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サッカーW杯開幕。初戦、引き分け以上がグループリーグ突破の条件か!?

斉藤健仁スポーツライター

6月12日(日本時間13日)、ついにサッカーワールドカップ(W杯)が始まった。サンパウロ・アリーナで行われた開幕戦はブラジル代表が、DFマルセロのオウンゴールでクロアチア代表に先制されたものの、ネイマールが2得点、オスカルが1得点を挙げて3-1で逆転勝利を収めた。なおブラジル代表は、グループリーグ初戦は1982年大会から9連勝となった。

開幕直前に、ある媒体で今大会の展望記事を書いたことがあったが、日本代表は「初戦のコートジボワール代表戦に負けるとグループリーグ突破が厳しくなる。最低でも引き分けたい」という旨のことを書いた。そこで実際に、データではどうなっているのか気になって調べて見た。

過去4大会、初戦で勝利したチームは85%が決勝Tに進出

現行の4カ国×8グループ32チーム(決勝トーナメント出場は各グループ上位2チーム)でW杯が行われるようになったのは1998年のフランス大会から。1998年、2002年、2006年、2010年大会の4大会の数字は下記となった。

グループリーグの初戦で勝利したのは46チームで、うち39チームが決勝トーナメントに進出。実にグループリーグ突破の確立は84.8%。

グループリーグ初戦で引き分けたのは36チームで、うち21チームが決勝トーナメントに進出。グループリーグ突破は58.3%と高い確率である。

それではグループリーグ初戦で敗戦したのは46チームで、決勝トーナメント進出したチームはたった4チームだった。グループリーグ突破する可能性は8.7%とかなり低い数字となった。

4チーム×6グループリーグの24チームが出場し、2次リーグがなくなった1986年、1990年、1994年の3大会の数字も足してみた(決勝トーナメントには各チーム上位2チームと各グループの3位の成績上位4チーム。当然、現在の方式より、初戦に引き分けたり、負けたりしてもグループリーグ突破の可能性が高い)。

7大会合計の数字でも、初戦に勝利したチーム87.5%が決勝トーナメントに進出し、初戦に引き分けたチームは64.8%、初戦に負けたチームが18%がグループリーグを突破していた。想像したとおり、初戦で負けたチームにとっては厳しい数字となった。

日本代表も過去4大会、初戦は勝利か引き分けで決勝Tへ進出!

実際に日本代表もグループリーグの初戦の成績と、グループリーグ突破との相関はどうだったか、ふり返っておこう。

1998年大会 対アルゼンチン代表戦 ●0-1→グループリーグ敗退

2002年大会 対ベルギー代表戦 △2-2 グループリーグ突破

2006年大会 対オーストラリア代表戦 ●1-3 グループリーグ敗退

2010年大会 対カメルーン代表戦 ○1-0 グループリーグ突破

4大会ではあるが、初戦で引き分け以上の2大会は決勝トーナメントに進出し、初戦で負けた2大会は、そのままグループリーグで敗退している。

前回大会のスペインは初戦敗退も優勝!

これまでの数字はあくまでもデータであるが、グループリーグ初戦で負けたチームが決勝トーナメントに進出するためには、その後の2試合を勝たなければグループリーグ突破は難しいのが現状だ。

2010年までの4大会で、初戦に敗退したが、決勝トーナメントに進出した4チームは下記の通り。

2002年大会のトルコ代表はグループリーグ初戦でブラジル代表に敗戦したものの、グループリーグを突破し、初の3位となり大会を多いに盛り上げた。

2006年大会、ガーナ代表は初戦でイタリア代表に負けたものの決勝トーナメントに進出。同大会のウクライナ代表はグループリーグ初戦でスペイン代表に負けたが、ベスト8に進出した。なお、このガーナ代表とウクライナ代表の初戦は現地で観戦していたが、とてもグループリーグを突破するチームになると思わなかったことをよく覚えている。

そして、まだ記憶に新しい2010年大会では、スペイン代表が初戦でスイス代表に0-1で敗戦したものの、グループリーグを1位で突破し、そのまま初優勝を飾っている。

グループリーグの初戦で負けても、その後2連勝し、逆に調子を上げて決勝トーナメントに進出し、好成績に結びつけているとも言えよう。そもそも、元から実力があったことも否めないが……。

いずれにせよ、初戦で白星を挙げることが、決勝トーナメント進出への近道であることに間違いない。日本代表MF長谷部誠主将もFIFAの日本代表チームを紹介する公式ビデオで「初戦で負けると厳しくなる」とコメントしている。

日本代表は6月14日(日本時間15日)にコートジボワール代表とグループリーグ初戦を迎える。

スポーツライター

ラグビーとサッカーを中心に新聞、雑誌、Web等で執筆。大学(西洋史学専攻)卒業後、印刷会社を経てスポーツライターに。サッカーは「ピッチ外」、ラグビーは「ピッチ内」を中心に取材(エディージャパン全57試合を現地取材)。「高校生スポーツ」「Rugby Japan 365」の記者も務める。「ラグビー『観戦力』が高まる」「ラグビーは頭脳が9割」「高校ラグビーは頭脳が9割」「日本ラグビーの戦術・システムを教えましょう」(4冊とも東邦出版)「世界のサッカー愛称のひみつ」(光文社)「世界最強のGK論」(出版芸術社)など著書多数。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。1975年生まれ。

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