【宝塚市】連れて帰れる緑とはんなり刺繍に癒される―ユトリロ植物園
春は出会いと別れの季節であり、環境が変わる人も多いのでは。慌ただしい日々を過ごして、溜め息が増えている自分に気づいたら、「ユトリロ植物園」さんを訪ねてみてはいかがですか。小さな植物たちが、ゆったりとした自然のリズムを思い出させてくれます。
訪れるだけで癒される
清荒神参道のなかほどにある「フラット」さんは、1階がおそばやさん、2階の一室がゲストハウスというちょっと不思議なビル。その別の一室に「ユトリロ植物園」さんがあります。
店内のあちこちに鉢植えの植物が置かれ、澄んだ空気は、そこに居るだけで自分の身体が浄化されていくよう。
「自然に触れる機会が減っている昨今、手軽な鉢植えが植物に親しむ入り口になってもらえたら」と、店主の一色美穂さん。
祖父が生花店を営み、小学校時代に園芸委員を務めるなど、子どものころから花や緑に関わる機会が多かったという一色さん。その後、専門学校を経て園芸関連の会社に就職し、キャリアを積みました。
さまざまな仕事に携わるうちに、誰もが手の届く範囲で植物の魅力を伝えられたらと考えるように。
植物と暮らしてほしい
そして2022年、「あなたのちいさな植物園をつくります」という言葉とともに「ユトリロ植物園」をオープン。小さな植物と個性的なうつわを組み合わせることで、植物に馴染みがない人でも手に取りやすいものを心掛けているのだとか。
経験豊富な一色さんが手がける植物たちは、手入れが行き届いてどれも綺麗で健やか。自分の思い通りにたわめるのではなく、植物自身が望む方向へ伸びやかに育つ手助けをしている、そんな印象を受けます。
「道端の雑草とかもけっこう好きなんです」と言う一色さんからは、植物への深い信頼と愛情が伝わってきます。一色さんが目指すのは、植物と共に過ごす時間を楽しんでもらうこと。そのためには植物を知り、手入れができるようにならなければなりません。その思いは、ワークショップ等を通じた指導など、大人も子どもも植物に親しむ環境づくりへのアプローチにつながっています。
植物以外にも見どころがたくさん
自然の美しさに触れることで磨かれた感性を活かし、ユトリロ植物園ではアロマやヒンメリ(麦=藁をつかった北欧のモビール)などの植物に関連した商品も取り扱っています。さらには可愛いガジュマル模様の巾着やビスケットまで。
なかでも注目は「ワタシの植物図鑑」シリーズのギャラリー展示です。現在は第2弾として刺繍作家のさかのあゆみさんによる、植物をモチーフにした刺繍ブローチの展示販売中(2024年3月29日(金)~4月7日(日)まで)。
この日、来店されていたさかのさんにお話しをうかがうことができました。
「動物よりは植物のほうが、話していることがわかるんです」と言うさかのさん。今回選ばれたモチーフの植物たちは、すべてご自身の庭で育てているものだそう。
色白で細身なさかのさんのイメージと重なる繊細なタッチと淡い色味は、身に着けるだけで穏やかな気持ちになれそうです。ちなみに日本画も描かれるとのこと。やはり自然への深い愛情が必要な芸術ですね。
そして、最後にご紹介したいのがブックスアルペジオさんの「読み薬」です。袋につけられたコメントがあるだけで作者もタイトルもわからない本たち。植物に関わる本がセレクトされているそうで、こちらも要チェックです。
なぜユトリロなのか
「ユトリロ植物園」は、画家のユトリロにちなんでいます。残された絵画は美しいけれど、アルコール依存症など、その生涯には暗い影がつきまとうユトリロ。そんな彼を「嫌いじゃない」という言葉に、一色さんの思いが見える気がします。
店舗情報
ユトリロ植物園
■ 場所:宝塚市清荒神3丁目14-16 フラットビル202号室
■ Tel:090-8829-6415
■ 営業日・時間:現在不定期営業のため、Instagram等でご確認ください。
■ 公式ホームページ
■ Instagram
さかのあゆみ(刺繍・日本画)
■ 公式Instagram