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連休明けに、やる気が出ない人へ【伊藤羊一倉重公太朗】最終回

倉重公太朗弁護士(KKM法律事務所代表)

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非常にポジティブな発言の多い伊藤羊一さんですが、若いころは自分の行動を振り返っては自己嫌悪に陥ることもあったそうです。「あそこがダメだった」「ここもダメだった」とネガティブにとらえてしまうと、行動し続ける気持ちが折れてしまうかもしれません。伊藤さんに、自分を肯定しながら振り返る方法を伺います。その他にも、悩めるリスナーからの質問に答えていただきました。

<ポイント>

・学生には「フリー・フラット・ファン」で接する

・振り返りのときは自分を全肯定する

・伊藤さんがインプットで心がけていること

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■リスナーからの質問タイム

倉重:ここからは、参加者からご質問を直接もらっていいでしょうか。パネリストの皆さんに挙げさせていただきますので直接質問をしてください。コヤマツさん、最初にお願いします。

A:よろしくお願いします。伊藤さん、大変面白い話をありがとうございました。毎朝Voicyを聞いています。伊藤さんはいつもVoicyでエネルギッシュにお話されていて、非常に元気をいただいています。伊藤さんがご自身のパフォーマンスを上げるためにやっている習慣があれば、3つぐらい教えていただけないでしょうか。

伊藤:とにかく睡眠時間を確保することは絶対にしています。すべての源なので睡眠時間を確保します。それから、とにかく言葉にすること。Voicyもそうなのですが、できれば人と話しながら、テンションを上げています。

 ですからこういう機会をいただいて、自分がパフォーマンスを上げるために声にする時間というのは意識して作っています。

 もう1つは振り返りです。振り返りというのは本当に大事で、自分の成長の原点です。

A:ありがとうございます。自分もきょうから振り返りをやってみようと思います。

伊藤:学生と接するときに意識していることは非常に明確で、「わたしは先生、あなたは学生」というスタンスでは臨まずに、「フリー・フラット・ファン」と言っているのですが、フラットな態度にしています。

わたしの役割は管理人のおじさんという感じで言っているのですが、本当にフラットに接しています。生徒に対しても「あなたから教えてもらいたい」という態度で接することはすごく意識しています。

倉重:ありがとうございます。次にBさんお願いします。

B:お話ありがとうございました。「イベントで隣の人に声を掛けて」とおっしゃっていましたが、その中でこういう人とはその後付き合わないという判断軸はありますか? 人柄ではなくてスキル軸でお聞きしたいのですが。こういう人とはお付き合いしないというのは、どういうふうに判断されていますか。

伊藤:スキルではまったく判断していないです。ネガティブな人とはその瞬間話すのをやめます。スキルと言えばスキルかもしれません。「ネガティブな状況に陥ることもある」というのを客観的に自分も理解した上で言っているのはいいのです。もちろん人間ポジティブばかりではいられません。ただ、性格がネガティブな場合は言葉に出てくるのですぐにわかります。

B:その人の言葉にですね。

伊藤:その瞬間に無になります。嫌いでも何でもなくて無になります。ネガティブは伝染しますから。

倉重:わたしもいろいろな解雇事件をやっていて思うのですが、本当に能力が上がらない人に共通するのは他責です。

伊藤:他責という意味でのネガティブも本当にそうです。

B:よくわかりました。ありがとうございました。

■やりたいことを実現しておくと後悔はなくなる

倉重:続きましてCさん。

C:最近ずっと悩んでいるのが留学に行こうか、転職しようか、今の会社に残るかということです。

秋ごろからずっと考えているのですが、先ほど決めるには自分を見つめることだというお話がありました。自分を見つめて振り返ってはいるのですが、駄目な方向に考えがちなところがあります。伊藤さんとしては認める側で考えているのでしょうか。そのあたりを伺いたいと思います。

伊藤:まず全肯定です。自分が自分を全肯定しなかったら、誰が全肯定するのでしょうか。もちろん後で反省することはありますが、基本は全肯定です。要するに留学したいのでしょう?

C:したいです。

伊藤:留学したいのになぜ悩んでいるのですか?

