<おトクな鉄道旅> きっぷの分割購入で、JR運賃が安くなる
待ちに待った夏休み、どこかへ旅に出かけたいけれど、マイカーで出かけると渋滞に巻き込まれそうで……。
そんな人にオススメなのは、なんといっても“鉄道旅”。
JRの場合、目的地までの切符をこま切れに分けて買うだけで、トータルの運賃がグンと安くなる区間があることをご存じだろうか?
たとえば、成田空港(千葉県)から横須賀(神奈川県)間の通常運賃は2590円だが、きっぷを購入するときに、
1) 成田空港~千葉
2) 千葉~東船橋
3) 東船橋~新小岩
4) 新小岩~浜松町
5) 浜松町~横須賀
という5枚のきっぷに分割して買うだけで、運賃は合計2130円になる。その差額はなんと460円。家族5人で移動したとすれば、片道だけで2300円、往復で4600円の節約ができるのだ。
関西や中部エリアでも同様で、大津(滋賀県)~姫路(兵庫県)間では、京都~大阪~三ノ宮~朝霧~東加古川できっぷを分割するだけで、2590円が2110円(差額480円)に、岐阜~豊橋(愛知県)間では、名古屋~岡崎~三河三谷で分割すれば、1940円が1600円(差額340円)になる。
これらの例からも分かる通り、ちょっとした手間と時間をかけてきっぷを複数枚購入するだけで、移動にかかる費用がグンと安くなる場合があるのだ。
もちろん、分割きっぷだからといって途中の駅でいちいち下車する必要はなく、移動にかかる時間のロスも全くない。
JRとしては、きっぷを分割する方法は公式には案内しておらず、あくまでも目的地までの切符を1枚で購入するのが原則だ。しかし、乗客が自動発券機(指定した区間の切符が取れる券売機)を使って分割購入することは自由だ。
JR東日本の場合は、窓口でもこちらが申し出れば問題なくきっぷを分割して発売してくれる。目的地までの切符がすべてそろっていれば、新幹線への乗車もOKだ。
通院や帰省、習い事などで、同じ区間を頻繁に通う場合は、分割きっぷを回数券で購入しておけばさらに安くなる。通勤定期も分割で購入可能だ(*学生定期は不可)。
分割で安くなるカラクリとは
なぜこのようなことが起こるのか?
実は、JRの運賃は、営業キロが11~50kmまでは5km毎、51~100kmまでは10Km毎というように、一定のキロ区分ごとに運賃を定められている。そのため、きっぷを分割した場合、算出に用いる営業キロの合計が、通しで購入する場合の営業キロよりも小さくなることがあり、割安になる場合があるのだ。
他社との競合路線は『狙い目』
また乗車区間によっても1キロ当たりの単価が異なっている。
たとえば乗客数の多い首都圏では「山手線内」のみを利用する場合の賃率が安くなっている。そのため、山手線を含む長距離の切符を購入するより、山手線の区間のみの切符を分割したほうが割安になるのだ。
さらにJRでは、他の鉄道会社線と競合している区間の一部には、特別に安い運賃を設定している。前出の例で見ると、成田空港~横須賀間では、京成、京急、都営地下鉄が競合している。大津~姫路間では、京阪、阪急、阪神、神戸高速、山陽電鉄等がそうだ。このような場合は、さらに割安になる場合があるのだ。
ただし、分割すると逆に高くなるケースもあるのでその点は注意が必要だ。分割きっぷのメリットが最大限に発揮できるのは大都市圏周辺、100km前後をイメージしておくとよいだろう。
この方法、鉄道マニアの間では知られており、すでに複数の計算サイトが存在している。インターネットで『分割きっぷ』と入力し、出発駅と目的駅を入力すれば、もっともお得な分割区間と料金が表示される。
この夏、ちょっとしたゲーム感覚で『分割きっぷ』の旅を楽しんでみてはいかがだろうか。
<参考webサイト>