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王者の風格

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
28得点10リバウンドのWダブルをマークした(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 現地時間6日に行われたミルウォーキー・バックスとロスアンジェルス・クリッパーズのゲームは、137-113で昨シーズンの覇者、バックスがクリッパーズを一蹴した。

 バックスのキープレーヤーは、やはりヤニス・アデトクンボである、この日も28得点、10リバウンド、5アシストの活躍を見せた。

 2019年、2020年と連続でシーズンMVPを獲得し、2021年のオールスターでも同賞に選ばれた身長211センチのギリシア人パワーフォワードは、その勢いのまま昨季のNBAでチャンピオンとなる。ファイナルでもMVPに輝き、アデトクンボは自身の時代を築こうとしているかのようだ。

35分32秒プレーしたドリュー・ホリデー
35分32秒プレーしたドリュー・ホリデー写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 しかし、バックスの強さはエースに依存し過ぎない点にある。この日のスターティングメンバーは、全員が2桁得点。

 両チームを通じて最も長時間コートに立ったポイントガードのドリュー・ホリデーが27得点、5リバウンド、13アシスト、センターのボビー・ポーティスも24得点11リバウンドと、3名がWダブルをマークした。

ボビー・ポーティス、背番号9
ボビー・ポーティス、背番号9写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ホリデーもポーティスも、昨シーズンからバックスの一員となり、移籍1年目にVを達成したが、今シーズンはさらに効果的な連係プレーを見せている。

 また、18ゴールしたシューティングガード、パット・コノートンも6本の3ポイントを決め、勝利に貢献した。

ベースボールでも才能を発揮したコノートン
ベースボールでも才能を発揮したコノートン写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 バックスはチーム全体で88のシュートを放ち、54%にあたる48本を成功させた。3ポイントは38分の19で成功率50%。どこからでも得点できる布陣は、相手にとって脅威だ。その豊かなバリエーションには、王者の風格が漂っていた。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 試合後、アデトクンボは語った。

 「1月、2月と楽しんでプレーしている。いい試合をして、勝たなきゃいけないよね。ここ2試合は、本当にエンジョイしているよ。皆がいい仕事ぶりだし、シュートも良く決めているから」

UCLA出身のパウエルがロスに戻ってきた
UCLA出身のパウエルがロスに戻ってきた写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 敗れたクリッパーズは、チームの主軸であるカワイ・レナードが右膝、ポール・ジョージが右肘の故障で離脱中で、まだ復帰の見通しが立たない。そこでこのほど、ポートランド・トレイルブレイザーズからノーマン・パウエルとロバート・コビントンを獲得した。

 2名のニューフェイスはバックス戦で、クリッパーズの選手としての初陣を飾った。共にスターティングメンバーではなかったが、それぞれ24分弱プレーしてパウエルは28得点4アシスト、コビントンが13ゴール4リバウンドと持ち味を出した。

 彼らが昨季西地区決勝まで勝ち上がったクリッパーズに慣れてくれば、より面白いバスケットボールを目にすることが出来そうだ。ただ、今のバックスの組織的強さに肉迫するのは容易いことではない。

 クリッパーズ戦の勝利を加えて3連勝を挙げ、34勝21敗で東地区3位となったバックス。十分に連覇を狙えそうな充実度である。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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