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NBA名物オーナーがホームレスになった元選手に差し延べた愛の手

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
自ら連絡しホームレスになった元選手を保護したマーク・キューバン・オーナー(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【米メディアが報じたNBAオーナーの善行】

 ESPNなどの米主要メディアが現地時間の9月28日報じたところでは、NBAで名物オーナーとして知られる、マーベリックスのマーク・キューバン・オーナーが、ホームレスと化した元NBA選手に救いの手を差し延べたという。

 第一報を報じたのはエンタメ系情報サイトの「TMZ」で、ダラスでホームレスになっていたデロンテ・ウエスト氏を自ら迎えに行きホテルに保護するとともに、今後同氏のリハビリ費用も負担することになったという。

 この報道を受け、ESPNがキューバン・オーナーに確認したところ、その事実を認めたという。

【ウエスト氏が物乞いする写真が経緯】

 ウエスト氏は2004年のドラフトでセルティックスから1位指名を受けNBA入りし、4チームを渡り歩き8年間在籍してきた。マーベリックスにも2011-12シーズンに在籍していた過去がある。

 またウエスト氏は、現役時代から躁鬱病だと診断されたことを公表しており、引退後もキューバン・オーナーを含め複数の人たちが彼をサポートする意向を示していた。

 そんな中、前述のTMZが先週、ウエスト氏がダラスの街中で物乞いする写真とともに、彼の現状を報告する記事を公開したことで、キューバン・オーナーが再び行動を起こしたという。

【自らウエスト氏に連絡をとり車で迎えに行く】

 ウエスト氏の関係者がTMZに語ったところでは、同サイトの記事を読んだキューバン・オーナーは自らウエスト氏に連絡をとり始め、本人との接触に成功。ウエスト氏の同意を得て、自ら車を運転しダラス市内のガソリンスタンドでウエスト氏と待ち合わせをし、そのままホテルに保護した。

 ウエスト氏の家族や友人たちは、これまでも彼をリハビリ施設で更生させようと試みてきたようだが、ようやくウエスト氏もその考えに従う意思を示し始めたという。そのリハビリ費用に関しても、すでにキューバン・オーナーが負担する意向を家族に伝えているようだ。

 これまで歯に衣着せぬ発言で何度もNBAから罰金処分を受け、その破天荒ぶりがつとに有名だったキューバン・オーナーだったが、今回の行動は多くの人から賞賛を集めることになりそうだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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