況次第と思っています。ただ、2018年シーズンは、ワールドカップに向けての準備のために、日本へは戻って来ません(オーストラリア代表としての活動に専念か)。来季は、オーストラリアではプレーしません。オフは生まれ育ったジンバブエで生活をして、国内シーズンの前には太田へ戻る」

――パナソニックはどんなチームか。

「チームが私たちを温かく迎え入れてくれて、心地よく生活しています。グラウンドもすばらしい。いい環境でやらせてもらっています。ベリック・バーンズ、タンゲレ・ナイヤラボロはワラビーズ(オーストラリア代表)で一緒にプレーした経験があり、助けになる。布巻はオフの日、信じられないくらい美味しい豚丼の店に連れて言ってくれて、それが私のハイライトです」

――得意のジャッカルについて。

「各自が自分の役割を果たした結果、ターンオーバーが起こる。ジャッカルも私1人の仕事ではなく、誰かが低いタックルを決めてランナーを孤立させた結果です」

――ブレイクダウンでの判定基準について。日本が他の国と違うように感じることは。

「行く国によって、ある程度はルール解釈の違いがある。そこへ、いかに適応していくかが大事になってきます。ここまでの2試合では、レフリーに一貫性があった。また、ホンダ、リコーともブレイクダウンでコンテストをしてきた。楽しめました」

――社会をよくするための活動、日本でするつもりはありますか。

「まずは日本に来たばかりで、日本の生活に落ち着かなければならない。ただ私自身、社会から大きなものをいただいている。ラグビー以外のところでも貢献しないといけないと考えています。トップアスリートとして、社会に貢献するのも義務かと思います」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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