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「せいぜい頑張って」って嫌味?どんな意味?気になる「わざわざ」についても解説【日本語の疑問】

おやさいなおライター/正しい日本語レッスン

例えば会社で上司から「せいぜい頑張って」と言われたら、どう思いますか?「どうせうまくいかないだろうけれど」といったニュアンスを感じて、「嫌味かな?」「本当は期待されていないのかな?」と思う人もいるのではないでしょうか。しかし、それは心からの応援の言葉かもしれません。

「せいぜい」は副詞で、漢字では「精精」と書きます。辞書で意味を調べると、下記のとおりです。

せい‐ぜい【精精】 の解説
[副]
1 能力の及ぶかぎり努力するさま。できるだけ。精いっぱい。「—おまけします」「—養生して下さい」「病み上がりで、近所を散歩するのが—だ」
2 できるだけ多く見積もってもその程度であるさま。たかだか。「遅くても—二、三日で届くだろう」「高くても—一万円だろう」
(略)
[用法]せいぜい・[用法]たかだか——「合格するのはせいぜい(たかだか)三人だろう」「一日かかってもせいぜい(たかだか)一〇ページしか読めない」など、多く見積ってもの意では相通じて用いられる。◇「せいぜい」にはその上限に達することを目標にする意もある。「せいぜい努力します」「せいぜいお大事に」など。また、それほど期待はしていないという気持ちで用いることがある。「相手は強豪揃いだ。—頑張るさ」◇「たかだか」は上限の程度を大したことではない、とみる気持ちがある。「集まってもたかだか五〇人だろう」「たかだか一週間の旅行に大騒ぎするな」
引用:精精(せいぜい)とは? 意味・読み方・使い方をわかりやすく解説 - goo国語辞書

確かに「それほど期待はしていない」という意味でも用いられるので、嫌味に使っても間違いではありません。しかし上記1にあるとおり、「精いっぱい」の意味でも問題なく使用できる言葉なので、実際嫌味かどうかは場面によるのです。思うに、上記2の「たかだか」というニュアンスが混じって一人歩きしてしまったのではないでしょうか。

ちなみに、2015年2月~3月に実施されたNHK放送文化研究所ウェブアンケートによると、すべての世代において「せいぜいがんばってください」という言い方については嫌味だと感じる人の方が多く、また特に若い世代の方がその傾向が強いようです。20代~30代では、「いやみとして言っている(言った人に、純粋に応援する気持ちはない)」と回答した人は約7割を占めました(参考:「『せいぜい』がんばって」?|NHK放送文化研究所)。

引用:NHK放送文化研究所ウェブアンケート(2015年2月~3月実施)
引用:NHK放送文化研究所ウェブアンケート(2015年2月~3月実施)

本来の「精いっぱい」「上限まで」という意味を考えれば正しい日本語ではあるものの、誰かを純粋に応援したいときに「せいぜい」を使うと誤解されてしまうかもしれません。そのため、「力の限り頑張ってほしい」という気持ちを伝えたいなら、「全力を出せるように応援しているね」などに言い換えるのがおすすめ。逆に、誰かから「せいぜい頑張って」と言われたときは「嫌味かな?」なんて落ち込まず、ポジティブな意味で受け取ってみましょう!

おやさいの余談メモ ~「わざわざ」も要注意~

同じく嫌味にとられがちな言葉に「わざわざ」があります。漢字では「態々」と書き、通常なら行わなくてもいいことを意図的に行うさまを表します。

「わざわざ」は、何か親切をしてもらったときに「わざわざありがとうございます」などと使われることもある一方で、嫌味として使われることも。実際、実用日本語表現辞典では、とくに敬語で使用する場合について「相手に皮肉として受け止められてしまうことがあるため注意が必要である」とされています。また、わざとらしいの意味をもつ古語「態々し(わざわざし)」が語源とされていることからも、ネガティブな意味でとられないか、ちょっと心配な言葉だといえるでしょう(参考:態々(わざわざ)の意味や読み方 わかりやすく解説 Weblio辞書)。

したがって、心から感謝するときに使いたいなら、「ご丁寧にありがとうございます」「過分なお心遣いありがとうございます」「○○さんもお忙しいのに~してくださってありがとうございます」などと言い換えるのがベター。もちろん相手に気持ちが伝わるなら「わざわざ」を使っても問題ありませんが、とくにビジネスシーンなど相手と完全に打ち解けていない場面では、なるべく誤解を与えない言葉選びを意識してみては?

ライター/正しい日本語レッスン

<<明日から職場で使える正しい日本語の知識をわかりやすく発信中>>国語・日本語好きのWebライター。ビジネス敬語や日本語の「あれ、なんだっけ?」「これ、どうしたらいいの?」を1つでも多く解決できるよう、活動していきます。元編集者。趣味はイラストと語彙力アップ。【保有資格】校正士、中学校・高等学校教諭一種免許状(国語)

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