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#億兆電卓』を作ってみた! ZOZO1億円お年玉、初マグロの競りから国家予算まで計算力で読み解く

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
『億兆電卓』 出典:筆者

KNNポール神田です。

毎日毎日、何億円、何兆円単位の数字が社会には飛びまわっている…。

■ZOZO前澤社長の1億円のお年玉プレゼント100万円×100人 2019年1月7日(月)まで

ZOZOの前澤友作社長(43)が個人的に、お年玉として100人に100万円プレゼントするという。総額で1億円となる(1月7日まで)。現在(2019年1月6日14時56分)で259万5,503人のフォロワーだ。これはおそらく個人のtwitterフォローとRTキャンペーンでは最大級にあたる。

単純に、現在のフォロワーで『1億円』を山分けすると…一人当たり39円となる。そして母数から100人に選ばれる確率は、1/2万5,955人 である。それでも『宝くじの100万円の当選の確率(10万分の1の確率)』よりは、かなり高い!そう『計算』することにより一人当たりの金額や確率が身近でわかりやすくなるのだ。

※本日すでに421万人に増えている!(現在、2019年1月7日 10時31分

一方、259.5万人のフォロワーがいる前澤さんがフォローしているのは、たったの72人である。『フォロー:フォロワー率』は、1人当たり:3万6,049人という『超・情報発信型』のtwitterのようだ。前澤さんの眺めている『twitterの世界』は、かなり限られている景色であろう。残りは自分あてのRTだったり、ハッシュタグから見える世界だ…。

#月にいくならお年玉

100万円×100円という計算は、100万円の桁を2桁上げればよいので『1億円』という数字はわかりやすい。しかし、1億円を英語圏の人に説明するためには…一瞬、言いよどんでしまう。英語圏では、桁数が『1億』という概念がないからだ。『1億円』は『100M(ワンハンドレッドミリオン)円』といわなければならない…。そう、こちらには慣れが必要だ。これを『電卓アプリ』で解決したいと思い続けていた…。

■初競りのマグロは、3億3,360万円 一貫当たり1万2,000円?一人当たり9万6,000円分

すしチェーン「すしざんまい」を運営する喜代村(東京)が、一番マグロを3億3360万円で競り落とした。青森・大間産の生の本マグロで、278キログラム、キロ単価120万円。

出典:すしざんまい3・3億円「やりすぎた」、小池氏驚き

豊洲市場での初競りで競られたマグロはなんと278キログラムで3億3,360万円。1キロ当たりなんと120万円。マグロ一貫10グラムとすると、1貫の原価はなんと1万2,000円となる。20グラムだと1貫2万4,000円の原価のお寿司だ。マグロの原価率を50%とすると、本来は、20グラムだと4万8,000円の売価にしなければいけないほどだ。

また、278キログラムを20グラムで割ると、1万3,900人が食することができる。一人当たり4貫食べるとすると3,475人が口にできるという計算だ。すると、3,475人が3億3360万円分を口にすると一人当たり9万6,000円分を食べることになるだろう。

そう考えると、すしざんまいに、急いで食べにいきたくなってきた! フェルミ推定でもかなりいい線の計算ができる。

※1貫あたり19グラムだった。

■国の借金1,087兆8,130億円 国民一人当たり859万円は本当か?

こんな大きな金額も簡単に入力できる1,087兆8,130億円
こんな大きな金額も簡単に入力できる1,087兆8,130億円

国債や借入金、政府短期証券を合わせた「国の借金」の残高が(2017年)3月末時点で1087兆8130億円になったと発表した。18年4月1日時点の総務省の人口推計(1億2653万人、概算値)で単純計算すると、国民1人当たり約859万円の借金を抱えていることになる。

出典:国の借金、1087兆円に増加 3月末、国民1人当たり859万円

1,087兆8,130億円÷1億2653万人という数字を12桁の計算機で計算するのは大変だ!入力だけでも一苦労だ。しかも、桁を間違えないように、2度、3度と再計算して検算を行う。その時間って無駄ではないか?『1兆』ってゼロを12回も打ちこまなければならない。

