「なおざり」と「おざなり」の意味の違いとは?使い分けるコツや類語についても解説【どっちを使う?】
「なおざり」と「おざなり」。響きも似ていますし、両方とも「いいかげん」という意味があって意味も何となく似ていることをご存じの人も多いかと思います。実はこの二つには違いがあるのですが、知っていますか?
この記事を読めば、あなたも場面によって「なおざり」と「おざなり」が使い分けられるようになるはずですよ♪
それぞれの意味は?
まず、『三省堂国語辞典』第八版(2022年、三省堂)でそれぞれの意味を調べてみると、下記のとおりです。
なおざり
真剣に取り組まないで、ずっとほうっておくようす。「安全対策をーにする・基礎的な調査がーになる」
由来:「なお」は「尚(なお)」で、ずっとそのままにする意味。「ざり」は不明。
区別⇒おざなり。
表記:かたく「:等閑」とも。
おざなり
その場の間に合わせ(にするようす)。いいかげん。「ーな報告書でごまかす・ーのあいさつしかしない」
由来:「お座敷(ざしき)形(なり)〔=お座敷で、その場だけとりつくろった形〕」から。
区別:「おざなりな議論」は、形だけのいいかげんな議論の意味。「議論をなおざりにする」は、議論しないでほうっておく意味。それぞれ「おざなりな…」「…をなおざりにする」「…がなおざりになる」の形でよく使う。
ー『三省堂国語辞典』第八版(2022年、三省堂)より抜粋
つまり、なおざりは「物事に注意を払わず、いいかげんに放置する」というニュアンスであるのに対し、おざなりは「なにかしら対応や行動はするものの、それがうわべだけでその場逃れ・いいかげんである」という意味だといえます。
使い分けるコツは?
ざっくり覚えるのであれば、放置するのがなおざり、間に合わせで対応するのがおざなりと覚えておくと使い分けられるのではないでしょうか。
とはいえ、どっちがどっちだっけ?と混乱することもありますよね。そんなときのために、
・なおざりの「なお(尚)」=「ずっとそのままにする」という意味
・おざなりを漢字で書くと「御座なり」
⇒お座敷などでその場だけの間に合わせにする様子から生まれた言葉
ということも併せて覚えておくと便利ですよ。
類語は?
■なおざりの類語
なおざりの類語には「ゆるがせ」というものがあり、「その約束はゆるがせにできない」といったように、よく否定形で使われます。漢字で書くと「忽せ」。「忽」は「心」と「勿れ」が組み合わされた「心の中に何もない」という意味の漢字ですが、そこから、おろそか・いいかげんにするさまを表すとされています。
また、前述の通り「等閑」と書いて「なおざり」と読むこともありますが、「等閑(とうかん)」と読んでも、なおざりとほぼ同じ意味の類語になります。「等閑に(付)する」という「ほうっておく」という意味の言い回しもあるため、覚えておくと良いかもしれません。
■おざなりの類語
おざなりの類語には、「場当たり」というものがあります。これは、無計画なその場の思いつきで行うことを指し、「場当たり的な対応は良くない」といったように使われます。ほかにも、「その場しのぎ」「間に合わせ」等と言い換えることもできますよ。
いかがでしたか?
ややこしい「なおざり」と「おざなり」ですが、使い分けるポイントはクリアになりましか?類語も覚えて、ぜひその場に合わせた言葉選びをしてみてくださいね。
余談ですが、著者はこの記事を執筆しながら、現状なおざりにしていることを思い出してしまいました……。今年も残すところあと少し。みなさんもこの記事をきっかけに、今なおざりにしていることはないか、ぜひ一度振り返ってみてはいかがでしょうか。
<参考>
・『三省堂国語辞典』第八版(2022年、三省堂)
・齋藤 孝『大人の語彙力ノート どっちが正しい?編』(2018年、SBクリエイティブ)