FRBは4年半ぶりの利下げを決定、幅は0.5%
米連邦準備理事会(FRB)は18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)において、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.5%引き下げ、4.75~5.00%とした。
利下げは2020年3月に新型コロナの感染拡大で株価急落などに対応するため臨時の会合で利下げを決めたとき以来、4年半ぶりとなる。
ボウマン理事は主要政策金利の0.25ポイント引き下げを主張し、0.5ポイント利下げの決定に反対票を投じた。政策決定に理事が反対したのは2005年以来となる。
13日にダドリー前ニューヨーク連銀総裁が0.5ポイントの利下げを実施する余地があるとの見方を示すなどしており、0.5%の利下げは予想通りといえる。
このため、18日の米国債券市場や株式市場では利益確定売りの動きとなっていた。ドル円は一時140円45銭まで下落していたが、その後急反発となって142円台を回復していた。
FRBのパウエル議長は記者会見で、米個人消費支出(PCE)物価指数の上昇率が7月に前年同月比で2.5%に低下するなど物価抑制の進展によって、強力な動きが可能になったと説明。
大幅利下げは「時宜を得たものであり、後手に回らないという決意の表れ」とも強調した、一部で浮上する「出遅れ」批判に反論した格好ながら、後手に回っていたことでの大幅利下げとの見方もできなくはない。
11月の米大統領選を戦う民主党候補のハリス副大統領は18日、FRBによる利下げ決定を歓迎し、今後も物価押し下げに注力すると述べた。
政治的な圧力があったのかどうかはわからない。しかし、米大統領選の行方も多少ながら考慮していた可能性もゼロではないのではなかろうか。
同時に公表した経済見通し(ドットチャート)では年内残り2回の会合での追加利下げ幅について、中央値の2回分となる0.5%を支持したのは19人中9人となり、7人は0.25%とした。
追加利下げについては、あまりこのドットチャートを意識する必要はないかもしれない。年内会合は11月と12月に予定されているが、大統領選もあって11月は動きづらいこともあり、12月に0.5%の利下げを決定する可能性があるとみている。