『億兆電卓』
『億兆電卓』

まったく手前味噌だが…、

『億兆電卓』で計算すれば、何も考えることなく計算することができる。一人当たり859万7,273円だ。

1087 兆 8130 億 ÷ 1 億 2653 万 =  859万7,273  

『億兆電卓』は、ゼロの数を意識することなく入力することができる。『桁数』を気にしないで入力できるだけで労働効率は格段に上がることだろう。小学生でも億兆単位の計算が、直感的にできるようになる。日本の税金を簡単にチェックすることもできるのだ。

この『国の借金』を、日本国民になすりつけるのではなく、これらを決定し、使ってきた国会議員の数で割ってみるといくらになるだろうか?

現在の国会議員数は707人だ(衆議院は465人、小選挙区289人・比例代表176人、参議院は242人、大選挙区146人・比例代表96人)。国会議員一人当たりで計算してみよう。

1,087兆8,130億円÷707人=1兆5,386億円となった。国の借金を決定した国会議員一人当たり1.5兆円の借金と言い換えるべきである。

また、2019年度の国家予算の概算要求の一般会計で102兆7,658億円となる。こちらは、国民一人当たり1.2億人で割ると… 85万6,382円  となる。

国家予算も簡単に計算できる…財務省の官僚の皆さん、この『億兆電卓』があれば概算要求の計算で桁の読み間違えはなくなることだろう。

■存在しなかった『億兆』単位の「数字表記」と「3桁カンマ混在」「ミリオンビリオン表示」「計算結果のコピー&ペースト」の電卓アプリ

App Storeで無料&広告なしでディストリビューション開始 出典:Apple
App Storeで無料&広告なしでディストリビューション開始 出典:Apple

『億兆電卓』を作ってみた!

https://itunes.apple.com/app/id1443248865

『千万』単位のボタンがある電卓は、多いが『億兆』単位のボタンがあるリアルな電卓はなぜか存在しない…。

『億兆』単位の計算ができる電卓アプリはあるが、英表記がすぐにわかる機能の電卓は、なぜか存在しない…。

また漢字ではなく数字と漢字と3桁コロンで表記されているものも、なぜか存在しない…。

さらに、計算結果がコピー&ペーストできる電卓アプリもなぜか存在しない…。

どうして、こんな便利な電卓を誰も作らないんだろうか?という疑問がずっと湧いていた…。

何よりも、自分が一番欲しい便利な電卓ツールとして開発したかった。

そう、機能がないものは、1.我慢する… 2.誰かにお願いする… 3.自分で作ってしまう…の三者の選択である。

電卓を作っているメーカーの中の人に相談するも、そんな『億兆』単位の計算する人いますかねえ…と議題にも取り上げられなかった。

1.我慢するという選択肢はボクの辞書にはない…。

3.は、いろいろとJavaScriptでトライしてみた…

2.で、ようやく理解いただけるパートナーと相談し、共同開発することとなった。

パートナーとして相談したのが、ソフトバンクアカデミア外部1期生で同期のYouTeacherの布和賀什格さんだった。

https://www.youteacher.asia/

役割分担として、企画&アイデアをKNN、開発&実装 YouTeacherということ、実際の開発実装は、約2ヶ月間。2018年のクリスマスにリリースを行い、このお正月にバージョンアップ。バグフィクスとコピー&ペースト機能を装備した。

■YouTeacher布和さんに、今回のアプリを開発するにあたり苦労した点を聞いてみた

『電卓アプリ』という完全に熟して、飽和していると思っていたカテゴリーに、まだ未開の分野があったことに大変興味を抱きました。ポール神田さんの企画を、実際に実装し開発してみると、けっこう大変です(笑)。何よりも、桁数に合わせて変化する数字がしっくりこなかったので、数字のフォントそのものをデザインしたり、3桁ごとのカンマの位置合わせなどに非常に苦労しています。億兆を気にする人には小数点以下の数字はどうでもよく、電卓としては、小数点以下の数字はすべて四捨五入で正数のみ表記するという異質な電卓となっています(笑)。