C:留学を選ぶことが逃げになるのではないかということと、留学を選ばないことも逃げることになるのではないかと感じています。

伊藤:留学したいのなら留学でいいと思います。留学して転職すればいいと思います。もし後悔したら今の会社にごめんなさいと言って、「いろいろ経験してきましたからまた雇ってください」と言えばいいのです。

倉重:ものの数分で本質をズバっと突かれましたね。

伊藤:これは自分の後悔にもつながるのですが、わたしは銀行時代に留学生試験に落ちたのです。いいところまで行ったのに、面接で「お前は通信教育も完了していないのに留学生試験を受けるんじゃない」と常務から言われて駄目でした。

一次試験のエッセイは通って、二次試験の面接は強いからばっちりだと思って、「おれ留学するから」という感じで留学先はボストンに決めていました。完璧だと思っていたのですが、落ちてしまって本当にショックだったのです。そのときは仕方ないと割り切って、転職のときに半年間だけボストンに行きました。

倉重:半年留学されたのですね。

伊藤:語学学校に通いながら、ときどきハーバードビジネススクールにもぐり込んで「こんな感じか」と思っただけなのですが、行っていなかったら自分の人生には後悔が残ったので、本当に行って良かったと思います。そういう意味でも行きたいと思って実現すると後悔はなくなります。

倉重:決まりましたね。

伊藤:何を悩んでいるのかと思いました。選択肢は「会社に残る」「留学する」「転職する」の3つで、2つはできるわけですから。

C:そうですね。行きます。

伊藤:これはOut of questionです。

C:ありがとうございました。

■自分の脳をだましながら振り返りをする

倉重:次はDさん。

D:貴重なお話ありがとうございました。わたしもいつもVoicyを聞かせていただいて、Zoom越しですがオーラがすごすぎて緊張しています。

伊藤:緊張しなくていいですよ。イケてるビジネスパーソンを演出しているだけなので(笑)。

D:ありがとうございます。わたしがお伺いしたいことが2つあります。1つ目がわたしも結構自分のことを振り返るタイプなのですが、「あれもできていない、これもできていない」ということで暗くなることが多いのです。伊藤さんがポジティブに受け止める上で意識されていることがあれば教えてください。

伊藤:先ほどポジティブではない人と付き合わないと言いましたが、そこはかなり意識しています。ニュートラルで言うとポジティブになるときも、ネガティブになるときもあるので、ポジティブなことしか言わないと決めています。

「あれもできていない」「これもできていない」「どれもできていない」「それはチャンスだ」とあえてそう言うのです。最大のチャンスだとあえて言葉にしてみるということは茂木健一郎さんが言っていました。言葉を音声にしてみることが大事です。

音声で人にしゃべると耳に入ってくるので、ある意味洗脳していくと言いますか、自分に刷り込んでいくことになるのです。「これはチャンスだ」と言葉でちゃんと言えば大丈夫です。

倉重:自分の脳をだますのですね。

伊藤:完全にそうです。

D:いつも頭の中で悶々と考えているのですが、1人でも声に出したり、人にアウトプットしたりすることが大事ですね。

伊藤:人に話をする、自分で声に出す、人によってはスマホに録音してそれを聞くという人もいますが、とても大事だと思っています。そうやって自分をポジティブにしていくのです。それしかないと思います。わたしはもともと結構ネガティブなのです。

倉重:伊藤さんも1人でブツブツつぶやいていた時代があったのですよね。

伊藤:しっかりポジティブ思考を刷り込んでいくというのは生きる上でとても大事なことだと思います。

D:ありがとうございます。あきらめずにやり続けたいと思います。

伊藤:あきらめるも何もチャンスしかないです。

D:もう1つ、伊藤さんがアウトプットされる機会が非常に多いと思うのですが、インプットはどのようなことを心がけてされているのかを最後にお伺いしたいです。

伊藤:これは痛いところを突かれました。インプットする機会が本当になくて、アウトプットしなければいけないのでインプットをしています。何が大事かと言うとアウトプットを限定しないことです。可能な限り受けるようにしています。

