掌蹠膿疱症に朗報!アプレミラスト(オテズラ)の長期投与で症状が改善
【掌蹠膿疱症に対するアプレミラスト(オテズラ)の有効性と安全性~52週間の治験結果から~】
今回は、2024年に開催されたElevate-Derm West Conferenceで発表された、日本人の掌蹠膿疱症患者を対象としたアプレミラスト(商品名:オテズラ)の52週間投与試験について、解説したいと思います。
掌蹠膿疱症は、手のひらや足の裏に膿疱(のうほう)と呼ばれる小さな膿ができる慢性の炎症性皮膚疾患です。日本では人口の0.12%が罹患していると推定され、欧米と比べて高い有病率を示しています。中等症から重症の患者さんの治療は、特に難しいことが知られています。
【アプレミラスト(オテズラ)の掌蹠膿疱症に対する高い有効性】
今回の試験では、中等症から重症の掌蹠膿疱症を持つ日本人成人患者を対象に、アプレミラスト(オテズラ)の有効性と安全性を評価しました。その結果、投与16週目までにPPPASI-75(掌蹠膿疱症の重症度スコアが75%以上改善)を達成した患者の割合が、プラセボ群と比較して有意に高いことが明らかになりました。さらに、この改善効果は52週目まで持続していました。
また、PPPASI-50レベルでも16週目で多くの患者に臨床的な改善がみられ、かゆみや痛み・不快感も投与2週目という早期から大幅に減少し、その効果が長期間維持されていました。
掌蹠膿疱症は、患者さんのQOLを大きく損なう厄介な皮膚疾患ですが、アプレミラスト(オテズラ)によって多くの方が長期的な症状改善を得られる可能性が示されたのは、大変意義深いことだと考えます。
【アプレミラスト(オテズラ)の忍容性の高さ】
試験期間中に観察された有害事象は、下痢や悪心、頭痛など消化器症状が主で、いずれも軽度から中等度であり、これまでの尋常性乾癬に対する試験で見られたものと同様のプロファイルでした。予期せぬ重大な安全性シグナルは認められませんでした。アプレミラスト(オテズラ)は掌蹠膿疱症患者にとって、忍容性の高い治療選択肢となり得ると言えるでしょう。
【掌蹠膿疱症治療の選択肢が広がる】
現在、掌蹠膿疱症の治療は主にステロイド外用薬が用いられていますが、重症例ではその効果は限定的です。今回の試験により、アプレミラスト(オテズラ)の有効性と安全性が示されたことで、日本の掌蹠膿疱症患者さんの治療選択肢が広がることが期待できます。なお、現時点では日本においてアプレミラスト(オテズラ)は尋常性乾癬で保険適用となっています。
参考文献:
1. A phase 3 study of apremilast in subjects with moderate to severe palmoplantar pustulosis. NCT05174065. https://clinicaltrials.gov/study/NCT05174065?tab=results (accessed November 7, 2024).
2. Okubo Y, et al. Poster presented at: Elevate-Derm West Conference; November 7-10, 2024; Scottsdale, Arizona.
3. Ramcharran D, et al. Adv Ther. 2023;40(11):5090-5101. doi:10.1007/s12325-023-02669-w