また、twitterやfacebookに計算結果のスクリーンショットと共に #億兆電卓 のハッシュタグをシェアしたい、ドル円の為替レートをリアルタイムに反映させたいなど、いろんな企画を預かっています。広告も挿入せず、無料という、まったくビジネスにはならない開発ですが、使ってくれる人の、ゼロを何度も打ち込むストレスを解消できることは、社会の為になることだと信じています。

ポールさんもSwiftによるiOSアプリ開発に興味を持ってくれたので、アドバイスするならば、本は読まずに、検索で『Swift Docs』を調べてもらえるとよいかと思います。現在は『Swift』を覚えるだけでiOSアプリを開発できるようになるので、たくさんの人がプログラムにトライしやすい環境になるかと思います。ぜひ、プログラミングを覚え、自分の為のツールが社会の為になれる環境を体験していただきたいです。

YouTeacher 布和賀什格

■『フェルミ推定力』のススメ

ある程度の仮説段階での『フェルミ推定力』は、子供たちの想像力を大いに刺激することができる…。

『億兆電卓』は、小さなお子様でも、億兆単位の大きなファイナンスの数字を日常的に扱えることを大前提として企画した。メディアの発表した億兆単位の数字をそのまま読み流すのではなく、常に、疑問を抱きながら、国民一人当たり 1.2億人とか、日本の世帯数5,340万世帯65歳以上の人口3,514万人15歳未満以下の子供の人口1,553万人  などの変数を『億兆電卓』の割り算すれば、フェルミ推定をもとに、いろんな仮説を立てることができる。それによって生き生きとした『数字』を日々体験できる。

■スシローの1時間あたりの来客数をフェルミ推定してみる

数字と『億』ボタンだけで入力完了
数字と『億』ボタンだけで入力完了

たとえば、みんなが大好きな回転寿司の『スシロー』の2018年の売上は1,748億円で寿司チェーンナンバーワンというのをTBSテレビの『坂上&指原のつぶれない店』でやっていた。店舗数も513店舗でナンバーワンだ。これだけで、スシローの1店舗あたりの年間売上は、1,748億÷513=スシローの1店舗あたり平均年商が3億4,074万円ということがわかる。

3億4074万円の平均店舗年間売上 
3億4074万円の平均店舗年間売上 

1店舗で年間3億4,074万円であれば、盆暮れしか休まないスシローの稼働日を仮に350日とすると、一日あたりの平均売上は、3億4,074万円÷350日で、1日1店舗の売上は97万3,545円だ。11時から23時の仮に10時間営業であれば、1時間あたり9.7万円の売上となる。客単価を仮に2,500円と自分がオーダーした時の感覚で考えると… 9.7万円を2,500円で割ると、1時間あたり39名のお客さんが来ているという仮のフェルミ推定値が成立する。

正確な数字というよりも、ナンバー1の回転寿司は、1時間あたり39名くらいのお客様が来ているということが、『億兆電卓』を数回たたけば、ものの3分で計算できる。『スシロー』で並んでいる間に、子供でもこの店舗の売上がいくらで年商がどのくらいで、働いている人の時給で計算していくと、事業というのがどのくらいで成立するのかということに興味が抱けるはずだ。塾や学校では教えてくれないファイナンス教育の計算ツールとして、経営者目線のゲーム感覚でいろんなお店の『売上』を分析してもらいたい。

また、生涯獲得賃金も、上場企業の平均生涯賃金は2億3,864万円だ。平均年収414万円のサラリーマンの『58年分(2億3,864万円÷414万円)』の賃金に値する。22歳の大学卒業後から80歳まで働いてやっと『2億3,864万円』となる。医者や弁護士でさえ、生涯賃金は、4億9,600万円(年収1260万円の平均的医者の収入 40年間の生涯賃金)だ。非正規雇用の年間手取り200万円で40年間働いた場合の生涯賃金は、8,000万円だ。

