ベルリンの「慰安婦像」が撤去へ! 日本のロビー外交の成果か!
ドイツの首都・ベルリン市に9月25日に設置されたばかりの「平和の少女像」と称される旧日本軍従軍慰安婦像が撤去されることになった。ベルリン市が昨日(8日)、撤去命令を出したことによる。
ベルリン市ミッテ区の名で出された撤去命令はこの像を設置したドイツ在住の韓国人団体「コリア協議会」に対して行われたもので「今月14日までに撤去せよ」と命じている。行政命令には「自主的に撤去しない場合は、市当局が強制的に撤去し、その費用を協議会に請求する」としている。
ミッテ区は当初、この象がベルリン都市空間文化委員会など関係当局の審査をパスしたことから7月に設置を許可していた。それが一転、撤去となったのはこの像に刻まれている碑文にあるようだ。碑文には「第2次世界大戦当時、日本軍はアジア・太平洋全域で女性を性奴隷として強制的に連行した」と書かれてあり、ミッテ区はこれを問題視したようだ。
ミッテ区は「コリア協議会」が碑文を事前に通知していなかったこと、また碑文は「日韓の葛藤を招き、(像が)日本に反対する印象を与えている」として一転不許可、撤去を決めたようだ。
ドイツには南部のバイエルン州ヴィーゼントのネパール・ヒマラヤパビリオン公園とフランクフルトのラインマインにある韓国人教会前に同様の像が設置されているが、いずれも私有地に設置されていることから州や市当局による強制撤去は困難だった。しかし、今回は初めてブランデンブルク門やベルリン中央駅などがあるミッテ区の公共の場に設置されていたことから撤去は可能となったようだ。
撤去はミッテ区の自主的な判断に基づいているが、韓国政府は日本政府が撤去に向けて現地の日本大使館を中心に活発なロビー外交を行った結果とみている。茂木外相が10月1日、ハイコ・マース・ドイツ外相とテレビ会談を行った際にドイツ政府に撤去するよう求めていたことなどをその根拠に挙げている。
(参考資料:欧州の中心国・ドイツを抱き込め! 日韓の対立は外交戦へ!)
日本政府が2015年11月の「日韓慰安婦合意」を盾にドイツ政府に撤去への協力を求めたのは充分に察しが付く。日韓合意には▲韓国政府は海外での像の設置を支援しない▲性奴隷という表現も使わない▲韓国の支援団体を説得し、駐日本大使館前にある少女像の問題の解決に努力することなどが謳われているからだ。
ドイツでは日本のロビー外交が功を奏して、慰安婦像の設置阻止や撤去に成功した例がある。4年前にフライブルク市に建立を計画していた慰安婦像は在ドイツ日本大使館やフライブルク市と姉妹都市を結んでいる愛媛県の松山市の働きかけなどが功を奏して、設置を阻止できたことがあった。
昨年もベルリン北部のブランデンブルクのナチ強制収容所記念館(Ravensbruck Memorial)に展示されていた10センチそこそこの小さな慰安婦像が日本の抗議によって撤去されている。このミニチュアは「コリア協議会」の会長が寄贈したものだが、日本大使館がブランデンブルク州当局と記念館に抗議して、撤去させていた。
韓国政府はまだ公式的な立場を明らかにしてないが、撤去を求める日本側の動きに外交部のキム・インチョル報道官は「民間の自発的な動きに日本政府が外交的に関与するのは望ましくない。自ら表明した責任の痛感と謝罪・反省の精神に逆行する行為である」と批判していた。