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演劇界重鎮達の大炎上と、無観客ライブ配信公演の挑戦

木曽崇国際カジノ研究所・所長
(写真:アフロ)

コロナ禍によって全国の劇場が休業にあえぐ中、東京・下北沢の名門劇場である本多劇場がいよいよ営業再開を宣言した。以下、本多劇場公式サイトより転載。

劇場再開に寄せて

http://distance.mystrikingly.com/

人が集まってこそ劇場です。劇場は舞台で創りあげた作品をお客様にお届けする場所です。劇場としてできることは何なのか。安全を第一としつつ、わずかでも着実に、一歩ずつ。今できることをやりながら私たちは前に進みたいと思います。

6月1日から本多劇場グループは劇場を再開していきます。休館期間中、皆さまに舞台を観ていただきたいという思いで準備をしてきました。多くの方にご協力をいただき、本多劇場グループPRESENTSとして出来得る限りの安全対策をし、最初は少人数から。本多劇場の無観客生配信を皮切りに色々な演目を上演してまいります。

6月1日(月)〜7日(日)に亘り行われる演目は、音楽ライブや演劇などの配信システム「Streaming+」を利用して無観客ライブ配信で上演される。「Streaming+」は今般のコロナ禍後に開発され、5月15日からプレオープンしたばかりのサービスで、今後は音楽ライブや演劇に留まらずイベント、トークショー、美術展などジャンルを問わずサービスの提供分野を広げてゆくという。

今回、本多劇場は無観客のライブ配信での公演再開となるが、演劇の「無観客公演」に関してはこの3月に劇作家・野田秀樹氏が以下の様な意見書を公開し大きな批判を浴びたことが記憶に新しい。以下、野田氏の公式サイトより転載。

意見書 公演中止で本当に良いのか

https://www.nodamap.com/site/news/424

コロナウィルス感染症対策による公演自粛の要請を受け、一演劇人として劇場公演の継続を望む意見表明をいたします。感染症の専門家と協議して考えられる対策を十全に施し、観客の理解を得ることを前提とした上で、予定される公演は実施されるべきと考えます。演劇は観客がいて初めて成り立つ芸術です。スポーツイベントのように無観客で成り立つわけではありません。

(※太字は筆者)

この野田氏による意見書は、同じくコロナ禍に苦しむ興行業界にあって、なぜスポーツを引き合いに出して貶す必要があるのか。プロスポーツだって観客が居ないと成り立たない。演劇界の傲慢だ。…などと様々な批判を呼び、その後の平田オリザ氏に連なる演劇界の大御所を巻き込んだ大炎上のキッカケとなった。今回の本多劇場による無観客ライブ配信による営業再開は、その様に大きな批判を呼んだ演劇界の重鎮達に対する強烈な皮肉として、頭から冷や水をぶっかけるかの様な企画となりそうだ。

【参考】スポーツを見下す野田秀樹ら演劇人の傲慢さに批判殺到

https://togetter.com/li/1476399

本多劇場のライブ配信公演は2020年6月1日(月)〜7日(日)に実施、チケットは前売当日 2,500円(税込)で5月27日(水)12:00よりe+にて発売開始となる。詳しくは以下の本多劇場の公式サイトから。

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国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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