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「とにかく突っ走る」。宮世琉弥を衝き動かす縁と感謝

中西正男芸能記者

 2019年に関西テレビの連続ドラマ「パーフェクトワールド」で俳優デビューし、その後、MBS「ねぇ先生、知らないの?」、テレビ東京「レンタルなんもしない人」、TBS「恋する母たち」などに立て続けに出演している宮世琉弥さん(16)。1月12日から始まる関西テレビ「青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平―」では佐々木悠馬役を演じます。作品ごとに急速に成長する吸収力も含め、今年注目の若手俳優として話題を集めていますが、その推進力となっているのは縁への感謝でした。

自分の再確認

 新型コロナ禍で仕事もストップし、去年はいつもとは違う時間を体感しました。中でも一番強く感じたのが「仕事ができないことがこれだけつらいんだ」ということでした。

 自分の中で、いかに仕事が大きいものなのか。自分がどれだけ「仕事がしたい」と思っている人間なのか。今まであったものが急になくなる。否応なく、そこに気づかされた年にもなりました。

 こんなことは公に言うことでなくあくまでも自分の中の思いなんですけど、去年は「ファンの皆さんに恩返しをしないと」と思っていた年だったんです。だからこそ、それがコロナでストップしてしまい、より一層、深く考える流れにもなりました。

 ただ、ずっと下を向いていても何も生まれない。時間が生まれたなら、普段はできないことに使おうと考えて、海外ドラマを一気に見たり、気になっていた映画をチェックしたり、時間を前向きに使うことも始めてみました。

 あと、特技を磨こうと思って、ギターの練習もしていました。YouTubeでレッスンの動画を見ながら、指の皮膚がずっと赤くなるくらいやってました。ま、お母さんからは、しっかりと「うるさい!」と言われましたけど(笑)。

 だからこそ、去年の夏、収録が再開された時にはこれまで以上に気合が入りました。細かいことかもしれませんけど、朝、現場に入る時のあいさつが大きくなってました。

 特に、自分で「大きくしよう」と思っていたわけではないんです。

 お仕事をさせてもらえることのありがたさ。これが普通ではないという思い。そして、この場を作ってくださっている皆さんへの感謝。

 そんな思いが湧きあがってきて、気づいたら、自分でも驚くくらい大きな声であいさつをしてました。

 よく「この一年を漢字で表すと」みたいなことを聞かれたりもしますけど、去年は確実に「縁」でした。

 今、お話をしたような皆さんとの繋がりも感じましたし、今回出演するドラマ「青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平―」も、僕がデビューした作品「パーフェクトワールド」と同じ関西テレビの制作。

 そうやってまた縁が巡ってくるのもありがたいですし、周りの方がいないとこの仕事って絶対にできない。それを改めて痛感しています。

すべてをぶつける

 ま、なんだか分かったようなことを言ってますけど(笑)、最初、小学生の時に研究生としてこの世界に入った時には、もちろん、そこまでいろいろと考えていたわけでもなく。お仕事をさせてもらう度に、本当にいろいろなことを学ばせてももらっています。

 もともと僕は宮城県の出身で、この仕事をしたいと思ったきっかけが「ももいろクローバーZ」さんだったんです。

 東日本大震災の後に「ももいろクローバーZ」さんが震災復興イベントで地元に来られた時、観客としてステージを見て「すごい!」と思ったんです。

 テレビを通じてだと、空気や質感が全て伝わるわけではない。テレビを見ている普通の子どもの感覚からすると「歌って、踊ってるだけ」みたいな感覚があったと思うんですけど、実際に見ると全く違う。

 みんなが震災ですごくつらい思いをして、何とも言えない重い空気がずっと周りにありました。でも「ももいろクローバーZ」さんがステージに出てきた瞬間、バッと明るくなる、あの感覚。その時に「芸能の仕事をやってみたい」と思ったんです。

 それまで、テレビや映画を見るのは好きだったんですけど、そこに入るという意識は全くなかった。でも、その瞬間に「入りたい」と思いました。

 ただ、実際に入ると、もちろん難しいことだらけですし、日々、迷ったり、くじけたりしそうにもなります。

 今回の「青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平―」でも、藤原竜也さんと共演させてもらった時に、プロの凄みを体感しました。

 すさまじいまでの長ゼリフが何カ所もあるんですけど、現場に入ったら、台本も見ないまま、当たり前のように、事も無げに、おやりになる。

 もちろん、役者として当然のことをやってらっしゃるだけだとは思うんですけど、その振る舞い全てがプロというか。

 プロ中のプロの仕事を間近で見させてもらって、言葉ではなく、体でプロを感じられたのも今回大きな経験でした。そして、この仕事をしていく以上、自分が越えないといけない大きな壁も見た気がします。

 ただ、それを口に出して藤原さんに「すごいですね…」というのはさすがに失礼というか、それをお伝えするのも違うなと思って黙ってたんですけど、周りの方から「言わなくても、顔に出てるよ」と言われました(笑)。それくらい、大きな体験だったというか。

 本当に、お仕事の度にいろいろな経験をさせてもらっています。なので、今年はこれまでやってきて蓄えてきたものをぶつける年にしたいなと。

 全力でぶつけて、もし、失敗したら、それはまた来年にぶつければいい(笑)。2021年はとにかく突っ走る。そんな年にしたいなと思っているんです。

(撮影・中西正男)

■宮世琉弥(みやせ・りゅうび)

2004年1月22日生まれ。スターダストプロモーション所属。小学1年の時に地元・宮城県で東日本大震災を経験する。被災後に訪れたライブイベントで「ももいろクローバーZ」のパフォーマンスを間近で見て芸能活動に興味を持つ。スカウトをきっかけに、スターダストプロモーションの仙台営業所で研究生として活動。19年、出身地である宮城から世界へ羽ばたけるようにという願いを込めて「宮世琉弥」に改名する。19年、関西テレビ「パーフェクトワールド」で俳優デビュー。MBS「ねぇ先生、知らないの?」、テレビ東京「レンタルなんもしない人」、TBS「恋する母たち」など立て続けにドラマに出演。1月12日から始まる関西テレビ「青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平―」では佐々木悠馬役を演じている。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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