つまり、サラリーマンで過ごすと生涯賃金は1億円弱から2.4億円の間、医者や弁護士のエリートでさえ5億円以下である。どんだけ頑張ってもこの金額を超えるのは難しい。であれば、この金額を若い内にさっさと稼いでしまい、時間的な束縛や拘束を得ない人生を歩むためには30代で2.5億円稼げば、後は悠々自適なのだ。

アジアのマレーシアのように物価の安い間にその金額を投資すれば5倍に投資はレバレッジが機能する。サラリーマンの両親や、起業経験のまったくない学校の先生に教わるような、受験に打ち勝ち、良い大学、良い企業に就職すれば安泰というご時世はすでに崩壊している。

『億兆電卓』は自分の未来の生涯賃金2.4億円を、3万日(82歳)で割り算すると、1日いくら必要かが瞬時にわかる。そう平均1日8,000円あれば0歳から84歳まで生きていけるのだ。1日8時間として、時給1000円だ。

むしろ、生涯賃金2.4億円を24億円にするには、一生懸命、勉強して医者や弁護士(生涯賃金5億円以下)になっても絶対に無理だ。それは事業をおこすことだ。高卒のZOZOの前澤さんが、バスキアの絵を123億円で買えたのも、自ら事業を興したからだ。

この狭い日本でもそれは可能なのだ。最初からアジアや中国、世界を目指せばもっと大きく、たくさんの雇用で人々を金銭的に幸せにできるはずだ。ソフトバンクビジョンファンドの10兆円投資は、世界の70億人で平等に分配すれば1人当たり1,429円となる。日本の人口であれば、一人当たり8.3万円だ。筆者は日夜、『億兆電卓』でいろんな数字で妄想を広げている57歳の子供だ。13歳の子供ならばどんな妄想を広げてくれるのかがとても楽しみだ。

■未来を切り開くツールとしてのプログラミング。たしなみとしてのプログラミング

プログラミングは、英語やファイナンス、起業、と同じくらい、学校で本当に教えてもらえていない『科目』である。

もはや、この国を支えるのは『暗記力を競う競争』の受験力ではない。覚える暗記力はクラウドであり、AIで構わない。これからは、思考し、妄想し、行動するチカラが必要なのである。何よりも、プログラミングはパソコンとインターネットのブラウザさえあれば、無尽蔵に学べる。

どの企業でもプログラマーは恒常的に人手不足だから仕事にはまったく困らない。受験勉強するパワーで、プログラミングに集中したほうが良いだろう。そして、文系理系に問わず、プログラミングは大人のたしなみとして、必要なスキルとなる。特に事業家は、プログラミングで学べる論理的な思考形成やプログラマーにリクエストをするための必須のスキルでもある。2回やり直すことがあったら、プログラムを組んでしまうという発想が必要だ。

誰もがプラグラミング的な発想でいろんなツールを生み出せば、それは新たなネットワークになることだろう。インターネットが、コミュニケーションのプラットフォームとなり得たように、プログラミングツールが相互にコミュニケーションをとりあえば、人間は最大限に効率化が図れる。しかし、その効率化と幸福とはトレードオフの関係になりやすいのだ。幸福を求めれば、効率化だけでは満足できなくなる。しかし、便利さと効率化は、ゆとりの時間を生み出す。わたしたちは『ゆとりの時間』にさらに仕事を投入し、さらなる富を得ようとして、空回りしている状態だ。

『2.4億円の生涯賃金』の形成要因を『因数分解』し、どうすれば『短期間』に稼げるかのプランを熟考すべきなのである。そのためには、プログラミングという知識は、自分が動かずにプログラミングで解決するという『21世紀型の不労所得』のビジネスモデルなのだ。

SEシステムエンジニアからの仕様を元にコードを書くプラグラマーではなく、戦略的なプログラマーが増えることが、この資源のない国を助ける方法ではないだろうか?

『21世紀型の不労所得』のツールとして『億兆電卓』を未来の子どもたちに贈ります!

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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