3年前に日経とIBMのセミナーで基調講演をお願いされました。「量子コンピュータが経営に与える影響について話をしてください」と言われまして、無理に決まっていると思ったのですが、なぜか引き受けたのです。2カ月前にオファーを受けて1カ月前にこれはやはり無理だと思って電話をしたら、「もう伊藤さんで集客してしまったのでとにかく話してください」と言われて、あきらめがつきました。

量子コンピュータを扱っているベンチャーに話を聞きに行ったり、自分で調べたりして1カ月ぐらい地獄のような想いをしたのです。最終的にわたしはLead the selfと言っているので、量子コンピュータとLead the selfを組み合わせて話そうと思って、「結局テクノロジーがどうなろうが最終的にあなたの意思なのだ」ということを話しました。

そうしたら300人ぐらいの参加者にめちゃくちゃウケたのです。そのとき不可能はないのだと思いました。自分の幅を限定しなければ、常に足りない部分をインプットしなければいけません。そうやってインプットしてみたらどうでしょうか?

 来週も講演を頼まれており、「自分を磨く読書法について話してくれ」と言われています。あまり読書はしないのですが、一生懸命考えて話すつもりです。そうするとインプットにつながっていきます。

D:無理やり機会を設けて、そこに向けてインプットしていくというやり方なのですね。

ありがとうございます。大変参考になりました。

倉重:最後にEさん。外からなのでチャットを読みあげます。

「わたしは賃金制度、評価制度を作るコンサルタントで修羅場をくぐっての成長に共感します。伊藤さんは修羅場をくぐった成長が賃金増に結びついたほうが良いと思いますか? それとも保護主義するような形に見えるのは、内発的動機ではないため良くないと思われますか?」とのことです。

伊藤:難しいです。内発的動機に基づいたほうがいいのですが、最初は報酬という見えやすい形で評価を得るのが一番早いと思います。評価されたり、認めてもらったりすることは大事です。人事評価でもいいですし、「頑張っているね」という声掛けでもいいのです。

人事評価でチャレンジした人には報酬を与えるというのはペイフォーパフォーマンスというところからすると少し違っていて、プロセスに評価を与えることになります。

「そこはどうなの」という人もいるかもしれませんが、アクションを取るだけでも賃金にひもづけるのはとてもいいと思います。むしろそうすることで会社のスタンスを明確に示すことができます。

倉重:確かにその人が会社にいる3つある理由のうち、1つに「待遇がいい」というのがあってもいいですから。

伊藤:それはあると思います。「待遇は悪いけれどもやる気は満ちています」となれればいいですが、結構そこはリンクしているところと思います。

倉重:本当にそう思います。長々とお話をいただきまして本当にありがとうございます。機会が許せばリアルでお会いしたいと思いますので、その際はサインをよろしくお願いします。

(おわり)

対談協力:伊藤羊一(いとう・よういち)

Zホールディングス株式会社 Zアカデミア学長

武蔵野大学アントレプレナーシップ学部(武蔵野EMC)学部長

Voicyパーソナリティ

株式会社フィラメントCIF(チーフ・イシュー・ファインダー)

株式会社ウェイウェイ 代表取締役

グロービス経営大学院 客員教授

日本興業銀行、プラスを経て2015年4月よりヤフー。現在Zアカデミア学長として次世代リーダー開発を行うほか社外でもリーダー開発を行う。2021年4月武蔵野大学アントレプレナーシップ学部を開設、学部長就任。代表著作「1分で話せ」。

弁護士(KKM法律事務所代表)

慶應義塾大学経済学部卒 KKM法律事務所代表弁護士 第一東京弁護士会労働法制委員会副委員長、同基礎研究部会長、日本人材マネジメント協会(JSHRM)副理事長 経営者側労働法を得意とし、週刊東洋経済「法務部員が選ぶ弁護士ランキング」 人事労務部門第1位 紛争案件対応の他、団体交渉、労災対応、働き方改革のコンサルティング、役員・管理職研修、人事担当者向けセミナー等を多数開催。代表著作は「企業労働法実務入門」シリーズ(日本リーダーズ協会)。 YouTubeも配信中:https://www.youtube.com/@KKMLawOffice

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